国土交通省は、水防法(昭和24年法律第193号。以下「法」という。)等に基づき、浸水想定区域の指定並びに浸水想定区域及び浸水した場合に想定される水深を表示した図面(以下「浸水想定区域図」という。)の作成、公表及び関係市町村への通知に係る事業を国の直轄事業として実施するとともに、都道府県が行う浸水想定区域の指定等に係る事業及び浸水想定区域をその区域に含む市町村(以下「浸水想定区域市町村」という。)が行う洪水予報等の伝達方法や避難場所等を浸水想定区域図に記載した洪水ハザードマップの作成等に係る事業に対する国庫補助事業等を実施している。しかし、これらの事業において、浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知が行われていなかったり、浸水想定区域図の通知後の洪水ハザードマップの作成が行われていなかったり、洪水ハザードマップへの法等で定められている事項等の記載等及び洪水ハザードマップに係る情報の提供が行われていなかったり、電子化ガイドラインに基づく浸水想定区域図等の作成が行われていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、法等に基づく浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知を行っていない県、洪水ハザードマップへの法等で定められている事項等の記載等を行っていない浸水想定区域市町村、並びに洪水ハザードマップに係る情報の提供を適正に行っていない浸水想定区域市町村に対して、これらを適正に行うよう助言するなどするとともに、河川国道事務所等(以下「事務所等」という。)及び都道府県に対して、浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知を法等に基づき適正に行うよう周知徹底を図ったり、浸水想定区域市町村に対して、浸水想定区域図の通知後の洪水ハザードマップの作成を法等に基づき適正に行い、また、洪水ハザードマップへの法等で定められている事項等の記載等及び洪水ハザードマップに係る情報の提供を適正に行うよう周知徹底を図ったり、事務所等及び都道府県に対して、浸水想定区域図等の作成を電子化ガイドラインに基づき行う趣旨や目的を十分理解した上で適切に行うよう周知徹底を図ったりするよう、国土交通大臣に対して平成26年2月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに同法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 法等に基づく浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知を行っていなかった県に対して、浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知を法等に基づき適正に行うよう助言するなどしたり、洪水ハザードマップへの法等で定められている事項等の記載等を行っていなかった浸水想定区域市町村及び法等に基づく洪水ハザードマップに係る情報の提供を行っていなかった浸水想定区域市町村に対して、27年1月に説明会を開催して、早急に是正できるような手法を情報提供するなどしたりした。
イ 26年2月に事務連絡を発して、事務所等及び都道府県に対して、浸水想定区域図の公表及び関係市町村への通知を法等に基づき適正に行うよう周知徹底を図ったり、浸水想定区域市町村に対して、浸水想定区域図の通知後の洪水ハザードマップの作成を法等に基づき適正に行い、また、洪水ハザードマップへの法等で定められている事項等の記載等及び洪水ハザードマップに係る情報の提供を適正に行うよう周知徹底を図ったり、事務所等及び都道府県に対して、浸水想定区域図等の作成を電子化ガイドラインに基づき行う趣旨や目的を十分理解した上で適切に行うよう周知徹底を図ったりした。