国土交通省は、河川の水量を一時的に貯留して調節(以下「洪水調節」という。)を行うダムについて、建設等のほか、日常の維持、修繕その他の管理(以下「維持管理」という。)を行っており、また、ダムの建設等を行う道府県に対して補助金又は交付金を交付している。そして、道府県は、自ら建設するなどしたダムの維持管理等を行っている。しかし、県が管理するダムにおいて、計測、設備の修繕等が3年以上にわたり行われていなかったり、地方整備局等管内の事務所等及び道府県が管理するダムにおいて、堆砂量があらかじめ計画する年数の間に貯水池に堆積すると推定される土砂の量(以下「計画堆砂量」という。)を上回っていたり、洪水調節を行うための容量(以下「洪水調節容量」という。)内に堆砂していたり、洪水調節容量内の堆砂状況が不明となっていたり、ダム管理用制御処理設備に設定されている貯水位に対応する貯水量の情報が堆砂測量の結果を反映していなかったり、道府県が管理するダムにおいて、地震が発生した際にダムの維持管理を行う者にその情報が適時に通報されなかったり、予備発電設備について所要の連続運転可能時間が確保されているか明らかでなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、道府県に対して、ダムの維持管理に必要な計測、設備の修繕等を適切に行うよう周知したり、地方整備局等管内の事務所等及び道府県に対して、堆砂量が既に計画堆砂量を著しく上回っている場合及び洪水調節容量内に堆砂している場合における対策等を行うことについて検討すること、洪水調節容量内の堆砂状況を把握すること、及び堆砂測量の結果を反映した貯水位に対応する貯水量の情報をダム管理用制御処理設備に設定することを検討することを周知したり、道府県に対して、ダム地点における地震が発生した際に速やかに臨時点検が行える体制を整備すること、及び予備発電設備について燃料補給の難易度等の現状等を踏まえて所要の連続運転可能時間が確保されているか検討することを周知したりするよう、国土交通大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年11月に地方整備局等及び道府県に対して事務連絡を発するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 道府県に対して、ダムの維持管理に必要な計測を適切に行ったり、点検の結果等の分析及び評価を行った上で必要な設備の修繕等を行ったりするよう周知した。
イ 地方整備局等管内の事務所等及び道府県に対して、洪水調節容量内に土砂が堆積し、所要の洪水調節容量が不足するなどの場合には、堆砂の程度やダムの機能に及ぼす影響等を踏まえて、堆砂対策について検討したり、洪水調節容量内の堆砂状況を把握したり、堆砂測量で得られた堆砂状況の結果を反映したデータをダム管理用制御処理設備に設定することについて検討したりするよう周知した。
ウ 道府県に対して、地震発生時に速やかに臨時点検が行える体制を整備したり、予備発電設備について燃料補給の難易度等の現状等を考慮した上で所要の連続運転可能時間が確保されているか検討したりするよう周知した。