原子力規制委員会(平成25年3月31日以前は文部科学省)は、全国における環境放射能の水準を把握するなどのために、ゲルマニウム半導体方式放射能検査機器(以下「検査機器」といい、検査機器を構成する機器を「構成機器」という。)による試料のガンマ線放出核種分析等の環境放射能水準調査(以下「水準調査」という。)を都道府県及び財団法人日本分析センター(25年4月1日以降は公益財団法人日本分析センター。以下、都道府県と同センターを合わせて「都道府県等」という。)に委託して実施している。そして、検査機器については、都道府県等に調達及び整備を行わせており、都道府県等は、それぞれが検査機器の構成を独自に検討した上で、入札や契約に必要な仕様書を作成するなどしている。しかし、検査機器の増設や一部更新を行う際に検査機器ごとに構成機器を全て備える必要はなく、構成機器の仕様に応じてその調達数を少なくすることにより、構成機器の調達に要する費用の節減を図り、水準調査を経済的に実施することができるのに、このような費用の節減に向けた取組が行われていない事態が見受けられた。
したがって、原子力規制委員会において、今後の検査機器の整備に当たり、検査機器の標準的かつ経済的な構成例を都道府県等に対して示すことなどにより、構成機器の調達に要する費用の節減を図り、水準調査を経済的に実施することが可能となるよう、原子力規制委員会委員長に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、原子力規制委員会において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、原子力規制委員会は、本院指摘の趣旨に沿い、26年11月に都道府県等に対して事務連絡を発して、構成機器の調達に要する費用の節減を図り、水準調査を経済的に実施できるよう、検査機器の標準的かつ経済的な構成例等を示すとともに、検査機器の増設等を行う場合には調達しようとする構成機器の仕様等について事前に協議を行うこととする処置を講じていた。