防衛省は、アメリカ合衆国政府(以下「米国政府」という。)から有償援助により防衛装備品及び役務の調達(以下「FMS調達」という。)を行っており、自衛隊が同国等において実施される米軍との共同訓練に参加するなどに当たり必要となる現地における訓練に関する支援(以下「訓練支援」という。)及び米軍各機関との連絡調整等の公務を目的として派遣される連絡官等が同国において行う業務に関する支援(以下「連絡官支援」という。)の役務について、FMS調達により給付を受けている。しかし、訓練支援及び連絡官支援の役務について、米国政府から送付を受けた役務の内容及び条件を記載した書類(以下「引合書」という。)に支出負担行為担当官が署名した引合受諾書に細目ごとの役務の内容や価格が記載されていなかったり、引合書を請求する書類(以下「LOR」という。)に具体的な役務の内容や価格が記載されていなかったりなどしていて、米国政府から給付される役務の内容や価格が、給付を要求した役務の内容等を反映した妥当なものであるか十分に検証できない事態が見受けられた。
したがって、防衛省において、FMS調達による役務の調達について、調達要求元におけるLORの作成や米国政府から送付された引合書の確認に当たり、必要に応じて価格や調達条件等を米国政府に照会等を行うなどして、LORに給付を要求する役務のより具体的な内容や価格を記載するなど、給付される役務の内容や価格の妥当性について十分な検証を行うための方策を検討するよう、防衛大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、防衛省内部部局等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年11月に関係部署に対して通知を発して、LORの作成や米国政府から送付された引合書の確認に当たっては、役務の具体的な内容や価格について米国政府に照会等を行い、その状況を確実に記録することとするなどして、給付される役務の内容や価格の妥当性について十分な検証を行うための処置を講じていた。