独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」という。)は、国の委託を受けて、国家備蓄石油及び国家備蓄施設(以下「備蓄施設」という。)を管理しており、備蓄施設の管理等に係る業務を更に石油備蓄株式会社(以下「操業会社」という。)に委託している。その際、機構は、操業会社に対して、委託業務全般に係る経費の節減に努めること、契約の締結に当たって原則として一般競争入札等の競争性を有する入札方法とすることなどを求めている。そして、備蓄施設等の監視、制御等を行う業務システム等の設備については、操業会社が請負等により構築、運用及び保守を実施している。しかし、操業会社による業務システムの構築、運用及び保守において、機器等を集約して設置していなかったり、競争の利益を十分に享受できるようになっていなかったりしていて、操業会社との業務委託契約に基づく業務委託料相当額が経済的なものとなっていない事態が見受けられた。
したがって、機構において、複数の業務システム間における設置機器の集約化等を図ったり、業務システムの運用及び保守に係る契約の締結に際して競争の利益を十分に享受できるようにしたりするための方策等について、操業会社と協議した上で、具体的に検討するよう、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構理事長に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、操業会社と協議した上で、27年4月に操業会社に対して指示文書を発するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 複数の業務システムに係る機器等の設置状況を把握した上で、設置機器の集約を図る中長期計画を策定して、同計画に基づき集約化を図ることとした。
イ 業務システムの運用及び保守に係る契約の締結に際して競争の利益を十分に享受できるようにするために、機器仕様及びソフトウェアの詳細な情報を明記するなどして仕様書の記載の充実を図るなどした。