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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成27年3月

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について

第2 検査の結果

2 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況

(1) 東北3県における復旧・復興事業の実施状況

ア 復旧・復興事業の概要

東日本大震災は、東北3県を中心に広い範囲で甚大な被害をもたらした。そして、国は、復興基本法に基づく復興基本方針を示し、復興を担う行政主体である市町村が能力を最大限発揮できるよう、現場の意向を踏まえて、財政、人材、ノウハウ等の面から必要な制度設計や支援を責任をもって実施することとしている(24年報告リンク参照)。

復興庁によれば、災害廃棄物及び津波堆積物の処理は、26年3月末までに福島県の一部地域を除き完了している。また、住宅の再建及び高台移転等に関する各事業については、表11のとおり、多くの地区で造成工事等が開始されている。

表11 住宅の再建及び高台移転等に関する各事業の進捗状況

項目 進捗率 備考
平成24年11
月末又は12
月末時点
26年6月末
時点
復興住宅
(災害公営住宅整備事業)
27% 81% 福島県以外の被災県が公表している計画戸数に対する災害公営住宅の用地を確保した戸数の割合
復興まちづくり
(防災集団移転促進事業)
12% 92% 住まいの復興工程表に基づく面整備事業を行う東北3県の計画地区数及び茨城県の計画地区数の合計に対する造成工事の着工地区数の割合
復興まちづくり
(土地区画整理事業)
12% 75% 住まいの復興工程表に基づく面整備事業を行う計画地区数に対する造成工事の着工地区数の割合
復興まちづくり
(漁業集落防災機能強化事業)
6% 62% 住まいの復興工程表に基づく面整備事業を行う計画地区数に対する造成工事の着工地区数の割合
(注)
復興庁が公表している「復興の現状」(平成26年8月26日)を基に作成した。

このほか、津波により被災した農地では、営農再開が可能な農地面積が増加し、漁港では、陸揚げ機能が全て回復した漁港数が増加するなど、産業の復旧・復興も進みつつある。

イ 東北3県に対する東日本大震災関係経費に係る国庫補助金等の交付等の状況

国は、東日本大震災発生以降、震災からの復旧・復興に向けて、東日本大震災関係経費として多額の予算を措置しており、その状況等は次のとおりとなっていた。

(ア) 東日本大震災関係経費に係る国庫補助金等の交付等の状況

復旧・復興事業には、国自らが直轄事業として実施する事業、地方公共団体等が国庫補助金等の交付を受けて実施する事業等があり、これらの実施方法は多様なものとなっている。23年度から25年度までの3か年に東北3県及び管内の127市町村に交付等された東日本大震災関係経費に係る国庫補助金等は、表12のとおり、計8兆1780億余円であり、東北3県に対するものが計4兆6083億余円、127市町村に対するものが計3兆5697億余円となっていて、東北3県分が全体の過半を占めている。

交付額等全体に占める国庫補助金等の割合を実施方法等別にみると、東北3県及び127市町村全体では補助事業等が31.7%と最も高く、次いで復興交付金事業24.0%、復興関連基金事業21.8%、震災復興特別交付税20.3%の順となっている。また、県分及び市町村分でみると、県分では復興関連基金事業が38.8%、補助事業等が29.0%等となっていて、これらの2事業で県全体の約67%を占めている。市町村分では、復興交付金事業が45.8%と最も高く、市町村全体の半数近くを占めている。

なお、震災復興特別交付税は、時限的な税制措置を講ずることなどにより特別に財源を確保した上で、東日本大震災の災害復旧事業等に係る道府県及び市町村の負担額等について対処するために創設された財政措置である。

表12 東北3県及び127市町村に対する国庫補助金等の交付等の状況(平成23年度~25年度)

(単位:百万円、%)

特定被災自治体 復興関連
基金事業
復興基金
事業
復興交付金
事業
補助事業等 震災復興
特別交付
特定被災
自治体に
交付決定
等された
国庫補助
金等の合
特定被災
自治体に
交付等さ
れた国庫
補助金等
の合計
交付額等全体に占める
国庫補助金等の各割合
国庫補助
金等交付
特別交付
税交付額
復興交付金
交付可能額
(第1回か
ら第8回ま
での計)
交付決定
交付額 交付額 復興関
連基金
事業
復興基
金事業
復興交
付金事
補助事
業等
震災復
興特別
交付税

=(a+b+c+d+f)

=(a+b+c+e+f)
(a/H) (b/H) (c/H) (e/H) (f/H)
岩手県 161,732 42,000 110,353 483,922 287,577 237,623 1,035,631 839,286 19.2 5.0 13.1 34.2 28.3
33市町村 - - 425,941 405,169 323,246 130,480 961,591 879,668 - - 48.4 36.7 14.8
宮城県 291,450 66,000 158,984 1,018,404 660,871 503,874 2,038,712 1,681,179 17.3 3.9 9.4 39.3 29.9
35市町村 - - 1,016,584 855,382 729,081 380,962 2,252,930 2,126,629 - - 47.8 34.2 17.9
福島県 1,334,987 57,000 61,362 483,219 390,807 243,691 2,180,260 2,087,849 63.9 2.7 2.9 18.7 11.6
59市町村 - - 192,977 232,554 201,622 168,841 594,373 563,440 - - 34.2 35.7 29.9
合計 1,788,170 165,000 1,966,203 3,478,653 2,593,207 1,665,473 9,063,500 8,178,054 21.8 2.0 24.0 31.7 20.3
  東北3県計 1,788,170 165,000 330,700 1,985,545 1,339,256 985,189 5,254,605 4,608,316 38.8 3.5 7.1 29.0 21.3
  127市町村計 - - 1,635,503 1,493,107 1,253,951 680,284 3,808,895 3,569,738 - - 45.8 35.1 19.0
注(1)
震災復興特別交付税の交付額は、交付決定額と同額となっている。
注(2)
震災復興特別交付税は、地方税法等の特例措置による減収額に対する措置等を含んでいることから、震災復興特別交付税の交付額等全体に占める割合(表のf/H)が、復旧・復興事業に係る地方負担割合を示すものではない。

このように、国は、東日本大震災関係経費に充てるために、補助事業等の多様な実施方法により東北3県に多額の国庫補助金等を交付等している。このうち交付額等全体に占める割合が高い復興関連基金事業、復興交付金事業及び補助事業等の実施状況等は、次のとおりである。

(イ) 復興関連基金事業の実施状況

東北3県に対する復興関連基金事業に係る国庫補助金等の交付額は、表13のとおり、21基金で計1兆7881億余円となっており、これらの21基金により66事業が実施されている。

上記21基金66事業のうち、4基金4事業は、東日本大震災が発生した23年3月以前から実施されている基金事業等と復興関連基金事業とを区分することなく一体として経理することとされていて、復興に係る基金事業執行率等を区分して把握することが困難なため、これらを除いた18基金62事業の交付額等の状況をみると、国庫補助金等交付額は計1兆7080億余円、25年度末までの取崩額は計8710億余円、基金事業執行率は50.9%となっている。

表13 東北3県における復興関連基金事業の実施状況

(単位:百万円、%)

基金名 復旧・復興予算区分 基金事業名 所管省庁名 国庫補助金等交付額   平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額分を除く。)
基金事業執行率 25年度末までの
国庫返納額
(国庫補助金等相当額)
25年度末に保有して
いる国庫補助
金等相当額
当初の終了年度 延長された年度等
A 全体に占める割合 B B/A C A-B-C

○地域自殺対策緊急強化基金

23年度3次補正 地域自殺対策緊急強化事業 内閣府(内閣府本府) 833 0.0 - 24年度 26年度

○新しい公共支援基金

23年度3次補正 新しい公共支援事業 内閣府(内閣府本府) 879 0.0 76 24年度 国庫返納額には、一般財源の残額も含まれている。

○地方消費者行政活性化基金

24年度当初予算 消費者行政活性化事業 内閣府(消費者庁) 316 0.0 640 63.9 - 360 25年度 39年度
25年度当初予算 消費者行政活性化事業 内閣府(消費者庁) 683 0.0 - 25年度 39年度
1,000 0.0 640 63.9 - 360

○高校生修学支援基金(被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金)

23年度1次補正、23年度3次補正 被災幼児就園支援事業 文部科学省 1,183 0.0 3,113 263.0 - △ 1,930 26年度
被災児童生徒就学援助事業 文部科学省 11,893 0.6 9,499 79.8 - 2,394 26年度
奨学金事業 文部科学省 10,226 0.5 4,961 48.5 - 5,265 26年度
私立学校授業料等減免事業 文部科学省 8,788 0.4 5,903 67.1 - 2,884 26年度
被災児童生徒等特別支援教育就学奨励事業 文部科学省 57 0.0 16 28.7 - 41 26年度
専修学校・各種学校授業料等減免事業 文部科学省 1,958 0.1 988 50.4 - 969 26年度
34,107 1.9 24,482 71.7 - 9,624

○高校生修学支援基金(高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金)

23年度3次補正 高等学校授業料減免事業等 文部科学省 234 0.0 - 26年度

○高校生修学支援基金(被災私立高等学校等教育環境整備支援臨時特例交付金)

23年度3次補正 被災私立学校復興支援事業 文部科学省 4,487 0.2 1,938 43.2 - 2,548 26年度
被災私立専修学校等復興支援事業 文部科学省 1,934 0.1 272 14.0 - 1,662 26年度
6,421 0.3 2,210 34.4 - 4,211

○安心こども基金

23年度1次補正 地域子育て創生事業 厚生労働省 2,116 0.1 941 44.5 - 1,174 23年度 25年度
23年度3次補正 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 文部科学省 983 0.0 473 48.1 - 510 24年度 26年度(26年度中に施設整備に着手し、27年度に完了が見込まれる場合は、27年度まで)
保育所等の複合化・多機能化推進事業(岩手県及び福島県) 厚生労働省 783 0.0 163 20.9 - 619 24年度 26年度(26年度中に施設整備に着手し、27年度に完了が見込まれる場合は、27年度まで)
3,882 0.2 1,578 40.6 - 2,303
医療施設耐震化臨時特例基金 23年度3次補正 医療施設耐震化臨時特例基金事業(宮城県及び福島県) 厚生労働省 2,768 0.1 470 17.0 322 1,974 24年度 25年度(事業着手年度)

○地域医療再生基金

23年度3次補正 被災地における医療提供体制の再構築 厚生労働省 72,000 4.0 10,052 13.9 - 61,947 27年度
革新的医療機器創出・開発促進事業 厚生労働省 4,320 0.2 1,275 29.5 - 3,044 27年度
24年度予備費 地域医療提供体制の再構築 厚生労働省 35,500 1.9 8,821 24.8 - 26,678 27年度
111,820 6.2 20,149 18.0 - 91,670

○緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)

23年度3次補正 社会的包摂・「絆」再生事業 厚生労働省 3,796 0.2 3,658 96.3 - 138 24年度 26年度
生活福祉資金相談等体制整備事業 厚生労働省 6,932 0.3 4,496 64.8 - 2,436 24年度 26年度
パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト (岩手県のみ) 厚生労働省 120 0.0 106 88.2 - 14 24年度
被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業 厚生労働省 1,016 0.0 18 1.8 - 997 24年度 25年度
11,865 0.6 8,279 69.7 - 3,586

○介護基盤緊急整備等臨時特例基金

23年度1次補正 地域支え合い体制づくり事業 厚生労働省 6,000 0.3 5,837 97.2 - 162 23年度 26年度
23年度3次補正 地域支え合い体制づくり事業 厚生労働省 8,610 0.4 3,851 44.7 - 4,758 24年度 26年度
介護基盤復興まちづくり整備事業 厚生労働省 2,850 0.1 1,259 44.1 - 1,590 24年度 26年度
被災地健康支援事業 厚生労働省 2,880 0.1 1,800 62.5 - 1,079 24年度 26年度
25年度当初予算 仮設住宅のサポート拠点運営費等(宮城県及び福島県) 厚生労働省 2,303 0.1 - - - 2,303 25年度 26年度
22,643 1.2 12,749 56.3 - 9,893

○障害者自立支援対策臨時特例基金

23年度3次補正 被災者の心のケア事業 厚生労働省 2,791 0.1 1,414 50.6 1,377 - 24年度 -
被災地障害福祉サービス基盤整備事業 厚生労働省 1,521 0.0 844 55.4 677 - 24年度 -
4,313 0.2 2,258 52.3 2,054 -

○緊急雇用創出事業臨時特例基金

23年度1次補正 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 40,000 2.2 38,358 95.8 - 1,641 24年度 27年度
23年度3次補正 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 65,000 3.6 43,125 66.3 - 21,874 24年度 27年度
24年度補正予算 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 40,260 2.2 19,721 48.9 - 20,538 25年度 27年度
23年度3次補正 雇用復興推進事業 厚生労働省 145,000 8.1 59,520 41.0 - 85,479 27年度 28年度
25年度補正予算 雇用復興推進事業 厚生労働省 43,730 2.4 - - - 43,730 28年度 29年度
333,990 18.6 160,726 48.1 - 173,263

○森林整備加速化・林業再生基金

23年度3次補正 森林整備加速化・林業再生事業 農林水産省 9,950 0.5 3,674 36.9 - 6,275 26年度

○旧鉱物採掘区域災害復旧基金

23年度1次補正 旧鉱物採掘区域災害復旧費(宮城県のみ) 経済産業省 248 0.0 248 99.8 - 0 27年度
23年度3次補正 旧鉱物採掘区域災害復旧費 経済産業省 495 0.0 365 58.2 - 262 27年度
24年度補正予算 旧鉱物採掘区域災害復旧費(宮城県のみ) 経済産業省 132 0.0 27年度
876 0.0 613 70.0 - 262

○災害等廃棄物処理基金

23年度3次補正 災害等廃棄物処理基金事業 環境省 64,018 3.5 64,018 100.0 - - 25年度
24年度当初予算 災害等廃棄物処理基金事業 環境省 30,225 1.6 22,735 85.2 - 7,489 25年度 26年度(福島県のみ)
94,243 5.2 86,753 92.0 - 7,489

○再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金

23年度3次補正 再生可能エネルギー等導入推進事 環境省 44,991 2.5 10,379 23.0 - 34,611 27年度

※福島県民健康管理基金

23年度2次補正 福島県特別緊急除染事業 内閣府(内閣府本府) 17,981 1.0 8,594 47.7 - 9,387 定めていない。
東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質の除染事業等に必要な経費 内閣府(内閣府本府) 199,999 11.1 189,827 94.9 - 10,171 定めていない。
原子力被災者の健康確保・管理関連交付金 経済産業省 78,182 4.3 - 定めていない。
23年度3次補正 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 70,644 3.9 231,762 53.0 - 204,840 定めていない。
24年度当初予算 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 96,119 5.3 定めていない。
25年度当初予算 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 189,839 10.6 定めていない。
25年度補正予算 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 80,000 4.4 定めていない。
24年度予備費 福島健康管理拠点の緊急整備 環境省 5,980 0.3 136 2.2 - 5,843 定めていない。
25年度当初予算 原子力被災者環境放射線モニタリング対策関連交付金 環境省(原子力規制庁) 1,306 0.0 537 41.1 - 768 定めていない。
840,053 41.3 -
  うち8事業(「原子力被災者の健康確保・管理関連交付金」を除く。) 661,870 37.0 430,858 65.0 - 231,011

※福島県原子力被害応急対策基金

23年度2次補正 東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故による被害に係る応急の対策に関する事業に必要な経費 内閣府(内閣府本府) 40,385 2.2 36,471 90.3 - 3,913 定めていない。

※福島県原子力災害等復興基金

23年度3次補正 低線量域における被ばく線量モニターの開発 文部科学省 625 0.0 420 67.1 - 205 定めていない。
放射性薬剤の研究開発・製造拠点の整備 文部科学省 11,362 0.6 3,599 31.6 - 7,763 定めていない。
放射性核種の生態系における環境動態調査等 文部科学省 2,245 0.1 331 14.7 - 1,914 定めていない。
福島県環境創造センター整備事業 文部科学省 8,042 0.4 1,150 14.3 - 6,891 定めていない。
農地土壌等の浄化の研究拠点施設整備調査事業 農林水産省 100 0.0 10 10.3 - 89 32年度
24年度補正予算 福島県営農再開支援事業 農林水産省 23,185 1.2 2,993 12.9 - 20,191 27年度
23年度3次補正 医療福祉機器・創薬産業拠点整備事業 経済産業省 39,493 2.2 8,467 21.4 - 31,025 定めていない。
24年度予備費 福島県医療機器開発・安全性評価センター整備事業 経済産業省 13,390 0.7 148 1.1 - 13,242 31年度
23年度3次補正 がんばろうふくしま産業復興企業立地支援事業 経済産業省 170,000 9.5 49,038 23.3 - 161,186 28年度
24年度予備費 地域経済産業復興立地推進事業 経済産業省 40,224 2.2 - 28年度
24年度補正予算 福島県環境創造センター整備事業 環境省 11,337 0.6 1,324 11.6 - 10,012 定めていない。
320,006 17.8 67,483 21.0 - 252,523

※福島発農産物等戦略的情報発信基金

24年度補正予算 福島発農産物等戦略的情報発信事業 農林水産省 1,299 0.0 1,296 99.7 - 2 25年度 26年度
25年度補正予算 福島発農産物等戦略的情報発信事業 農林水産省 1,604 0.0 - - - 1,604 26年度
2,903 0.1 1,296 44.6 - 1,606  
  合計(21基金66事業) 1,788,170 100.0 2,454
  うち18基金62事業(「地域自殺対策緊急強化事業」、「新しい公共支援事業」、「高等学校授業料減免事業等」、「原子力被災者の健康確保・管理関連交付金」を除く。) 1,708,040 95.5 871,078 50.9 2,377 834,584
  うち〇の小計(16基金42事業) 682,053 38.1 2,131
  うち13基金39事業(「地域自殺対策緊急強化事業」、「新しい公共支援事業」、「高等学校授業料減免事業等」を除く。) 680,106 38.0 334,497 49.1 2,054 343,554
  うち※の小計(4基金23事業) 1,103,348 61.7 -
  うち4基金22事業(「原子力被災者の健康確保・管理関連交付金」を除く。) 1,025,166 57.3 536,110 52.2 - 489,055
注(1)
〇印は、東北3県全てに設置造成等されている復興関連基金であり、一部の基金は他の都道府県にも設置造成等されている。また、※印は、福島県のみに設置造成等されている復興関連基金である。
注(2)
基金名、基金事業名は、国庫補助金等交付先ごとに異なっていることから、代表的な名称等を記載している。
注(3)
基金名が同一であっても、基金の原資となっている国庫補助金等名が異なるなどの場合は、別の基金として集計している。
注(4)
「当初の終了年度」の欄は、復旧・復興予算が措置された際に設定された事業の終了期限の年度を記載している。
注(5)
復興関連基金事業が同一事業であっても予算別に区分経理されている場合は、別の事業として集計している。
注(6)
復興関連基金事業のうち、既存の基金事業と復興関連基金事業とを区分して経理していないものなどは、「平成25年度末までの取崩額(国庫返納額分を除く。)」、「基金事業執行率」、「25年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄を「/」としている。
注(7)
被災幼児就園支援事業の「25年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄において、マイナス(△)表示の計数となっているのは、高校生修学支援基金(被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金)を活用して行われる事業間で配分変更して使用できることから、他事業から配分変更した額を当該事業の取崩額として集計したことによる。
注(8)
当初終了年度に終了していた5事業は、「当初の終了年度」欄に網掛けしている。

東北3県における復興関連基金の設置状況をみると、東北3県全てに設置造成等されている基金は、緊急雇用創出事業臨時特例基金等16基金であり、これらの基金による42事業に係る国庫補助金等交付額は計6820億余円(国庫補助金等交付額の総額に占める割合38.1%)となっている。このうち、復興に係る基金事業執行率等を区分して把握することが困難な3事業を除いた39事業をみると、国庫補助金等交付額は計6801億余円、25年度末までの取崩額は計3344億余円、基金事業執行率は49.1%となっている。一方、福島県のみに設置造成等されている基金は、原子力災害関連基金に係る福島県民健康管理基金等4基金であり、これらの基金による23事業に係る国庫補助金等交付額は計1兆1033億余円(同61.7%)と、多額に上っている。このうち、復興に係る基金事業執行率等を区分して把握することが困難な1事業を除いた22事業の交付額等の状況をみると、国庫補助金等交付額は計1兆0251億余円、25年度末までの取崩額は計5361億余円、基金事業執行率は52.2%となっている。

各復興関連基金事業21基金66事業のうち、当初の終了年度が25年度までの事業をみると、表14のとおり、23年度が2基金2事業、24年度が8基金16事業、25年度が5基金7事業、計11基金25事業であり、このうち新しい公共支援事業、パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト、被災者の心のケア事業、被災地障害福祉サービス基盤整備事業及び災害等廃棄物処理基金事業(23年度3次補正分)の5事業は予定年度までに終了したが、残り20事業は事業を十分に実施できていないことを主な理由として終了年度が延長されていた。一方、基金事業の開始当初に終了年度を定めていない事業は、3基金16事業、国庫補助金等交付額計8535億余円(国庫補助金等交付額の総額に占める割合47.7%)となっていて、全て福島県に設置されている基金による原子力災害等に対する事業である。

表14 東北3県における終了年度別の復興関連基金事業数等

(単位:件、百万円、%)

当初の終了年度 復興関連基金事業数 国庫補助金等交付額
  国庫補助金等交付額の総額
に占める左の
額の割合
平成23年度~ 25年度 25 288,989 16.1
  23年度 2 8,116 0.4
24年度 16 141,766 7.9
25年度 7 139,106 7.7
26年度以降 25 645,635 36.1
終了年度未定 16 853,544 47.7
66 1,788,170 100.0

前記18基金62事業の25年度末における執行状況をみると、基金事業執行率が100%となっている事業(災害等廃棄物処理基金事業(23年度3次補正分))がある一方、1.1%となっている事業(福島県医療機器開発・安全性評価センター整備事業)があるなど、事業により執行の状況に大きな差が見受けられた。

そこで、東北3県の基金事業は円滑かつ迅速に実施されているか、国は基金団体と十分連携しつつ事業の進捗状況を的確に把握して経費の配分に努めているか、基金団体において使用見込みのない余剰金が基金に滞留していないかなどについて東北3県において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

a 同種の復興事業や既存の事業等により代替可能であったことなどにより、基金事業の執行が低調となっているもの(東北3県)

① 安心こども基金(保育所等の複合化・多機能化推進事業)(厚生労働省所管)

(岩手県及び福島県に対する交付金交付額 7億8339万余円)

岩手県及び福島県は、東日本大震災の復興支援として、保育所、認定こども園、放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点等の子育て関連施設の複合化・多機能化を図る基盤整備を行うために、厚生労働省から23年度3次補正により措置された子育て支援対策臨時特例交付金7億8339万余円(当初の事業終了年度は24年度。その後、26年度に延長)の交付を受けて、基金を設置造成等している。

しかし、表15のとおり、岩手県は、25年度末現在、事業を実施しておらず、福島県も執行率が39.5%と低くなっている。

表15 岩手県及び福島県における保育所等の複合化・多機能化推進事業の執行状況

(単位:千円、%)

県名 交付金交付額 平成 25年度末まで
の取崩額
基金事業
執行率
25年度末に保有して
いる交付金相当額
A B B/A A-B
岩手県 368,391 - - 368,391
福島県 415,000 163,935 39.5 251,065
783,391 163,935 20.9 619,456

上記について、岩手県は、保育所等の被害が沿岸部のみとなっていること、事業を実施している沿岸市町村は当該基金ではなく同様の事業を実施できる経費の使途の自由度が高い復興交付金を活用して事業を行っていることなどによるとしている。

また、保育所等の施設を本件基金事業により整備する場合は、市町村が策定する復興計画等に基づくことが要件とされているが、会計実地検査時点(26年7月)において、復興計画等に本件基金事業を含めている市町村はなかった。そして、今後の事業実施見込みについて、岩手県は、事業が市町村の復興計画等に基づき実施されるものであることから、会計実地検査時点(同)では不明であるとしている。

なお、宮城県は、復興交付金による事業を実施していることなどから、国に当該基金事業に係る交付金の交付申請を行っていない。

② 緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施される事業のうち、被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業(厚生労働省所管)

(東北3県に対する交付金交付額 10億1626万余円)

東北3県は、東日本大震災により被災した生活保護受給世帯を対象として、生活再建サポーター等の支援員による生活相談等の各種支援を行うために、厚生労働省から23年度3次補正により措置された緊急雇用創出事業臨時特例交付金(住まい対策拡充等支援事業分)10億1626万余円(当初の事業終了年度は24年度。その後、25年度に延長)の交付を受けて、基金を設置造成等している。

しかし、表16のとおり、宮城県及び福島県は、25年度の事業終了年度まで事業を実施しておらず、岩手県も基金事業執行率が6.8%と低くなっていて、多額の余剰金が生じている。

表16 東北3県における被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業の執行状況

(単位:千円、%)

県名 交付金交付額 平成 25年度末まで
の取崩額
基金事業
執行率
25年度末に保有して
いる交付金相当額
A B B/A A-B
岩手県 273,769 18,749 6.8 255,019
宮城県 720,000 - - 720,000
福島県 22,500 - - 22,500
1,016,269 18,749 1.8 997,519

上記について、宮城県及び福島県は、震災後に生活保護の申請等が急増することを想定したが、実際には生活保護者数の変動がほとんどなかったことなどにより既存の福祉事務所の体制で対応できたこと、新規に支援員を配置することが困難であったことなどによるとしている。

これらを受けて、厚生労働省は、当該事業は今後の需要が見込めないとして、25年度末で廃止している。なお、前記の余剰金について、東北3県は、当該基金の社会的包摂・「絆」再生事業(失業者の路上生活化の防止、生活再建等)や生活福祉資金相談等体制整備事業(市町村社会福祉協議会の相談員経費等)に配分変更して使用できることとなっていることから、会計実地検査時点(26年7月)において、国への返納は予定していないとしている。

b 基金事業の執行状況を的確に把握するなどして、経費の配分等を適切に行う必要があったと認められるもの(宮城県)

災害等廃棄物処理基金(災害等廃棄物処理基金事業)(環境省所管)

(宮城県に対する国庫補助金交付額 579億5815万余円)

東北3県は、市町村等が実施する災害廃棄物の収集、運搬及び処分に係る事業(以下「廃棄物処理事業等」という。)を支援するために、環境省から23年度3次補正及び24年度当初予算により措置された災害廃棄物処理促進費補助金計942億4321万余円(当初の事業終了年度は25年度。その後、福島県のみ26年度に延長)の交付を受けて、基金を設置造成等している。

このうち、宮城県に対する国庫補助金の交付状況をみると、環境省は、表17のとおり、25年度に114億3848万余円を宮城県に交付していて、当該交付額は、宮城県が25年度に実施を予定していた事業の所要額123億7783万余円から、26年2月の基金残高9億3934万余円を差し引くなどして算定されていた。

しかし、宮城県は、環境省から交付された国庫補助金を基金に積み立てるとともに、廃棄物処理事業等を実施した市町村からの請求に即応するために、基金を事前に取り崩して、県の一般会計に繰り入れていた。そして、市町村に交付した後に執行残額(不用額)が生じた場合には、これを基金に戻し入れていたが、23年度事業で24年度に繰り越した額103億9379万余円のうち24年度末に生じていた執行残額(不用額)2億1607万余円については、環境省に照会した上で前記基金事業終了後に国へ一括返納するとして、引き続き一般会計で保有していた。このため、環境省が、26年2月に、25年度事業に係る交付額を算定する際に宮城県に照会した基金残高には、上記23年度事業の執行残額(不用額)2億1607万余円が含まれていなかったことから、環境省は、同額を控除することなく114億3848万余円を交付していた。

表17 宮城県における事業年度別の執行残額等の管理状況(平成23、24両年度)

(単位:千円)

事業年度 国庫補助金
交付額
基金取崩額
(一般会計
繰入額)
23年度 24年度
市町村への
支払額
翌年度に繰
り越した額
(翌年度繰
越額)
翌年度に繰
り越した額
(翌年度繰
越額)
市町村への
支払額
翌年度に繰
り越した額
(翌年度繰
越額)
不用残額
(執行残
額)
A B C D=A-B-C F F G=
(A又はC)-E-F
平成23年度 31,508,555 31,508,555 21,100,880 10,393,799 13,876 5,942,932 4,234,793 216,074
24年度 15,011,110 15,011,110 10,142,477 3,943,982 924,651
25年度 11,438,488 12,377,833
57,958,153 58,897,498 21,100,880 10,393,799 13,876 16,085,409 8,178,775 1,140,725
  うち基金へ
の戻入額
13,876 924,651
うち一般会計
で保有する額
- 216,074
(注)
平成23年度の一般会計における執行残額13,876千円及び24年度の一般会計における執行残額924,651千円、計938,527千円は、基金に戻し入れた後25年度に事業実施のため取り崩されている。また、26年2月現在の宮城県の基金残額は、上記の執行残額計938,527千円に25年12月までの運用益等計818千円を加えた合計939,345千円である。

基金事業には、本件のように、基金を取り崩した後の執行残等を一般会計で保有していたり、市町村等の事業が完了し決算が確定した後に多額の執行残額が明らかになったりすることがあることから、国は、基金事業の執行状況を的確に把握するとともに、資金を追加交付する場合には、復旧・復興予算の適切かつ有効な活用についても十分留意する必要がある。

c 基金事業が終了したものについて、使用見込みのない国庫補助金等が基金等に保有されていたもの(岩手県及び宮城県)

災害等廃棄物処理基金(災害等廃棄物処理基金事業)(環境省所管)

(岩手県及び宮城県に対する国庫補助金交付額 779億6282万余円)

岩手県及び宮城県は、本件基金事業の実施期限は25年度であるが補助事業の一部について26年度に繰り越した事業があることから、環境省に照会した上、基金の廃止手続を27年度以降に行い、その際に当該基金事業の残額を国へ一括返納することとしていた。

しかし、表18のとおり、両県の会計実地検査時点(26年7月)における25年度末の基金残額計5億9133万余円及び一般会計の残額計30億6191万余円、合計36億5324万余円については、25年度で事業が終了しているため、今後も使用される見込みがないものであった。

なお、環境省は、会計実地検査後、26年度中に国に返納するよう岩手県及び宮城県と調整を開始している。

表18 岩手県及び宮城県の平成25年度末の執行残額等

(単位:千円)

県名 平成 25年度末
の基金残高
25年度末の一般会計における残高(基金外)
25年度の基金
事業に係る執
行残額(不用
額)
A
23、24両年度
の繰越事業に
係る執行残額
(不用額)
B
25年度の事業
のうち、 26年
度へ繰り越し
て使用する額
C

D=B+C
岩手県 56,071 205,635 1,122,524 1,328,159
宮城県 535,262 2,856,280 2,655,221 5,511,501
591,334 3,061,915 3,777,745 6,839,660
使用見込みのない額
(A+B)
3,653,249  
(注)
「平成25年度末の基金残高」の欄の計数は、運用益が含まれている。
(ウ) 復興交付金事業の交付可能額

復興交付金は、復興交付金事業計画に基づく事業又は事務の実施に要する経費に充てるため予算の範囲内で交付されるものであり、その対象となる事業は、国土交通省等5省が所管する40の基幹事業と、基幹事業と一体となってその効果を増大させるために実施する効果促進事業とがある(基幹事業の概要は、別表6参照)。

復興庁は、市町村及び道県から復興交付金事業計画の提出を受け付けて、これらの計画に基づき、24年3月から26年6月までの間、計9回にわたり、事業を実施する年度別の交付可能額を市町村及び道県に通知している。このうち、復興庁が東北3県及び管内の市町村に通知した交付可能額は、表19のとおり、東北3県及び68市町村で計2兆0192億余円となっていて、宮城県及び22市町が交付可能額全体の6割を占めている。

表19 東北3県における復興交付金の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円、%)

県名 県及び市町村数 平成23年度
(第1回)
24年度
(第2回~第5回)
25年度
(第6回~第8回)
26年度
(第9回のみ)
東北3県の
交付可能額
全体に占め
る割合
岩手県 県及び 14市町村 79,763 364,328 92,203 11,387 547,682 27.1
宮城県 県及び 22市町 116,231 766,462 292,874 38,615 1,214,184 60.1
福島県 県及び 32市町村 50,513 149,917 53,908 2,999 257,338 12.7
3県及び 68市町村 246,509 1,280,708 438,986 53,001 2,019,205 100.0

また、東北3県及び68市町村に通知された交付可能額計2兆0192億余円を40基幹事業別にみると、表20及び図10のとおり、国土交通省が所管する災害公営住宅の整備等を実施する災害公営住宅整備事業等(災害公営住宅の整備、災害公営住宅に係る用地取得造成等)(事業番号D-4)が5461億余円、津波の被害を受けた住宅の高台移転等を実施する防災集団移転促進事業(同D-23)が5385億余円、津波の被害を受けた市街地の再生等を実施する都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等)(同D-17)が1897億余円、計1兆2745億余円となっていて、これら3基幹事業に係る交付可能額が全体の6割以上を占めている(市町村別・基幹事業別の交付可能額の詳細は、別表7、リンク参照)。

表20 東北3県における所管別・40基幹事業別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円、%)

所管省庁 事業番号 基幹事業名 平成23年度
(第1回)
24年度
(第2回~第5回)
25年度
(第6回~第8回)
26年度
(第9回のみ)
市町
村数
交付
可能額
23年度計
に占める
割合
市町
村数
交付
可能額
24年度計
に占める
割合
市町
村数
交付
可能額
25年度計
に占める
割合
市町
村数
交付
可能額
26年度計
に占める
割合
市町村数 交付
可能額
計に占め
る割合
文部科学省 A-1 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) 2 134 0.0 8 2,048 0.1 5 989 0.2 2 129 0.2 10 3,301 0.1
A-2 学校施設環境改善事業 (公立学校の耐震化等 ) 3 102 0.0 12 1,131 0.0 5 127 0.0 2 362 0.6 14 1,724 0.0
A-3 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 0 57 0.0 2 135 0.0 1 56 0.0 1 26 0.0 2 275 0.0
A-4 埋蔵文化財発掘調査事業 27 850 0.3 24 1,537 0.1 8 579 0.1 1 4 0.0 33 2,971 0.1
厚生労働省 B-1 医療施設耐震化事業 - - - - - - - - - - - - - - -
B-2 介護基盤復興まちづくり整備事業 (「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護ステーション」の整備等 ) - - - 0 30 0.0 - - - - - - 0 30 0.0
B-3 保育所等の複合化・多機能化推進事業 0 35 0.0 3 264 0.0 1 405 0.0 1 7 0.0 3 712 0.0
農林水産省 C-1 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) 2 4,440 1.8 10 34,766 2.7 4 31,312 7.1 1 1,428 2.6 11 71,947 3.5
C-2 農山漁村活性化プロジェクト支援 (復興対策 )事業(被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) 5 1,187 0.4 9 1,216 0.0 7 792 0.1 3 378 0.7 14 3,574 0.1
C-3 震災対策・戦略作物生産基盤整備事業(麦・大豆等の生産に必要となる水利施設整備等) - - - 1 123 0.0 - - - 1 309 0.5 1 433 0.0
C-4 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) 0 2,689 1.0 11 28,659 2.2 4 4,955 1.1 2 1,961 3.7 16 38,265 1.8
C-5 漁業集落防災機能強化事業(漁業集落地盤かさ上げ、生活基盤整備等) 0 5,718 2.3 19 27,952 2.1 13 11,446 2.6 8 1,912 3.6 20 47,029 2.3
C-6 漁港施設機能強化事業(漁港施設用地かさ上げ、排水対策等) 0 1,113 0.4 12 3,853 0.3 10 1,529 0.3 1 75 0.1 14 6,571 0.3
C-7 水産業共同利用施設復興整備事業(水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) 14 11,575 4.6 24 73,782 5.7 16 7,533 1.7 7 11,934 22.5 27 104,826 5.1
C-8 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業 0 767 0.3 0 4,456 0.3 0 1,635 0.3 0 120 0.2 0 6,980 0.3
C-9 木質バイオマス施設等緊急整備事業 1 106 0.0 11 3,470 0.2 2 72 0.0 - - - 11 3,649 0.1
国土交通省 D-1 道路事業(市街地相互の接続道路等) 17 7,149 2.9 33 142,727 11.1 26 32,273 7.3 9 6,569 12.3 33 188,720 9.3
D-2 道路事業(高台移転等に伴う道路整備 (区画整理)) 1 818 0.3 8 15,371 1.2 7 8,144 1.8 4 671 1.2 9 25,006 1.2
D-3 道路事業(道路の防災・震災対策等) 3 155 0.0 3 439 0.0 1 62 0.0 - - - 5 656 0.0
D-4 災害公営住宅整備事業等 (災害公営住宅の整備、災害公営住宅に係る用地取得造成等 ) 26 117,616 47.7 41 271,959 21.2 37 143,552 32.7 11 13,057 24.6 46 546,184 27.0
D-5 災害公営住宅家賃低廉化事業 4 131 0.0 17 1,003 0.0 19 1,556 0.3 2 127 0.2 27 2,819 0.1
D-6 東日本大震災特別家賃低減事業 4 30 0.0 16 174 0.0 20 209 0.0 2 13 0.0 27 426 0.0
D-7 公営住宅等ストック総合改善事業(耐震改修、エレベーター改修) - - - - - - - - - - - - - - -
D-8 住宅地区改良事業(不良住宅除却、改良住宅の建設等) - - - - - - - - - - - - - - -
D-9 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) 1 18 0.0 4 550 0.0 1 69 0.0 - - - 4 638 0.0
D-10 住宅市街地総合整備事業(住宅市街地の再生・整備 ) - - - - - - - - - - - - - - -
D-11 優良建築物等整備事業 - - - 1 126 0.0 3 1,332 0.3 1 63 0.1 4 1,522 0.0
D-12 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業) 2 6 0.0 1 36 0.0 1 14 0.0 - - - 3 56 0.0
D-13 住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業) 5 4,402 1.7 22 13,430 1.0 8 3,331 0.7 1 268 0.5 24 21,434 1.0
D-14 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 8 23,143 9.3 16 3,945 0.3 4 83 0.0 - - - 18 27,172 1.3
D-15 津波復興拠点整備事業 8 902 0.3 15 39,107 3.0 16 28,204 6.4 4 2,862 5.4 17 71,077 3.5
D-16 市街地再開発事業 2 267 0.1 4 1,867 0.1 4 3,449 0.7 2 379 0.7 4 5,964 0.2
D-17 都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等) 15 11,795 4.7 20 113,898 8.8 17 58,773 13.3 8 5,327 10.0 21 189,794 9.3
D-18 都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業) - - - - - - - - - - - - - - -
D-19 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業) - - - - - - - - - - - - - - -
D-20 都市防災推進事業(都市防災総合推進事業) 29 2,487 1.0 44 8,481 0.6 25 5,371 1.2 7 225 0.4 52 16,565 0.8
D-21 下水道事業 13 2,164 0.8 23 32,576 2.5 17 24,116 5.4 4 2,536 4.7 25 61,393 3.0
D-22 都市公園事業 8 2,166 0.8 12 18,877 1.4 5 4,253 0.9 6 1,498 2.8 17 26,796 1.3
D-23 防災集団移転促進事業 23 44,345 17.9 26 431,607 33.7 21 61,891 14.0 3 747 1.4 27 538,590 26.6
環境省 E-1 低炭素社会対応型浄化槽等集中導入事業 7 131 0.0 20 1,097 0.0 13 858 0.1 - - - 22 2,088 0.1
42 246,509 100.0 65 1,280,708 100.0 55 438,986 100.0 29 53,001 100.0 67 2,019,205 100.0
注(1)
市町村数欄は、市町村に対する交付分として復興交付金の交付可能額通知を受けた市町村の数を示しており、県に対する交付分のみの通知を受けた市町村の数は計上していない。
注(2)
40基幹事業それぞれの計欄の市町村数は、平成23年度から26年度までの間に重複する市町村数を控除しているので、各年度の市町村数を集計しても一致しない。

図10 東北3県における交付可能額の40基幹事業別内訳

図10 東北3県における交付可能額の40基幹事業別内訳 画像

また、40基幹事業の実施市町村数は、表20及び図11のとおり、津波等に対する市街地の災害危険度判定の調査等を行う都市防災推進事業(都市防災総合推進事業)(同D-20)が52市町村、災害公営住宅整備事業等(同D-4)が46市町村となっていて、これらの基幹事業は、各県の沿岸部、内陸部に関わりなく大半の市町村で実施されている。

図11 東北3県における40基幹事業の実施市町村数

図11 東北3県における40基幹事業の実施市町村数 画像

このように、東北3県に通知された復興交付金の交付可能額は多額で、通知を受けている市町村数も多数であることから、各県では主にどのような復興交付金事業が行われているか、各県及び管内市町村に通知された交付可能額を40基幹事業別に分類するなどしたところ、次のとおりとなっていた。

a 岩手県及び管内市町村の状況

岩手県及び管内の14市町村が24年3月から26年6月までの間に復興庁から通知を受けた復興交付金の交付可能額は、表21のとおり、基幹事業分が計4824億余円、効果促進事業分が計652億余円、合計5476億余円となっている。

これを県及び管内市町村別にみると、図12のとおり、岩手県に対して通知された交付可能額は1130億余円、14市町村に対して通知された額は計4346億余円となっていて、14市町村に対して通知された交付可能額が全体の約8割を占めている。市町村に通知された交付可能額を地域別にみると、交付可能額のほとんどが沿岸部の市町村に通知されていて、交付可能額が多額となっているのは、陸前高田市(交付可能額937億余円)、釜石市(同831億余円)、山田町(同671億余円)等である。

表21 岩手県における県及び管内市町村別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

県及び市町村名 基幹事業 効果促進事業
  岩手県 108,238 4,785 113,023
* 宮古市 39,566 6,513 46,079
* 大船渡市 39,979 5,989 45,968
  北上市 17 - 17
* 久慈市 3,849 449 4,299
  一関市 203 14 217
* 陸前高田市 78,341 15,361 93,702
* 釜石市 71,641 11,505 83,147
* 大槌町 57,550 6,910 64,461
* 山田町 57,993 9,181 67,174
* 岩泉町 2,623 795 3,419
* 田野畑村 11,561 2,385 13,947
* 普代村 1,070 129 1,199
* 野田村 8,593 982 9,576
* 洋野町 1,180 267 1,447
( 14市町村計) (374,172) (60,486) (434,658)
482,410 65,272 547,682
(注)
表中の*印は、沿岸部の市町村である。

図12 岩手県全体の交付可能額の県及び管内市町村別内訳

図12 岩手県全体の交付可能額の県及び管内市町村別内訳 画像

次に、岩手県及び14市町村の交付可能額計5476億余円を40基幹事業別にみると、表22及び図13のとおり、防災集団移転促進事業(事業番号D-23)が1504億余円、災害公営住宅整備事業等(同D-4)が1305億余円、都市再生区画整理事業(同D-17)が853億余円等となっていて、これら住宅の整備等に係る事業が交付可能額全体の過半を占めている。このほか、岩手県の重要な産業の一つである漁業の復興のため市町村が所有する水産物荷さばき施設等を整備する水産業共同利用施設復興整備事業(水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等)(同C-7)が355億余円と多額となっている。

上記以外の基幹事業をみると、都市防災推進事業(同D-20)が12市町村、漁業集落防災強化支援事業(同C-5)が11市町村と、管内14市町村のうち大半の市町村において交付可能額が通知されている(各市町村別・基幹事業別の交付可能額の詳細は、別表7、リンク参照)。

表22 岩手県における所管別・40基幹事業別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

所管省庁 事業番号 基幹事業名 基幹事業 効果促進事業
文部科学省 A-1 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) 718 1,816 2,534
A-2 学校施設環境改善事業 (公立学校の耐震化等 ) 282 79 362
A-3 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 66 198 264
A-4 埋蔵文化財発掘調査事業 990 14 1,004
厚生労働省 B-1 医療施設耐震化事業
B-2 介護基盤復興まちづくり整備事業 (「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護ステーション」の整備等 )
B-3 保育所等の複合化・多機能化推進事業 33 126 159
農林水産省 C-1 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) 8,861 8 8,869
C-2 農山漁村活性化プロジェクト支援 (復興対策 )事業(被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) 1,642 454 2,097
C-3 震災対策・戦略作物生産基盤整備事業(麦・大豆等の生産に必要となる水利施設整備等)
C-4 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) 1,524 7 1,531
C-5 漁業集落防災機能強化事業(漁業集落地盤かさ上げ、生活基盤整備等) 23,446 6,189 29,635
C-6 漁港施設機能強化事業
(漁港施設用地かさ上げ、排水対策等)
2,948 2,948
C-7 水産業共同利用施設復興整備事業(水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) 33,237 2,330 35,568
C-8 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業 1,304 1,304
C-9 木質バイオマス施設等緊急整備事業 33 33
国土交通省 D-1 道路事業(市街地相互の接続道路等) 42,456 625 43,081
D-2 道路事業(高台移転等に伴う道路整備 (区画整理)) 2,865 2,865
D-3 道路事業(道路の防災・震災対策等) 232 3 235
D-4 災害公営住宅整備事業等 (災害公営住宅の整備、災害公営住宅に係る用地取得造成等 ) 129,205 1,323 130,529
D-5 災害公営住宅家賃低廉化事業 1,201 1,201
D-6 東日本大震災特別家賃低減事業 181 181
D-7 公営住宅等ストック総合改善事業(耐震改修、エレベーター改修)
D-8 住宅地区改良事業(不良住宅除却、改良住宅の建設等)
D-9 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) 220 220
D-10 住宅市街地総合整備事業(住宅市街地の再生・整備 )
D-11 優良建築物等整備事業
D-12 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業)
D-13 住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業) 4,593 4,593
D-14 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 168 14 182
D-15 津波復興拠点整備事業 23,547 5,877 29,425
D-16 市街地再開発事業
D-17 都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等) 65,327 20,069 85,397
D-18 都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業)
D-19 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業)
D-20 都市防災推進事業(都市防災総合推進事業) 2,324 665 2,990
D-21 下水道事業 6,844 314 7,158
D-22 都市公園事業 1,900 94 1,994
D-23 防災集団移転促進事業 125,467 25,024 150,492
環境省 E-1 低炭素社会対応型浄化槽等集中導入事業 817 817
482,410 65,272 547,682

図13 岩手県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳

図13 岩手県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳 画像

b 宮城県及び管内市町の状況

宮城県及び管内の22市町が24年3月から26年6月までの間に復興庁から通知を受けた復興交付金の交付可能額は、表23のとおり、基幹事業分が計1兆1150億余円、効果促進事業分が計991億余円、合計1兆2141億余円となっている。

これを県及び管内市町別にみると、図14のとおり、宮城県に対して通知された交付可能額は1624億余円、22市町に対して通知された額は計1兆0517億余円となっていて、22市町に対して通知された交付可能額が全体の8割以上を占めている。市町に通知された交付可能額を地域別にみると、交付可能額のほとんどが沿岸部の市町に通知されていて、交付可能額が多額となっているのは、石巻市(交付可能額2096億余円)、気仙沼市(同1945億余円)、仙台市(同1586億余円)等である。

表23 宮城県における県及び管内市町別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

県及び市町名 基幹事業 効果促進事業
  宮城県 156,711 5,715 162,427
* 仙台市 148,701 9,950 158,652
* 石巻市 190,675 18,968 209,644
* 塩竈市 28,599 1,341 29,940
* 気仙沼市 176,682 17,891 194,574
  白石市 342 2 345
* 名取市 33,738 4,599 38,337
* 多賀城市 22,511 1,750 24,261
* 岩沼市 41,253 2,891 44,145
  登米市 2,002 15 2,018
  栗原市 228 1 229
* 東松島市 80,512 9,695 90,207
  大崎市 4,426 122 4,548
* 亘理町 27,404 2,103 29,508
* 山元町 34,132 4,407 38,539
* 松島町 13,356 620 13,976
* 七ヶ浜町 21,478 2,658 24,137
* 利府町 3,974 540 4,514
  大郷町 70 0 71
  涌谷町 1,186 16 1,202
  美里町 576 10 586
* 女川町 62,018 8,392 70,411
* 南三陸町 64,431 7,471 71,902
( 22市町計) (958,305) (93,451) (1,051,757)
1,115,017 99,167 1,214,184
(注)
表中の*印は、沿岸部の市町である。

図14 宮城県全体の交付可能額の県及び管内市町別内訳

図14 宮城県全体の交付可能額の県及び管内市町別内訳 画像

次に、宮城県及び22市町の交付可能額計1兆2141億余円を40基幹事業別にみると、表24及び図15のとおり、災害公営住宅整備事業等(事業番号D-4)が3409億余円、防災集団移転促進事業(同D-23)が3313億余円等となっていて、これら住宅の整備等に係る事業が交付可能額全体の過半を占めている。このほか、岩手県と同様に宮城県の重要な産業の一つである漁業の復興のため市町が所有する水産物荷さばき施設等を整備する水産業共同利用施設復興整備事業(同C-7)が590億余円と多額となっている。

上記以外の基幹事業をみると、埋蔵文化財発掘調査事業(同A-4)が18市町、都市防災推進事業(同D-20)が17市町と、管内22市町のうち大半の市町において交付可能額が通知されている(各市町別・基幹事業別の交付可能額の詳細は、別表7、リンク参照)。

表24 宮城県における所管別・40基幹事業別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

所管省庁 事業番号 基幹事業名 基幹事業 効果促進事業
文部科学省 A-1 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) 701 42 743
A-2 学校施設環境改善事業 (公立学校の耐震化等 ) 597 296 893
A-3 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 11 11
A-4 埋蔵文化財発掘調査事業 919 195 1,114
厚生労働省 B-1 医療施設耐震化事業
B-2 介護基盤復興まちづくり整備事業 (「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護ステーション」の整備等 ) 30 30
B-3 保育所等の複合化・多機能化推進事業 79 472 552
農林水産省 C-1 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) 50,967 242 51,210
C-2 農山漁村活性化プロジェクト支援 (復興対策 )事業(被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) 642 20 663
C-3 震災対策・戦略作物生産基盤整備事業(麦・大豆等の生産に必要となる水利施設整備等) 433 433
C-4 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) 33,049 118 33,168
C-5 漁業集落防災機能強化事業(漁業集落地盤かさ上げ、生活基盤整備等) 14,035 3,350 17,385
C-6 漁港施設機能強化事業(漁港施設用地かさ上げ、排水対策等) 3,522 100 3,622
C-7 水産業共同利用施設復興整備事業(水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) 58,783 216 59,000
C-8 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業 4,372 4,372
C-9 木質バイオマス施設等緊急整備事業 24 24
国土交通省 D-1 道路事業(市街地相互の接続道路等) 125,702 495 126,197
D-2 道路事業(高台移転等に伴う道路整備 (区画整理)) 17,710 17,710
D-3 道路事業(道路の防災・震災対策等) 347 347
D-4 災害公営住宅整備事業等 (災害公営住宅の整備、災害公営住宅に係る用地取得造成等 ) 338,643 2,258 340,901
D-5 災害公営住宅家賃低廉化事業 867 867
D-6 東日本大震災特別家賃低減事業 103 11 114
D-7 公営住宅等ストック総合改善事業(耐震改修、エレベーター改修)
D-8 住宅地区改良事業(不良住宅除却、改良住宅の建設等)
D-9 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) 141 141
D-10 住宅市街地総合整備事業(住宅市街地の再生・整備 )
D-11 優良建築物等整備事業 632 632
D-12 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業) 6 6
D-13 住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業) 13,879 13,879
D-14 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 24,132 52 24,184
D-15 津波復興拠点整備事業 27,869 6,578 34,447
D-16 市街地再開発事業 2,209 497 2,707
D-17 都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等) 64,240 18,705 82,946
D-18 都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業)
D-19 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業)
D-20 都市防災推進事業(都市防災総合推進事業) 7,339 1,771 9,111
D-21 下水道事業 47,446 1,625 49,071
D-22 都市公園事業 5,301 132 5,433
D-23 防災集団移転促進事業 269,438 61,956 331,395
環境省 E-1 低炭素社会対応型浄化槽等集中導入事業 859 859
1,115,017 99,167 1,214,184

図15 宮城県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳

図15 宮城県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳 画像

なお、復興交付金の交付可能額は復興庁が算定していることから、その算定が適正に行われているか検査したところ、復興庁が石巻市に対して行った第7回通知における復興交付金の交付可能額のうち、市街地復興効果促進事業の国費配分額9億2005万余円について、次のとおり積算を誤っていた事態が見受けられた。

市街地復興効果促進事業は、効果促進事業の一つで、復興交付金の使い勝手を向上させて、市町村の自由な事業実施による被災地の市街地の再生を加速するため、基幹事業である市街地再開発事業(同D-16)等に係る事業費の一定割合を配分することにより、市町村において当該事業と関連を有する様々なニーズに対応した事業を実施等するものである。

復興庁は、市街地復興効果促進事業の国費の配分額について、東日本大震災復興交付金制度要綱(平成24年府復第3号・23文科政第54号・厚生労働省発会0106第3号・23予633号・国官会第2357号・環境政発第120106002号。以下「復興交付金制度要綱」という。)に基づき、交付対象事業費の合計額から民間事業者等が負担する額の総額を減じた額に10分の2を乗じて得られる額により積算すべきところ、誤って、交付対象事業費の合計額に10分の2を乗じて積算していた(下記「計算過程」参照)。

このため、復興庁から石巻市に対して通知された前記第7回の復興交付金の交付可能額は、2348万円過大となっていた。

<計算過程>

(正)

事業費 (5,750,332千円-146,754千円())×2/10=1,120,715千円

国費 1,120,715千円×8/10=896,572千円

(誤)

事業費 5,750,332千円×2/10=1,150,066千円

国費 1,150,066千円×8/10=920,052千円

(差額)

国費 920,052千円-896,572千円=23,480千円

(注)
146,754千円は、民間事業者等が負担する額である。

c 福島県及び管内市町村の状況

福島県及び管内の32市町村が24年3月から26年6月までの間に復興庁から通知を受けた復興交付金の交付可能額は、表25のとおり、基幹事業分が計2334億余円、効果促進事業分が計238億余円、合計2573億余円となっている。

これを県及び管内市町村別にみると、図16のとおり、福島県に対して通知された交付可能額は618億余円、32市町村に対して通知された額は計1955億余円となっていて、32市町村に対して通知された交付可能額が全体の7割以上を占めている。市町村に通知された交付可能額を地域別にみると、交付可能額のほとんどが沿岸部の市町に通知されていて、交付可能額が多額となっているのは、いわき市(交付可能額801億余円)、相馬市(同399億余円)、南相馬市(同324億余円)等である。

また、表25及び図16のとおり、沿岸部の上記3市以外の町には、福島第一原発事故に伴う避難指示区域が設定されている町が含まれていて、それらの中には交付可能額が少ない町もあることから、3市の交付可能額が相対的に高くなっている。

表25 福島県における県及び管内市町村の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

県及び市町村名 基幹事業 効果促進事業
  福島県 60,117 1,712 61,829
  福島市 45 9 54
  会津若松市 26 - 26
  郡山市 184 2 187
* いわき市 72,058 8,091 80,150
  白河市 581 192 774
  須賀川市 5,235 1,561 6,797
* 相馬市 35,716 4,237 39,953
  二本松市 149 19 168
  田村市 7 - 7
* 南相馬市 28,538 3,927 32,465
  伊達市 15 - 15
  桑折町 865 3 868
  国見町 33 - 33
  川俣町 21 - 21
  鏡石町 799 176 976
  西郷村 452 88 540
  矢吹町 307 4 311
  矢祭町 262 - 262
  塙町 - - -
  石川町 122 - 122
  古殿町 6 - 6
  三春町 67 - 67
* 広野町 2,997 37 3,035
* 楢葉町 1,844 236 2,080
* 富岡町 111 40 152
  川内村 112 100 212
* 大熊町 82 - 82
* 双葉町 128 48 176
* 浪江町 3,641 816 4,457
  葛尾村 69 17 86
* 新地町 18,558 2,465 21,024
  飯舘村 284 103 388
(32市町村計) (173,327) (22,181) (195,508)
233,445 23,893 257,338
(注)
表中の*印は、沿岸部の市町である。

図16 福島県全体の交付可能額の県及び管内市町村別内訳

図16 福島県全体の交付可能額の県及び管内市町村別内訳 画像

次に、福島県及び32市町村の交付可能額計2573億余円を40基幹事業別にみると、表26及び図17のとおり、災害公営住宅整備事業等(事業番号D-4)が747億余円、防災集団移転促進事業(同D-23)が567億余円、都市再生区画整理事業(同D-17)が214億余円等となっていて、これら住宅の整備等に係る事業が交付可能額全体の過半を占めている。このほか、道路事業(同D-1)が194億余円、津波被害を軽減する機能を有する都市公園の整備等を支援する都市公園事業(同D-22)が193億余円と、上記住宅の整備等に係る事業に次いで多額となっている。

上記以外の基幹事業をみると、多くの市町村が実施している基幹事業は、都市防災推進事業(同D-20)であり、管内32市町村のうち23市町村において交付可能額が通知されている。また、造成宅地滑動崩落緊急対策事業(同D-14)が、内陸部の市町村を中心に12市町村において交付可能額が通知されている(各市町村別・基幹事業別の交付可能額の詳細は、別表7、リンク参照)。

表26 福島県における所管別・40基幹事業別の交付可能額(第1回~第9回)

(単位:百万円)

所管省庁 事業番号 基幹事業名 基幹事業 効果促進事業
文部科学省 A-1 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) 23 23
A-2 学校施設環境改善事業 (公立学校の耐震化等 ) 449 19 468
A-3 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業
A-4 埋蔵文化財発掘調査事業 542 310 852
厚生労働省 B-1 医療施設耐震化事業
B-2 介護基盤復興まちづくり整備事業 (「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護ステーション」の整備等 )
B-3 保育所等の複合化・多機能化推進事業
農林水産省 C-1 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) 11,577 289 11,867
C-2 農山漁村活性化プロジェクト支援 (復興対策 )事業(被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) 536 277 813
C-3 震災対策・戦略作物生産基盤整備事業(麦・大豆等の生産に必要となる水利施設整備等)
C-4 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) 3,288 277 3,565
C-5 漁業集落防災機能強化事業(漁業集落地盤かさ上げ、生活基盤整備等) 6 1 8
C-6 漁港施設機能強化事業(漁港施設用地かさ上げ、排水対策等)
C-7 水産業共同利用施設復興整備事業(水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) 9,355 901 10,257
C-8 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業 1,302 1,302
C-9 木質バイオマス施設等緊急整備事業 3,483 108 3,591
国土交通省 D-1 道路事業(市街地相互の接続道路等) 19,217 224 19,441
D-2 道路事業(高台移転等に伴う道路整備 (区画整理)) 4,430 4,430
D-3 道路事業(道路の防災・震災対策等) 73 73
D-4 災害公営住宅整備事業等 (災害公営住宅の整備、災害公営住宅に係る用地取得造成等 ) 73,335 1,418 74,753
D-5 災害公営住宅家賃低廉化事業 751 751
D-6 東日本大震災特別家賃低減事業 130 130
D-7 公営住宅等ストック総合改善事業(耐震改修、エレベーター改修)
D-8 住宅地区改良事業(不良住宅除却、改良住宅の建設等)
D-9 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) 276 276
D-10 住宅市街地総合整備事業(住宅市街地の再生・整備 )
D-11 優良建築物等整備事業 889 889
D-12 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業) 50 50
D-13 住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業) 2,960 2,960
D-14 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 2,678 126 2,804
D-15 津波復興拠点整備事業 5,903 1,301 7,205
D-16 市街地再開発事業 1,909 1,347 3,257
D-17 都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等) 16,846 4,604 21,450
D-18 都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業)
D-19 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業)
D-20 都市防災推進事業(都市防災総合推進事業) 3,149 1,314 4,464
D-21 下水道事業 3,994 1,168 5,163
D-22 都市公園事業 19,118 250 19,368
D-23 防災集団移転促進事業 46,751 9,951 56,703
環境省 E-1 低炭素社会対応型浄化槽等集中導入事業 410 410
233,445 23,893 257,338

図17 福島県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳

図17 福島県全体の交付可能額の40基幹事業別内訳 画像