総務省は、地域力の創造等に関するノウハウの調査分析を行い、その普及を図ることを目的として、毎年度、地域力の創造等に関するモデル事業(以下「モデル事業」という。)を実施する地方公共団体等(以下「実施団体」という。)を公募により選定し、その取組について支援を行っている。その募集要項において、総務省が負担するモデル事業の実施に要する経費の1実施団体当たりの上限額を示すとともに、モデル事業の実施に要した経費の支払を精算払により行うこととしている。一方、総務省は、モデル事業の結果についての調査分析、モデル事業の実施に要した経費を実施団体に支払う業務(以下「支払業務」という。)等について、平成24、25両年度に、9件の契約(以下「9契約」という。)を、3会社(以下、これらの会社を「請負業者」という。)と締結して請け負わせている。そして、9契約のいずれの仕様書においても、モデル事業の実施に要する経費の上限額(以下「支払上限額」という。)を示しており、契約が予定どおり履行された場合に契約締結時に確定した契約金額を支払う確定契約としていた。しかし、実施団体において当初見込んでいた業務が実際には不要になったり、謝金、資料作成費等が当初の見込みより低額であったりしたことなどにより、9契約の全てにおいて、モデル事業の実施に要した経費として請負業者から実施団体に支払われた額が支払上限額を下回っているのに、契約締結時に確定した契約金額が請負業者に支払われている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、モデル事業の実施に係る契約形態をモデル事業の実施状況を踏まえたものとするために、実施団体に支払われた額が支払上限額を下回った場合にはその差額を精算するなど支払業務の在り方を見直すよう、総務大臣に対して27年3月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、27年3月に契約業務に関するマニュアルを改正して、事業の実施に要する経費に変動を生ずるおそれがある場合には、精算条項を付した概算契約を締結することとした。そして、モデル事業の実施に当たっては、同マニュアルに基づき、事業を実施する地方公共団体等と精算条項を付した概算契約を締結することとして、事業の実施に要した経費が支払上限額を下回った場合はその差額を精算する処置を講じていた。