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  • 平成27年度|
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  • 補助金

(6)生活扶助費等負担金等が過大に交付されていたもの[18都道府県](114)-(173)


60件 不当と認める国庫補助金 1,278,196,003円

生活扶助費等負担金、医療扶助費等負担金及び介護扶助費等負担金(平成20年度から25年度までは、これらを合わせて生活保護費等負担金。以下「負担金」という。)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下「事業主体」という。)が、生活に困窮する者に対して、最低限度の生活を保障するために、その困窮の程度に応じて必要な保護に要する費用(以下「保護費」という。)等を支弁する場合に、その一部を国が負担するものである。保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としており、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、国民年金法(昭和34年法律第141号)等の生活保護法(昭和25年法律第144号)以外の他の法律又は制度による保障、援助等を受けることができる者については極力その利用に努めさせることとなっている。

また、事業主体は、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者から事業主体の定める額を返還させたり、不実の申請等により保護を受けるなどした者から、その費用の額の全部又は一部を徴収したりすることなどができることとなっている(以下、これらを「返還金等」という。)。そして、事業主体は、地方自治法(昭和22年法律第67号)等に基づき、返還金等に係る債権(以下「返還金等債権」という。)を管理することとなっている。

負担金のうち保護費に係る交付額は、次のとおり算定することとなっている。

(6)生活扶助費等負担金等が過大に交付されていたもの[18都道府県](114)-(173) 画像

この費用の額、返還金等の調定額及び不納欠損額は、それぞれ次のとおり算定することとなっている。

ア 費用の額は、次の①及び②の額とする。

  • ① 保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、その所在地域、構成員の数、年齢等の別に応じて算定される生活費の額から、被保護世帯における就労収入、年金又は手当の受給額等を基に収入として認定される額を控除して決定された生活扶助等に係る保護費の額
  • ② 被保護者が医療機関で診察、治療等の診療を受けるなどの場合の費用について、その全額又は一部を事業主体が負担するものとして決定された医療扶助及び介護扶助に係る保護費の額

イ 返還金等の調定額は、事業主体において、当該年度に調査、決定した返還金等の額とする。

ウ 不納欠損額は、返還金等債権のうち、時効が成立し権利が消滅するなどした額とする。なお、返還金等債権に対して時効中断措置及び適切な納入指導等の措置(以下「時効中断措置等」という。)を執らないまま消滅時効が成立した場合は、適時適切な債権管理を行っていたとは認められず、これに係る不納欠損額は国庫負担の対象から除かれる。

本院が、31都道府県の298事業主体において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

すなわち、6都県の29事業主体の返還金等債権について、時効中断措置等が執られておらず、適時適切な債権管理が行われていなかったのに、これに係る不納欠損額を国庫負担の対象として計上していた。また、13都道府県の31事業主体において、被保護世帯の世帯主等に年金受給権が発生していたにもかかわらず裁定請求手続が行われていなかったことから、当該世帯主等が年金を受給しておらず年金が収入として認定されていなかったなどのため、保護費が過大に支給されていた。これらの結果、負担金計1,278,196,003円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において、返還金等債権について適時適切な債権管理を行う必要性についての認識が欠けていたこと、適時適切な債権管理を行っていない返還金等債権に係る不納欠損額は国庫負担の対象とならないことについての理解が十分でなかったこと、被保護者の年金受給権等に係る調査確認及び裁定請求手続に係る指導が十分でなかったこと、都道府県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

東京都江戸川区は、平成22年度から25年度までに不納欠損処理した返還金等債権3,705件、計344,510,501円について全て適切な債権管理を行っていたとして、各年度の事業実績報告書に国庫負担の対象として計上していたが、実際には、上記の返還金等債権のうち3,654件、計342,694,661円について時効中断措置等を執っておらず、適時適切な債権管理を行っていなかった。したがって、これらの返還金等債権に係る不納欠損額を国庫負担の対象として計上していたことは適切でなく、これに係る負担金計257,020,996円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(114) 北海道 北海道 20~26 21,860 16,395 1,735 1,301 返還決定額を誤っていたもの
(115) 宮城県 栗原市 22~27 16,305 12,229 6,538 4,904 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(116) 大崎市 22~27 19,977 14,983 5,053 3,790
(117) 茨城県 水戸市 21~26 23,782 17,836 4,045 3,033 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(118) 土浦市 21~26 7,702 5,776 1,787 1,340
(119) 古河市 21~26 44,666 33,500 11,989 8,991
(120) 石岡市 21~26 51,869 38,901 3,425 2,568
(121) 栃木県 栃木県 (注)
22~24
1,721,303 1,290,977 4,611 3,458 時効中断措置等を執っていなかったもの
(122) 小山市 23 2,209,413 1,657,060 6,031 4,523
(123) 真岡市 (注)
22、24
1,997,116 1,497,837 4,497 3,372
(124) 群馬県 群馬県 21~26 12,425 9,318 4,132 3,099 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(125) 前橋市 22~26 16,400 12,300 1,863 1,397 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(126) 桐生市 21~26 39,946 29,959 2,365 1,773 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(127) 太田市 22~26 7,379 5,534 3,660 2,745
(128) 藤岡市 21~26 5,955 4,466 1,771 1,328
(129) 東京都 中央区 22~25 9,150,697 6,863,022 14,582 10,936 時効中断措置等を執っていなかったもの
(130) 港区 24、25 2,560 1,920 2,057 1,543 就労収入の調査が十分でなかったもの
(131) 新宿区 (注)
22~25
84,881,828 63,661,371 136,896 102,672 時効中断措置等を執っていなかったもの
(132) 台東区 (注)
22~25
82,345,704 61,759,278 15,098 11,323
(133) 墨田区 (注)
22~25
63,829,483 47,872,112 150,237 112,678
(134) 中野区 (注)
22~25
57,509,392 43,132,044 95,137 71,353
(135) 杉並区 (注)
22~25
47,468,118 35,601,088 91,307 68,480
(136) 荒川区 24、25 6,095 4,571 1,697 1,273 就労収入の調査が十分でなかったもの
(137) 板橋区 24~26 4,498 3,374 4,288 3,216
(138) 足立区 (注)
22~25
56,609,849 42,457,387 135,842 101,881 時効中断措置等を執っていなかったもの
(139) 葛飾区 (注)
22~25
93,978,162 70,483,622 127,867 95,900
(140) 江戸川区 (注)
22~25
117,403,617 88,052,713 342,694 257,020
(141) 立川市 (注)
24、25
18,465,180 13,848,885 12,316 9,237
(142) 町田市 21~26 2,421 1,816 1,725 1,294 就労収入の調査が十分でなかったもの
(143) 多摩市 (注)
22~25
15,385,937 11,539,453 13,505 10,129 時効中断措置等を執っていなかったもの
(144) 新潟県 新潟市 21~26 43,475 32,606 4,926 3,694 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(145) 山梨県 甲府市 21~26 24,414 18,311 2,692 2,019 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(146) 山梨市 20~25 6,825 5,119 2,009 1,507
(147) 愛知県 岡崎市 22 3,123,156 2,342,367 4,433 3,325 時効中断措置等を執っていなかったもの
(148) 一宮市 22、24、25 14,653,544 10,990,158 3,997 2,998
(149) 安城市 (注)
22、24
2,365,905 1,774,429 2,417 1,813
(150) 京都府 宇治市 21~25 15,290 11,467 1,987 1,490 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(151) 長岡京市 21~25 51,740 38,805 3,608 2,706
(152) 八幡市 20~26 40,375 30,281 6,434 4,825
(153) 広島県 広島市 (注)
22~25
100,093,068 75,069,801 207,768 155,826 時効中断措置等を執っていなかったもの
(154) 呉市 (注)
22~25
28,112,910 21,084,682 18,176 13,632
(155) 尾道市 (注)
23
2,719,172 2,039,379 2,625 1,969
(156) 福山市 (注)
22~24
35,601,131 26,700,848 6,406 4,805
(157) 三次市 (注)
24
715,099 536,324 3,738 2,804
(158) 庄原市 (注)
23~25
1,354,967 1,016,225 1,953 1,465
(159) 東広島市 (注)
23~25
5,620,141 4,215,106 15,570 11,677
(160) 廿日市市 23、24 1,860,647 1,395,485 1,917 1,438
(161) 香川県 高松市 20~26 305,723 229,292 42,837 32,128 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(162) 高知県 南国市 21~26 14,143 10,607 2,090 1,568 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(163) 佐賀県 佐賀市 21~26 16,632 12,474 3,516 2,637
(164) 唐津市 21~26 56,295 42,221 4,672 3,504
(165) 長崎県 長崎市 20~26 202,645 151,984 20,923 15,692 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(166) 大分県 大分市 (注)
22~25
59,496,181 44,622,135 57,469 43,102 時効中断措置等を執っていなかったもの
(167) 鹿児島県 日置市 23~25 4,135 3,101 2,164 1,623 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(168) 霧島市 20~25 5,812 4,359 5,527 4,145
(169) いちき串木野市 20~25 22,875 17,156 1,763 1,322
(170) 奄美市 21~25 11,789 8,842 1,629 1,222
(171) 沖縄県 沖縄県 (注)
22、24
2,619,699 1,964,774 2,956 2,217 時効中断措置等を執っていなかったもの
(172) 那覇市 (注)
22~24
53,031,735 39,773,801 55,249 41,437
(173) 沖縄市 (注)
22~24
18,874,886 14,156,164 4,030 3,023
(114)―(173)の計 984,304,080 738,228,060 1,704,261 1,278,196  
(注)
栃木、沖縄両県、真岡、立川、多摩、一宮、安城、広島、呉、尾道、福山、三次、庄原、東広島、大分、那覇、沖縄各市、中央、新宿、台東、墨田、中野、杉並、足立、葛飾、江戸川各区は、返還金等債権に係る不納欠損額について、平成25年度においても他年度と同様に国庫負担の対象として過大に計上していたが、当該事態については平成26年度決算検査報告の「生活保護費に係る返還金等債権について、適時適切な債権管理を行うことなどにより、返還金等債権に係る負担金の算定が適正に行われるよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの」において指摘金額としていることから、重複する額については除外している。