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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(7)生活保護費等負担金(保護施設事務費負担金に係る分)が過大に交付されていたもの[6府県](174)-(176)


3件 不当と認める国庫補助金 34,283,788円

生活保護費等負担金(保護施設事務費負担金に係る分。以下「負担金」という。)(生活保護費等負担金の概要については、「生活扶助費等負担金等が過大に交付されていたもの」参照)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下「事業主体」という。)が、身体上又は精神上著しい障害があるため日常生活を営むことが困難な被保護者等について、社会福祉法人等が設置する救護施設等の保護施設(以下「保護施設」という。)に入所を委託するなどしたことに伴い必要な保護施設の事務費(以下「施設事務費」という。)を支弁した場合に、その一部(4分の3)を国が負担するものである。

施設事務費の月額は、施設事務費支弁基準額(以下「基準額」という。)に各月初日の入所実人員を乗ずるなどして算定することとなっている。

基準額は、入所者1人当たりの月額単価であり、保護施設ごとに保護施設を管轄する都道府県知事又は政令指定都市若しくは中核市の市長(以下「都道府県知事等」という。)が、保護施設の所在する地域区分、取扱定員ごとに定められた一般事務費単価に保護施設からの申請に基づき指導員加算、看護師加算(以下、これらを「指導員等加算」という。)等の所定の単価を加算して設定することとなっている。そして、事業主体の長が保護施設に入所を委託するなどした場合、事業主体は当該保護施設を管轄する都道府県知事等が設定した基準額に基づき施設事務費を支弁することになる。

指導員等加算は、指導員又は看護師の増員が必要と認定される場合に算定される加算であり、「生活保護法による保護施設事務費及び委託事務費の取扱いについて」(昭和63年社施第85号)に定める職員配置基準による職員数が充足され、かつ、各月初日時点において、加算配置数として規定された指導員又は看護師が配置されていることなどの要件を全て満たす場合に加算されることとなっている。

本院が、22道府県及び23市において会計実地検査を行ったところ、2県及び1市(注1)は、管轄する4救護施設について、指導員等加算の要件を満たしていないのに、一般事務費単価に指導員等加算の単価を加算するなどして当該救護施設に係る基準額を設定していた。そして、42事業主体(注2)は、当該基準額に基づき、施設事務費を支弁していたため、適正な基準額に基づく施設事務費との差額に係る負担金計34,283,788円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、当該救護施設において制度に対する理解が十分でなかったことにもよるが、上記の2県及び1市において制度に対する理解が十分でなかったため、基準額の設定に当たり施設の実態確認及び審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
2県及び1市  三重、広島両県、宮崎市
(注2)
42事業主体  三重、宮崎両県、津、四日市、伊勢、松阪、鈴鹿、尾鷲、鳥羽、熊野、志摩、伊賀、京都、吹田、広島、呉、竹原、三原、尾道、福山、府中、三次、庄原、東広島、廿日市、江田島、宮崎、都城、延岡、小林、日向、串間、西都、えびの、曽於、霧島、志布志各市、安芸郡海田、熊野、豊田郡大崎上島、世羅郡世羅、神石郡神石高原各町

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

宮崎県宮崎市は、管轄する1救護施設について、職員配置基準で定める1名に加算配置数1名を加えた2名以上の指導員が配置されているなどの指導員加算の要件を満たしているとして、一般事務費単価に指導員加算の単価を加算するなどして当該救護施設に係る基準額(平成24年4月171,130円、同年5月から25年3月まで168,390円、同年4月174,380円、同年5月から26年3月まで171,590円)を設定していた。

そして、12事業主体(注)は、同市が設定した基準額に基づき、施設事務費として24、25両年度に計330,765,702円を支弁して、これに係る負担金計248,074,271円の交付を受けていた。

しかし、実際には、当該救護施設は、24年4月から26年3月までの間は指導員を1名しか配置していなかったことから、前記指導員加算の要件を満たしていないのに、同市は、前記のとおり、当該加算の単価を加算するなどして基準額を設定していた。

したがって、適正な基準額(24年4月165,480円、同年5月から25年3月まで162,740円、同年4月168,630円、同年5月から26年3月まで165,850円)により施設事務費を算定すると24、25両年度の施設事務費は計319,542,742円となり、支弁された施設事務費との差額11,222,960円が過大に支弁されていた。そして、適正な施設事務費に基づき負担金を算定すると計239,657,055円となり、交付額との差額8,417,216円が過大に交付されていた。

(注)
12事業主体  宮崎県、宮崎、都城、延岡、小林、日向、串間、西都、えびの、曽於、霧島、志布志各市

以上を部局等別・補助事業者別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(基準額を設定した者)
補助事業者
(事業主体)
年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(174) 三重県、大阪府 三重県 12事業主体 23、24 382,682 287,011 12,293 9,220 加算の要件を満たしていなかったものなど
(175) 京都府、広島県 広島県 18事業主体 23、24 549,208 411,906 22,194 16,646
(176) 宮崎県、鹿児島県 宮崎市 12事業主体 24、25 330,765 248,074 11,222 8,417
(174)―(176)の計 42事業主体   1,262,656 946,992 45,711 34,283