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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)生活保護費に係る返還金等の債権管理について


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省は、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)等に基づき、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下「事業主体」という。)が、法による生活保護を受ける世帯に支弁した保護に要する費用(以下「保護費」という。)等に対して、生活保護費等負担金(以下「負担金」という。)を交付している。事業主体は、法に基づき、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者からその費用の額を返還させることなどができることとなっており、当該返還金等に係る債権(以下「返還金等債権」という。)に係る不納欠損額は、負担金の算定要素となっている。そして、厚生労働省は、事業主体に対して、返還金等債権については適時適切に債権管理を行わなければならないこと、適時適切に債権管理が行われていない返還金等債権に係る不納欠損額は国庫負担の対象とならないことなどについて周知している。しかし、返還金等債権の管理体制が十分なものとなっていない事態、延滞が生じている返還金等債権の管理が適時適切に行われていない事態及び適時適切に債権管理が行われていない返還金等債権に係る不納欠損額を国庫負担の対象としていたため負担金が過大に交付されている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働大臣に対して平成27年10月に、会計検査院法第34条の規定により、適時適切に債権管理が行われていない返還金等債権に係る不納欠損額を国庫負担の対象としていた事業主体に対して過大に交付されていた負担金の返還の手続を速やかに行わせるよう是正の処置を要求するとともに、次のとおり是正改善の処置を求めた。

  • ア 事業主体に対して、保護費に係る返還金等債権の特徴に応じた適時適切な債権管理を行う体制を整備する必要があること、返還金等債権に係る不納欠損額は負担金の算定要素であること及び債権管理を適時適切に行っていない場合には国庫負担の対象とならないことについて周知徹底を図ること
  • イ 都道府県に対して、債権管理体制の整備について事業主体に対する指導及び助言を行うことや、施行事務監査並びに事業実績報告書の審査及び確認を十分に行うことについて周知及び指導を行うこと
  • ウ 厚生労働省が事業主体に対して行う施行事務監査の際に、返還金等債権の管理状況を的確に把握し、債権管理が適時適切に行われていない事業主体に対しては指導の徹底を図ること。また、事業実績報告書の添付資料を見直すなどして、不納欠損処理を行った返還金等債権は適時適切に債権管理を行っていたものかを同省や都道府県が的確に把握できるようにすること

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、過大に交付されていた負担金について事業主体に返還の手続を行わせるとともに、28年3月までに関係通知を改正するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 事業主体に対して、保護費に係る返還金等債権の特徴に応じた適時適切な債権管理を行う体制を整備する必要があること、返還金等債権に係る不納欠損額は負担金の算定要素であること及び債権管理を適時適切に行っていない場合には国庫負担の対象とならないことについて周知徹底した。

イ 都道府県に対して、債権管理体制の整備について事業主体に対する指導及び助言を行うことや、施行事務監査並びに事業実績報告書の審査及び確認を十分に行うことについて周知及び指導を行った。

ウ 厚生労働省が事業主体に対して行う施行事務監査の際に事業主体から提出を受ける資料に項目を追加するなどして、返還金等債権の管理状況を的確に把握することとし、債権管理が適時適切に行われていない事業主体に対しては指導の徹底を図ることとした。また、事業実績報告書の添付資料の様式を大幅に変更するなどして、不納欠損処理を行った返還金等債権は適時適切に債権管理を行っていたものかを同省や都道府県が的確に把握できるようにした。