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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 農林水産省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)森林環境保全整備事業における鳥獣害防止施設等整備の標準単価の設定について


平成26年度決算検査報告

1 本院が求めた是正改善の処置

林野庁は、市町村、森林組合等が事業主体となって実施する森林環境保全整備事業に対して都道府県が補助する場合等に、その費用の一部として、都道府県に補助金を交付している。同事業の要領等によれば、事業主体は、鹿等の鳥獣による森林被害の防止等を図るために、防護柵等の鳥獣害防止施設等の整備を、造林等の施業と一体的に行うことができ、補助金額は、都道府県が定めた資材費、労務費等で構成される標準単価に事業量等を乗ずるなどして算定した事業費を補助の対象とし、所定の補助率を乗ずるなどして算定することとされている。そして、都道府県は、標準単価の設定に用いる1m等の単位当たりの作業に必要な作業員数(以下「作業歩掛かり」という。)について、林野庁が提示していない場合には、適宜の方法により把握した上で、実態とかい離しないよう適時適切に見直すことなどとされている。しかし、17道府県の242事業主体が実施した大半の鳥獣害防止施設等の整備において、実際の資材費や労務費が標準単価を構成する資材費や労務費を下回っており、実際の施工に要した事業費が補助の対象とした事業費を下回っていて、施工の実態を反映した適切な標準単価が設定されていない事態が見受けられた。

したがって、林野庁において、要領等を改正して、資材費について、実際に使用される資材の仕様や購入価格に係る調査を都道府県が行うよう定めたり、労務費について、作業歩掛かりに係る実態調査を行い、その結果を踏まえて標準的な作業歩掛かりを提示したりするとともに、都道府県に対して、要領等の改正内容を周知し、標準単価を適時適切に見直すように周知徹底を図るよう、林野庁長官に対して平成27年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 28年4月に要領等を改正して、資材費については、各都道府県において、その森林状況に応じた必要最低限の性能を確保する仕様とした上で、物価資料や生産者の見積価格等により把握した単価と、前年度に実施した同事業の実績から把握した単価のうち最低のものとを比較して、いずれか低い方を採用することなどとし、実績の把握に当たっては、事業主体から資材購入に係る領収書等を提出させることなどにより、都道府県が調査を行うこととするよう定めた。また、労務費については、27年度に作業歩掛かりに係る実態調査を行い、その結果を踏まえて新たに「獣害防護柵設置」等について標準的な作業歩掛かりを提示した。

イ 28年5月に開催した会議において、都道府県に対して、アの要領等の改正内容を周知し、標準単価を適時適切に見直すように周知した。