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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 農林水産省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2)研究に関する委託事業により取得した物品の管理について


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置

農林水産省は、プロジェクト研究等を研究機関に委託して実施している。そして、農林水産技術会議事務局(以下「事務局」という。)が、委託契約に基づいて支払った委託費により、受託者である研究機関、再委託先等(以下、これらを「受託者等」という。)は必要な試験機器等の物品を取得している。そして、委託契約書等によれば、受託者等は、委託事業終了後に同種の研究を実施するために、事務局の承諾を得て、委託事業により取得した取得価格3万円以上の物品(以下「取得物品」という。)を継続使用することができるとされている。しかし、事務局が継続使用の承諾の手続を経ないまま引き続き受託者等に取得物品を使用させている事態、取得物品が無断で処分され又は紛失していたり、取得物品が遊休したりしている事態及び事務局が受託者等に継続使用させている取得物品の使用状況を把握するなどしていない事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して平成27年10月に、会計検査院法第34条の規定により、継続使用の承諾の手続を経ないまま引き続き受託者等に使用させている取得物品について速やかに継続使用の承諾の手続を行ったり、無断で処分されるなどしている取得物品について継続使用を中止した時点を確認した上で残存価額がある場合にこれを納付させるなどしたり、遊休している取得物品について現在の状態を確認した上で使用可能な場合にその引渡しを受けて有効活用を図るなどしたりするよう是正の処置を要求するとともに、次のとおり、同法第34条の規定により是正改善の処置を求め、及び同法第36条の規定により改善の処置を要求した。

  • ア 委託事業終了の際、受託者等から提出される実績報告書を確認した上で、取得物品の受託者等からの引渡しや継続使用の承諾の手続等を適切に行うこと(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • イ 受託者等に対して、継続使用する取得物品を善良なる管理者の注意をもって管理し、取得物品の継続使用を中止する場合等は、遅滞なくその旨を報告するよう周知徹底を図ること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • ウ 受託者等に継続使用させている取得物品の使用状況を定期的に把握して、継続使用させる必要がないと判断した場合は、取得物品の引渡しを受けて有効活用を図るなど、取得物品の管理を適切に行うための実効性のある体制を整備すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、28年7月までに、継続使用の承諾の手続を経ないまま引き続き受託者等に使用させていた取得物品について無断で処分されるなどしていた取得物品を除き継続使用の承諾の手続を行い、無断で処分されるなどしていた取得物品について継続使用を中止した時点を確定した上で残存価額がある場合に納入告知を行い、遊休していた取得物品について使用可能な場合にその引渡しを受けて有効活用を図り、また、有効活用を図れない取得物品について廃棄又は売却の手続を行うとともに、次のような処置を講じていた。

ア 28年4月に、同月以降に適用する委託契約書の条項を改正して、継続使用の申請手続を明確化するとともに、委託事業終了時に実績報告書と併せて物品管理簿を提出させることにより、取得物品の受託者等からの引渡しや継続使用の承諾の手続等を適切に行うこととした。

イ 28年4月に、同月以降に適用する委託契約書の条項を改正して、継続使用する取得物品を善良なる管理者の注意をもって管理することを明記するとともに、取得物品の継続使用を中止する場合等の手続を明確化した。また、28年7月に、受託者等に対して事務連絡を発出して、27年度以前の委託事業に係る取得物品についても、継続使用する取得物品を善良なる管理者の注意をもって管理し、取得物品の継続使用を中止する場合等は遅滞なくその旨を報告するよう周知した。

ウ 28年4月に、同月以降に適用する委託契約書の条項を改正して、受託者等に継続使用させている取得物品の使用状況報告書を毎年度提出させることとし、この報告書により取得物品の使用状況を定期的に把握して、継続使用させる必要がないと判断した場合は、取得物品の引渡しを受けて有効活用を図ることとするなど、取得物品の管理を適切に行うための体制を整備した。