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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 農林水産省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3)農業・食品産業強化対策整備交付金事業における成果目標の達成状況の評価等について


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、平成17年度以降、産地競争力の強化、食品流通の合理化等を政策目的とする農業・食品産業強化対策整備交付金事業により、施設等を整備する事業(以下「整備事業」という。)を実施する事業主体に交付金を交付する都道府県に対して、交付金を交付している。都道府県は、事業主体から目標年度における成果目標等が記載された事業実施計画の提出を受けて、その内容の審査を行い、地方農政局等(以下「農政局等」という。)とその成果目標の妥当性について協議することとなっている。また、事業主体は、整備する施設等の導入効果について費用対効果分析を実施し、投資効率等を十分検討することとなっている。そして、都道府県は、目標年度の翌年度において、事業主体から成果目標の達成状況が記載された評価報告書の提出を受けて、その内容の点検評価を行うことなどとなっており、農政局等は、都道府県から点検評価の結果について報告を受けた場合には、成果目標の達成度等の評価を行うことなどとなっている。しかし、整備事業の実施に当たり、事業実施計画における成果目標の妥当性の審査が十分に行われていない事態及び評価報告書の点検評価において成果目標の実質的な評価が行われていない事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して27年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

  • ア 農林水産本省において、事業実施計画における成果目標の妥当性の審査及び評価報告書の点検評価のための手引等を作成するとともに、必要に応じて、成果目標の基準等を見直すこと
  • イ 農政局等に対して、評価報告書の点検評価に当たり、アの手引等により、成果目標の目標値の算出根拠となる出荷量等の把握に努めるなどした上で、成果目標の達成度等を評価するよう指示すること
  • ウ 都道府県に対して、事業実施計画における成果目標の妥当性の審査に当たり、アの手引等により、成果目標の内容が費用対効果分析の主要な効果項目の内容と関連性が確保されるよう留意するとともに、成果目標の目標値と費用対効果分析の年効果額を算出するための指標(以下「効果指標」という。)の計画値との整合性が確保されていることなどの確認を適切に行うよう、また、評価報告書の点検評価に当たり、アの手引等により、成果目標の目標値の算出根拠となる出荷量等の把握に努めるなどした上で審査するとともに、出荷量等の実績が計画を下回るなどの状況になっている場合には、必要に応じて、事業主体に対して改善に向けた指導等を行うよう周知すること

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 27年10月に農政局等及び都道府県に対して事業実施計画における成果目標の妥当性の審査及び評価報告書の点検評価に係る留意事項について通知を発するとともに、28年7月に事業実施計画における成果目標の妥当性の審査及び評価報告書の点検評価のための手引を作成するなどした。

イ 28年7月に農政局等に対して通知を発して、評価報告書の点検評価に当たり、アの手引により、成果目標の目標値の算出根拠となる出荷量等の把握に努めるなどした上で、成果目標の達成度等を評価するよう指示した。

ウ 28年7月に都道府県に対して通知を発して、事業実施計画における成果目標の妥当性の審査に当たり、アの手引により、成果目標の内容が費用対効果分析の主要な効果項目の内容と関連性が確保されるよう留意するとともに、成果目標の目標値と費用対効果分析の効果指標の計画値との整合性が確保されていることなどの確認を適切に行うこと、また、評価報告書の点検評価に当たり、アの手引により、成果目標の目標値の算出根拠となる出荷量等の把握に努めるなどした上で審査するとともに、出荷量等の実績が計画を下回るなどの状況になっている場合には、必要に応じて、事業主体に対して改善に向けた指導等を行うことを周知した。