資源エネルギー庁は、平成23年度から26年度までの間に、東日本大震災の影響等によって電力需給がひっ迫する、又はひっ迫するおそれがある地域において、電気の供給力を強化し、電力需給状況の安定化に資することを目的として、民間団体等が電気事業者への電気の供給又は自家消費のために、重油、ガス、石炭等を燃料として使用する自家発電設備の新増設・増出力、休止・廃止設備の再稼働を行う場合に必要な設備の購入費、燃料費等の2分の1以内又は3分の1以内を補助するなどの自家発電設備導入促進事業等(以下「自家発事業」という。)を実施している。しかし、自家発事業は国の緊急措置の一環として実施された事業であり、その制度設計に多くの時間をかけることができなかったと思料される状況においては、事業実施中における検証とそれに基づく見直しが重要であるにもかかわらず、定められた自家発事業の事業実施期間中において自家発電設備の運転状況が低調となるなどしているのに、実施済みの事業の効果を把握した上で検証して、翌年度以降の事業にその検証結果を十分に反映させないまま事業を継続してきた事態が見受けられた。
したがって、資源エネルギー庁において、自家発事業について、事業効果について改めて検証を行うとともに、将来同様の緊急措置的な事業を実施する場合に備えて、事業効果を把握して検証する方法についての知見を蓄積して、これを制度設計に活用する方法を検討するよう、資源エネルギー庁長官に対して27年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、資源エネルギー庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、資源エネルギー庁は、本院指摘の趣旨に沿い、事業効果について改めて検証を行うとともに、28年2月から、事業効果を把握して検証する方法についての知見を蓄積するために、自家発事業において補助を受けた事業者へのヒアリング等によるフォローアップ調査を実施しており、当該調査結果等を踏まえて、制度設計に活用する方法を検討することとしている。