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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3)省エネ改修事業に係る経理等の適正化等について


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置及び表示した意見

国土交通省は、地球温暖化防止等の対策の一環として、既存の住宅や建築物の省エネルギー化の推進を図るために、サッシ、空調設備等を省エネルギー型の設備に取り替えるなどの改修工事等(以下「改修工事」という。)を行う建築主等の民間事業者等(以下「事業主体」という。)に対して、その費用の一部を補助するなどの住宅・建築物省エネ改修推進事業等(以下「省エネ改修事業」という。)を実施している。省エネ改修事業の審査、現地調査等は国土交通大臣が公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)が行っており、省エネ改修事業は、事務事業者が定めた「住宅・建築物省CO2先導事業(建築物部門)及び住宅・建築物省エネ改修等推進事業補助金交付規程」等(以下「交付規程等」という。)に基づいて適正な経理処理により実施することなどとなっている。しかし、実績報告書の工事費等よりも低額で改修工事を実施するなど省エネ改修事業に係る経理等が適正でないなどの事態、事業主体が関係会社等に請け負わせた改修工事において利益の割合が高くなっているなどの事態、事業主体における取得した財産等の取扱いに対する理解が十分でないなどの事態及び省エネ改修事業において導入された改修設備専用のエネルギー計測器(以下「専用計測器」という。)が省エネルギー活動等に十分に活用されていない事態が見受けられた。

したがって、国土交通大臣に対して平成27年10月に、次のとおり是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求し及び意見を表示した。

  • ア 事務事業者に対して、事業主体から提出させる証拠書類の範囲及び審査方法の見直しを行わせるとともに、交付規程等に必要な事項を定めるなどして審査や現地調査の体制を整備させること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • イ 事務事業者に対して、事業主体の関係会社等が行った改修工事の工事原価等を把握するための仕組みや、価格の妥当性等を確保するために事業主体の利益相当分を排除するなどの仕組みを交付規程等に定めさせること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)
  • ウ 事務事業者に対して、取得した財産等の処分制限等に関して必要な事項を交付規程等に具体的に明記して事業主体に周知させること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)
  • エ 事務事業者に対して、専用計測器の必要性について検討させて、必要に応じて交付規程等の見直しを行わせること(同法第36条の規定により意見を表示したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、省エネ改修事業の後継事業となる既存建築物省エネ化推進事業において次のような処置を講じていた。

ア 事務事業者に対して、28年6月に、実績報告書に領収書の写しなどを添付させることを既存建築物省エネ化推進事業補助金交付申請等マニュアル(以下「後継事業の交付規程」という。)に明記させるとともに、27年11月に、チェックリストにより提出書類等を確認することなどを明記した審査の手引及び現地検査の手引を策定させて審査や現地調査の体制を整備させた。

イ 事務事業者に対して、28年6月に、関係会社等との契約がある場合は、関係会社等から必要書類等を提出させることにより改修工事の工事原価等を把握できるよう建築主等と関係会社等が連名で交付申請を行うこと、及び事業主体の利益相当分の排除等が可能となるよう3者以上からの見積りの結果を交付申請書に添付することを後継事業の交付規程に明記させた。

ウ 事務事業者に対して、28年6月に、取得した財産等の処分制限に係る期間を10年とすることなどを後継事業の交付規程に明記させ、これを事業主体に周知させた。

エ 事務事業者に対して、専用計測器の必要性について検討させて、28年6月に、改修設備ごとの計測を希望せず建築物全体でエネルギー使用量を把握して管理を行う事業主体が専用計測器を導入しないで済むように、後継事業の交付規程の見直しを行わせた。