国土交通省は、共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和38年法律第81号)に基づき、道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的として、2者以上の電気通信事業者、電気事業者、ガス事業者、水道事業者、公共下水道管理者等(以下、これらを合わせて「公益事業者」という。)が設置する電線、ガス管、水管又は下水道管(以下、これらを総称して「公益物件」という。)を収容するために、道路の地下に設ける施設である共同溝の整備を実施している。そして、道路管理者は、共同溝を建設しようとするときは、公益物件の収容の概要等を記載した共同溝整備計画(以下「整備計画」という。)を作成しなければならないこととなっており、記載事項のうち公益物件の収容時期については、共同溝の建設完了後20年未満と20年以降とに区分等して明示することになっている。しかし、多くの共同溝において整備計画と比較して公益物件の収容が遅れていたり公益物件の一部又は全てが未収容となっていたりしているにもかかわらず、共同溝の利用を促すための取組を十分に行っていなかったことなどにより、共同溝の一部が長期間にわたって有効に利用されていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、公益物件の収容状況等を踏まえて、整備計画における公益物件の収容時期をより具体的に定めるなどして公益物件の収容状況等を適切に確認できるようにするための方策を講じ、整備計画と比較して公益物件の収容が遅れている場合において収容を促し、他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけるなどするための検討を行ったり、国道事務所等に対して、これらの方策や検討を踏まえて、公益物件の収容状況や具体的な収容時期等を公益事業者に提示させるなどして十分確認させるとともに、より積極的に、収容を促し、他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけるなどさせるよう指導したりするよう、国土交通大臣に対して平成27年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 共同溝の公益物件の収容状況や具体的な収容時期等を毎年公益事業者に確認することとし、そのための調査表の様式を定めるなどして、公益物件の収容状況等を適切に確認する方策を講じた。また、整備計画及び調査表と比較して公益物件の収容が遅れている場合において収容を促したり、他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけたりなどするための検討を行った。
イ 地方整備局等に対して、アの方策や検討を踏まえて、27年10月及び28年7月に通達等を発して、国道事務所等において、公益事業者から共同溝の公益物件の収容状況や具体的な収容時期等を記入した調査表を提出させて十分確認させるとともに、公益事業者との会議等の場を活用するなどして収容を要請させたり、他の公益事業者への権利及び義務の譲渡が可能であることを周知して他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけさせたりすることとした。