海上自衛隊は、自衛艦の定期検査及び年次検査に係る契約(以下「定期検査等契約」という。)を造船会社と毎年度多数締結している。造船会社は、定期検査等契約の履行に伴い発生する売払いが可能な銅等の有価廃材について、契約条項に基づき、契約の履行後速やかに、発生した有価廃材の種類及び数量を記載した発生材等調書を当該契約の監督官に提出して、その確認を受けなければならないこととなっており、確認を受けた有価廃材について海上自衛隊に返還することとなっている。海上自衛隊補給実施要領によれば、定期検査等契約の監督官は、定期検査等契約において発生する有価廃材に常に留意することとされている。しかし、定期検査等契約の監督官が、契約の履行に伴い有価廃材が発生していたにもかかわらず、発生材等調書が提出されていないことを見過ごしていたり、提出された発生材等調書の記載内容について十分確認を行っていなかったりしていたことから、定期検査等契約に係る有価廃材の一部を返還させておらず、有価廃材の管理が適切に行われていない事態が見受けられた。
したがって、海上自衛隊において、定期検査等契約の履行に伴い発生する有価廃材が記載された発生材等調書の確認に関して監督官が行う具体的な作業内容を明確にした作業手順等を定めて、監督官に対して、この作業手順等により、造船会社から確実に発生材等調書を提出させること、仕様書等に基づき発生材等調書に記載された有価廃材の数量等の確認を十分に行うことなどについて周知徹底したり、定期検査等契約の契約相手方となる造船会社に対して、定期検査等契約の履行に伴い発生する有価廃材を確実に記載した発生材等調書を作成して、これを監督官に提出することなどについて周知徹底したりするよう、防衛省海上幕僚長に対して平成27年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、海上幕僚監部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、海上自衛隊は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。