ページトップ
  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 中間貯蔵・環境安全事業株式会社|
  • 平成26年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設の運転業務契約の予定価格の積算について


平成26年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(平成26年12月23日以前は日本環境安全事業株式会社。以下「会社」という。)は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年法律第65号)等に基づき、ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)廃棄物の確実かつ適正な処理に資するために、5処理施設を設置し、無害化処理に係る事業を行っている。会社は、同事業の実施に当たり、各処理施設においてPCB廃棄物の無害化処理に必要な操業管理等の業務(以下「運転業務」という。)を行うための専門会社5会社との間で、運転業務に係る契約(以下「運転業務契約」という。)をそれぞれ締結している。運転業務の各工程は、PCB廃棄物からPCB油を抜油する作業、抜油済みのPCB廃棄物を解体し洗浄する作業、PCB油等を無害化処理する作業のほか、無害化処理したPCB油等が所定の分析項目について基準値以下になっているか分析機器で計測する作業(以下「標準分析作業」という。)等がある。そして、運転業務契約に係る予定価格の積算に当たり、人件費については、厚生労働省が作成している賃金構造基本統計調査報告の「製造業を営む大企業」の表の中から、各工程の作業で必要となる作業員の各職責に応じて、16年程度の経験年数の区分等を選定するなどして月額単価を算定している。しかし、運転業務契約における標準分析作業に係る人件費の積算に当たり、標準分析作業の作業内容や作業員に求められる能力等を反映することなく、特殊な設備の操作や高度な専門性等が必要とされる他の工程に従事する作業員に必要とされる能力等を基に経験年数の区分を選定するなどして月額単価を算定している事態が見受けられた。

したがって、会社において、運転業務契約における標準分析作業に係る人件費について、実際の作業内容等を反映して算定した月額単価を用いるなどして予定価格の積算を適切に行う処置を講ずるよう、中間貯蔵・環境安全事業株式会社代表取締役社長に対して27年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、会社の本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、会社は、本院指摘の趣旨に沿い、27年9月に関係部署に対して通知を発して、運転業務契約における標準分析作業に係る人件費について、実際の作業内容等を反映して算定した月額単価を用いるなどして予定価格の積算を行うこととして、28年4月に締結した運転業務契約から、上記の通知に基づいて予定価格の積算を行う処置を講じていた。