独立行政法人産業技術総合研究所(平成27年4月1日以降は国立研究開発法人産業技術総合研究所。以下「研究所」という。)は、6か所の研究拠点(北海道、東北、つくば、臨海副都心、中部、関西各センター)に、産学官連携共同研究施設(Open Space Lab)(以下「OSL」という。)を設置して共同研究、受託研究等を実施している。また、研究所は、OSL等の研究施設を研究所以外の利用者(以下「外部利用者」という。)に貸し付ける場合、光熱水料等の経費を算定し、外部利用者に請求している。しかし、研究所において、OSLの施設の使用率が低調となっていて長期間にわたり空室となっている事態及び光熱水料の算定に当たり前年実績額等から一定率を乗じて算出した金額を控除することにより外部利用者の負担額を引き下げている事態が見受けられた。
したがって、国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長に対して平成27年10月に、次のとおり意見を表示し、及び是正改善の処置を求めた。
本院は、研究所つくば本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、研究所は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 27年12月に、全OSLの管理運営を統括する統括責任者を新たに設けて、統括責任者が各センターの運営責任者から四半期ごとにOSLの使用状況、施設のニーズ等を記載した報告書の提出を受けるとともに、OSLの施設の使用率が低調となっていて長期間にわたり空室が生じている場合には、その要因分析を行い関係部署との協議を行ったり、各センターに対して必要な改善を指示したりする体制を整備した。
イ OSLの施設の使用率が低調となっていて長期間にわたり空室が生じているセンターに対して、利用を促進するために、施設のニーズを把握する要望調査を行わせるなどするとともに、28年3月までに、研究所のホームページに施設内各室の設備情報、空室状況、利用に関する手続等の情報を掲載するなどして、OSLの広報活動を一層促進した。
ウ 外部利用者に光熱水料を請求する際の算定方法の見直しを行い、28年度以降、前年実績額等に一定率を乗じて算出した金額の控除を行わずに算定することとした。