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  • 平成27年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 2 国が資本金の2分の1以上を出資している法人の決算|
  • [2]事業団等の決算

(3)預金保険機構


A 決算等の状況

この機構は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、次のような業務を行うことなどにより、もって信用秩序の維持に資することを目的として設立されたものである。

  • ① 金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払等を行うとともに、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助等を行う業務、金融整理管財人の業務、及び金融整理管財人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行の設立、当該設立された銀行の経営管理等を行う業務
  • ② 金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等を行う業務、及び金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理として金融機関等の特別監視等を行う業務
  • ③ 金融機関等の資産の買取り等を行う業務
  • ④ 金融機関等が発行する株式等の引受け等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
  • ⑤ 金融機関等又は組織再編成金融機関等が発行する株式等の引受け等又は協同組織中央金融機関からの信託受益権等の買取り等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
  • ⑥ 預金等に係る債権の消滅手続の開始等に係る公告等を行う業務
  • ⑦ 株式会社地域経済活性化支援機構の設立の発起人となり、及び同会社に出資を行う業務
  • ⑧ 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構の設立の発起人となり、及び同会社に出資を行う業務

その資本金は27事業年度末現在で351億3500万円(うち国の出資348億3000万円)となっている。

同機構の会計は、一般、危機対応、金融再生、金融機能早期健全化、金融機能強化、被害回復分配金支払、地域経済活性化支援及び東日本大震災事業者再生支援の8勘定に区分して経理されている。

同機構の勘定別の27事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。

ア 一般勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 575,654,031
26事業年度 939,117,040
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 309,574,603 147,579,325 161,995,278
26事業年度 371,317,904 214,666,837 156,651,067

不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額2828億円)の1565億円である。

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 593,162,406 926,174,551
うち保険料収入
401,090,143 645,969,033
経常費用 593,155,024 925,713,668
うち責任準備金繰入
412,156,176 692,422,360
特別損失 7,381 460,882

(ウ) 責任準備金

区分 27事業年度末(千円) 26事業年度末(千円)
責任準備金 2,792,591,088 2,380,434,912

(エ) 主な業務実績

区分 27事業年度 (26事業年度)
  千円 千円
事業年度末被管理金融機関貸付金残高 155,969,861 155,969,861
貸倒引当金 155,969,861 155,969,861
(注1)
被管理金融機関貸付金は、全額が日本振興銀行株式会社向け貸付金であり、当該貸付先の民事再生計画に基づく今後の弁済見込みが未定であることから、26事業年度と同様に貸付金元本残高の全額を当該貸付金に係る貸倒引当金として計上している。
破綻した金融機関からの買取資産(貸付金)の回収(注3) 447,039 100,133
事業年度末買取資産(貸付金)残高 3,518,316 3,965,355
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権
   
破綻先債権
2,551,923 2,990,359
延滞債権
966,392 974,996
3か月以上延滞債権
貸出条件緩和債権
3,518,316 3,965,355
貸倒引当金 3,518,316 3,965,355
(注2)
貸倒引当金に計上する金額は、破綻先、実質破綻先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除した額とされている。また、破綻懸念先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除し、その残額のうち債務者の支払能力を総合的に判断して必要と認める額とされている。上記以外の債務者に係る債権については、過去の一定期間における貸倒実績に基づき算出した貸倒実績率を債権額に乗じた額とされている。
(注3)
10年2月の預金保険法(昭和46年法律第34号)の改正が行われる前までは、預金保険機構が株式会社整理回収銀行に対して破綻した金融機関の資産の買取りを委託できるのは、信用組合に限られていたため、同機構は10年1月に破綻した株式会社阪和銀行の貸付金等資産2082億余円を直接買い取っている。

イ 危機対応勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 8,797
26事業年度 236,937,998
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 1,042,175 522,521 519,653
26事業年度 270,633,809 270,120,685 513,123

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 8,575 40,911,846
事業外収益
8,575 102,686
取得株式等事業収入
40,809,160
経常費用 520,838 704,180
一般管理費
520,838 529,498
事業外費用
174,681
特別損失 8
当期利益金(△当期損失金) △512,271 40,207,666
     
(利益金又は損失金の処理)    
翌事業年度に積立金として整理 40,207,666
翌事業年度に積立金を減額整理 512,271
(積立金) (370,561,452) (330,353,785)

ウ 金融再生勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 499,868,461
26事業年度 676,839,848
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 967,334,456 500,263,349 467,071,106
26事業年度 1,362,618,212 675,679,028 686,939,183

不用額の主なものは、特定協定銀行貸付金(支出予算現額3663億円)の3663億円である。

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 132,591,235 45,225,722
うち資産買取事業収入
112,981,081 22,732,788
経常費用 22,257,117 25,318,086
うち事業外費用
2,487,048 3,681,735
特別損失 762 4
当期利益金 110,333,356 19,907,631
     
(利益金の処理)    
翌事業年度に繰越欠損金を減額整理 110,333,356 19,907,631
(繰越欠損金) (225,903,326) (245,810,957)

(ウ) 借入金等

区分 27事業年度末(千円) 26事業年度末(千円)
借入金残高(市中金融機関) 131,000,000 246,900,000
預金保険機構債発行残高 1,550,000,000 1,550,000,000

エ 金融機能早期健全化勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 242,598,757
26事業年度 297,719,880
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 240,112,741 35,240,282 204,872,458
26事業年度 290,316,023 240,092,046 50,223,976

不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額2400億余円)の2048億余円である。

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 2,455,489 7,488,139
うち協定銀行納付金収入
956,589 5,813,803
経常費用 280,162 161,877
うち事業外費用
223,624 103,540
特別損失 110
当期利益金 2,175,216 7,326,262
     
(利益金の処理)    
翌事業年度に積立金として整理 2,175,216 7,326,262
(積立金) (1,596,942,730) (1,589,616,467)

オ 金融機能強化勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 433,153,332
26事業年度 944,117,997
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 23,620,073,054 433,117,578 23,186,955,475
26事業年度 24,108,452,723 983,126,649 23,125,326,073

不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額11兆7200億円)の11兆5495億円、協定銀行貸付金(同11兆7840億円)の11兆5219億円及び事業外費用(同1159億余円)の1154億余円である。

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 3,054,689 22,937,213
うち協定銀行納付金収入
2,634,392 22,499,706
経常費用 419,457 603,964
うち事業外費用
330,608 513,765
特別損失 152
当期利益金 2,635,079 22,333,249
     
(利益金の処理)    
翌事業年度に積立金として整理 2,635,079 22,333,249
(積立金) (37,672,585) (15,339,336)

(ウ) 借入金等

区分 27事業年度末(千円) 26事業年度末(千円)
借入金残高(市中金融機関) 158,600,000 170,500,000
預金保険機構債発行残高 280,000,000 280,000,000

(エ) 主な業務実績

区分 27事業年度 (26事業年度)
協定銀行への資本増強の委託 金融機関数 1金融機関 2金融機関
金額 10,600,000千円 17,000,000千円

カ 被害回復分配金支払勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 1,008,026
26事業年度 1,083,619
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 1,523,646 1,028,140 495,506
26事業年度 1,502,687 1,076,762 425,924

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 558,026 683,619
うち被害回復分配金残余納付金
434,998 566,264
経常費用 557,939 666,494
うち被害回復分配金支払業務費
440,393 567,389
当期利益金(△当期損失金) △31 17,124
     
(利益金又は損失金の処理)    
翌事業年度に繰越欠損金を減額整理 17,124
翌事業年度に繰越欠損金として整理 31
(繰越欠損金) (14,726) (31,851)

(ウ) 借入金

区分 27事業年度末(千円) 26事業年度末(千円)
借入金残高(市中金融機関) 130,000 150,000

キ 地域経済活性化支援勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 0
26事業年度 3,000,047
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 7,006,927 5,082 7,001,844
26事業年度 3,006,713 3,004,772 1,940

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 0 46
事業外収益
0 46
経常費用 5,082 4,790
一般管理費
5,082 4,772
当期損失金 5,082 4,744
     
(損失金の処理)    
翌事業年度に繰越欠損金として整理 5,082 4,744
(繰越欠損金) (23,987) (19,242)

ク 東日本大震災事業者再生支援勘定

(ア) 収入支出決算

収入 収入決定済額(千円)  
27事業年度 0
26事業年度 8
支出 支出予算現額(千円) 支出決定済額(千円) 不用額(千円)
27事業年度 993 499 493
26事業年度 978 515 462

(イ) 損益

区分 27事業年度(千円) 26事業年度(千円)
経常収益 0 8
事業外収益
0 8
経常費用 499 518
一般管理費
499 515
当期損失金 499 510
     
(損失金の処理)    
翌事業年度に繰越欠損金として整理 499 510
(繰越欠損金) (1,422) (912)

B 金融機関の資本の増強のために使用された公的資金の状況

同機構は、預金保険法、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第143号)等に基づき、直接又は協定銀行に委託して金融機関等の資本増強に関する業務を行っており、10年3月から28年3月までに、64金融機関(資本増強時の金融機関数)に対して計13兆0455億余円に及ぶ公的資金(政府保証を付して資金の借入れ又は債券の発行により調達した資金)を使用して資本増強を実施した。

このうち、27事業年度末現在までに計12兆3174億余円が返済され、同事業年度末における未返済残高は27金融機関(現在の金融機関数)で計7281億円となっている。

これらの状況を金融機関別に整理して示すと、のとおりとなっている。

表 公的資金による資本増強の実施状況(27事業年度末現在)

(単位:億円)
番号 金融機関名 資本増強時金融機関名 資本増強実施年月 資本増強額 返済額 残高
公的資金の返済が完了していない金融機関
1 (株)新生銀行 [1]旧(株)日本長期信用銀行 10年3月 1766 466 1300
12年3月 2400 1200 1200
小計 4166 1666 2500
2 (株)じもとホールディングス [2](株)きらやか銀行 21年9月 200 200
注(1)        
[2](株)じもとホールディングス((株)きらやか銀行) 24年12月 300 300
[3](株)仙台銀行 23年9月 300 300
小計 800 200 600
3 [4]全国信用協同組合連合会(山梨県民信用組合) 21年9月 450 450
4 (株)筑波銀行 [5]旧(株)関東つくば銀行 15年9月 60 60
注(2) [5](株)筑波銀行 23年9月 350 350
小計 410 60 350
5 [6](株)東和銀行 21年12月 350 350
6 [7](株)第三銀行 21年9月 300 300
7 [8]全国信用協同組合連合会(ぐんまみらい信用組合) 24年12月 250 250
8 [9](株)みちのく銀行 21年9月 200 200
9 [10]全国信用協同組合連合会(横浜中央信用組合) 26年3月 190 190
10 [11]全国信用協同組合連合会(いわき信用組合) 24年1月 175 175
11 [12]信金中央金庫(あぶくま信用金庫) 24年2月 175 175
12 [13](株)豊和銀行 18年12月 90 90
  26年3月 160 160
小計 250 90 160
13 [14]信金中央金庫(石巻信用金庫) 24年2月 157 157
14 [15](株)南日本銀行 21年3月 150 150
15 [16](株)高知銀行 21年12月 150 150
16 全国信用協同組合連合会(相双五城信用組合) [17]全国信用協同組合連合会(旧相双信用組合) 24年1月 139 139
17 [18](株)宮崎太陽銀行 22年3月 130 130
18 [19]信金中央金庫(気仙沼信用金庫) 24年2月 130 130
19 [20]全国信用協同組合連合会 27年12月 106 106
20 [21]フィデアホールディングス(株)((株)北都銀行) 22年3月 100 100
21 [22](株)東北銀行 24年9月 100 100
22 [23]全国信用協同組合連合会(滋賀県信用組合) 26年12月 90 90
23 [24]信金中央金庫(宮古信用金庫) 24年2月 85 85
24 [25]全国信用協同組合連合会(釧路信用組合) 26年12月 80 80
25 [26](株)福邦銀行 21年3月 60 60
26 [27]全国信用協同組合連合会(那須信用組合) 24年3月 54 54
27 [28]全国信用協同組合連合会(東京厚生信用組合) 26年3月 50 50
  計28金融機関 9297 2016 7281
公的資金の返済が完了した金融機関
36金融機関 12兆1158 12兆1158
合計64金融機関 13兆0455 12兆3174 7281
注(1)
(株)仙台銀行及び(株)きらやか銀行は、24年10月に共同持株会社である(株)じもとホールディングスを設立して経営統合している。(株)きらやか銀行は、経営統合前に資本増強措置の申込みを行い、統合後に(株)じもとホールディングスに対して公的資金が300億円投入されている。
注(2)
旧(株)関東つくば銀行は合併等により(株)筑波銀行となったが、旧(株)関東つくば銀行が存続会社であることから(株)筑波銀行と同一法人として整理している。