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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成28年4月

原子力災害対策に係る施設等の整備等の状況について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1)検査の観点及び着眼点

災対法等によれば、災害対策は科学的知見及び過去の災害から得られた教訓を踏まえて絶えず改善を図ることとされている。 前記のとおり、 原子力災害対策についても、23年原発事故後、原子力防災の体制が見直され、その内容が拡充されるとともに、原子力災害対策重点区域が広がることにより立地道県等の総数も増えたことを受けて、原子力災害対策を実施する立地道県等に対する国の財政支援の規模が拡大している。

そして、27年8月に九州電力株式会社川内原子力発電所が再稼働し、他の原子力発電所についても順次再稼働又は再稼働に向けた適合性審査が行われている状況において、原子力発電所における緊急事態により生ずる被害から国民の生命及び財産を守るために原子力災害対策を適切に実施することは、政府及び立地道県等における重要な課題となっている。

また、参議院決算委員会は、27年6月に、平成25年度決算に係る議決に当たり、内閣府が原子力災害対策施設整備費補助金を交付して立地道県等が実施した一時退避施設の放射線防護対策事業において避難場所に適さない津波被害等のおそれがある施設の放射線防護対策に補助金が交付されていた事態について、「政府は、補助金により整備された施設の安全性について検証を行い、住民防護等の実効性を高めるため交付基準等を不断に見直すとともに、地域原子力防災協議会における検討を充実させるなど、補助金による施設の整備が適切に行われるよう措置すべきである」と決議している。

そこで、会計検査院は、上記のような経緯等を踏まえて、立地道県等が交付金等の交付を受けて行う原子力災害対策に係る施設等の整備等の状況について、合規性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。

ア 原子力災害対策を実施する立地道県等に対する国の財政支援等の状況はどのようになっているか。

イ 立地道県等における地域防災計画(原子力災害対策編)等の作成及び修正の状況はどのようになっているか。

ウ 交付金の交付を受けて新たな設備の増強等が進められている全国のオフサイトセンターは、内閣府令等の要件を満たし機能が十分に発揮できるように整備されているか。また、オフサイトセンターに整備された設備や防災資機材が有効に機能するための態勢は整っているか。

エ 一時退避施設等の放射線防護対策は、どのような施設を対象として実施されているか。同対策により整備された一時退避施設等が備えている機能はどのようなものになっているか。また、一時退避施設等に設置された設備の維持管理や設備の機能を発揮させるための訓練等は適切に行われているか。

オ 国の交付金等による防災資機材等の整備状況はどのようになっているか。このうち、平常時から放射線に関する知識の普及啓発のために活用することとされている周辺対策交付金により公共施設等に配備された放射線測定器の活用状況等はどのようになっているか。

(2)検査の対象及び方法

検査に当たっては、24年度以降に交付された国の交付金等により立地道県及び隣接府県の計21道府県において原則として27年9月末までに実施された原子力災害対策に係る施設等の整備等に関する事業(交付金及び補助金の24年度から26年度までの間の交付額計468億余円)を検査の対象とした。

検査の実施に当たっては、予算書、決算書、立地道県等の地域防災計画(原子力災害対策編)等の内容を確認し分析するとともに、立地道県及び隣接府県の計21道府県のうち18道府県(注2)から、オフサイトセンターの整備状況、一時退避施設等の放射線防護対策の実施状況及び周辺対策交付金により配備された放射線測定器の活用状況に係る調書の提出を受けてその内容を分析し、さらに、16道府県(注3)、内閣府及び規制委員会において、上記の調書及び補助金等の交付申請書、実績報告書等の関係書類を基に説明を聴取したり、現地の状況を確認したりするなどして会計実地検査を行った。

(注2)
18道府県  北海道、京都府、青森、茨城、新潟、富山、石川、福井、岐阜、静岡、滋賀、鳥取、島根、愛媛、福岡、佐賀、長崎、鹿児島各県(東日本大震災により特に甚大な被害を受けた宮城、福島両県と調書の対象とする事業の実績がない山口県を21道府県から除いている。)
(注3)
16道府県  北海道、京都府、青森、茨城、新潟、富山、石川、福井、静岡、滋賀、鳥取、島根、愛媛、佐賀、長崎、鹿児島各県