ページトップ
  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成28年7月|

米の生産調整対策の実施状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1)検査の観点及び着眼点

米の生産調整対策は、前記のとおり、その内容を変えながら45年以上にわたって実施されており、26年度までに計約9兆0576億円もの多額の交付金等が投入されてきている。そして、農林水産省は、30年度を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者等が中心となって円滑に需要に応じた米の生産が行われることを目指した生産調整の見直しを含む米政策の改革を進めている。

このような状況の中で、これまで実施されてきた生産調整対策の内容、成果、課題等を分析して検証することは、今後の改革の着実な実施に向けて有益と考えられる。

そこで、会計検査院は、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査を実施した。

ア 生産調整対策は、関係法令等の趣旨に沿って適切に行われていたか、生産調整目標の達成状況はどのようになっていたか、特に、16年度以降は、米政策改革大綱等を受けて、どのように実施されているか。

イ 生産調整対策に係る事後評価は適切に行われてきたか。

ウ 生産調整対策の実施により、米の生産コストや転作等の水田活用状況等にどのような影響が生じていたか。

エ 30年度を目途とする生産調整の見直しに向けてどのような取組が行われているか。

(2)検査の対象及び方法

昭和44年度から平成26年度までの間に実施された計15の生産調整対策(交付金等交付額計約9兆0576億円)を対象として、農林水産本省において会計実地検査を行い、関係資料を徴するなどして国全体の状況について分析等を行った。また、上記生産調整対策のうち、米政策改革大綱等を受けて16年度から26年度までの間に実施された改正食糧法施行期の計5の生産調整対策(同計約2兆8963億円)を対象として、8農政局等(注11)管内の27道府県における27道府県協議会(注12)及び同道府県管内の160市町村における160地域協議会(地域協議会が設置されていない1市を含む。以下同じ。)において会計実地検査を行い、調書等を徴するなどして更に分析等を行った。

(注11)
8農政局等  北海道農政事務所、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局
(注12)
27道府県協議会  北海道、大阪府、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、富山県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、奈良県、和歌山県、岡山県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県各協議会。なお、東日本大震災により甚大な被害を受けた米の主産県である岩手、宮城、福島各県の協議会は除外した。