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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成28年9月|

国立大学法人が大学に設置する附属病院の運営について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1)検査の観点及び着眼点

前記のとおり、国立大学附属病院は、国立大学の法人化以降、収支の企業的管理が必要となり、個々の国立大学附属病院がその経営について独自に責任を負うこととなった。そして、附属病院収入が国立大学法人の自己収入に占める割合は6割を超えており、国立大学附属病院の経営状況が国立大学法人の運営に与える影響は大きいものとなっている。

また、医療制度改革等では、国立大学附属病院を含めた病院の役割分担による医療提供体制の再構築が求められている。さらに、医療事故等を契機として、特定機能病院の承認要件が見直されたり、国立大学附属病院における医療安全管理体制等に対する国民の関心がより一層高くなったりしている。

以上のとおり、国立大学附属病院を取り巻く環境は大きく変化しており、安心、安全で高度の医療の提供等が急務の課題となっている中、国立大学附属病院は、その機能・役割を果たしていくことが求められている。そして、国立大学附属病院が今後も安定して継続的にその機能・役割を果たしていくためには、医療安全を確保した上で、損失が生じないように適切な運営により健全な財務基盤を構築していくことが重要である。

そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査を実施した。

ア 国立大学附属病院の経営状況等について、業務損益や収支はどのように推移しているか、医薬品等の調達は会計規程等に基づき適正に実施されているか、医療機器等の更新等は採算性を検討するなどして実施されているか、監査等は適切に実施されているか。

イ 国立大学附属病院は、教育、研究、診療、地域貢献・社会貢献の機能を十分に果たしているか。

ウ 国立大学附属病院の医療安全管理体制等について、群馬大学医学部附属病院の医療事故は経営等にどのような影響を与えているか、群馬大学医学部附属病院を除く国立大学附属病院の医療安全 に対する取組状況はどのようになっているか。

(2)検査の対象及び方法

45国立大学附属病院のうち、26年度末現在において特定機能病院として承認されていた42国立大学附属病院(注8)(以下、26年度末現在において特定機能病院として承認されていた国立大学附属病院を単に「附属病院」という。)を設置している42国立大学法人の22年度から26年度までの間(群馬大学医学部附属病院の医療事故に伴う経営等への影響等については27年度までの間)の会計を対象として、37国立大学法人(注9)において附属病院に係る財務関係書類を確認したり関係者から説明を聴取したりなどして会計実地検査を行うとともに、42国立大学法人から、附属病院に係る業務運営、経営等に関する調書等の提出を求めて、その内容を分析するなどして検査を行った。

なお、附属病院の取組状況等の分析に資するために、病院を設置している厚生労働省所管の3独立行政法人(注10)においても会計実地検査を行うとともに、病院を大学の附属施設として設置している2学校法人(注11)において調査を実施した。

(注8)
42国立大学附属病院  図表0-1に掲げる45病院から東京大学医科学研究所附属病院、東京医科歯科大学歯学部附属病院及び大阪大学歯学部附属病院を除いた各病院
(注9)
37国立大学法人  北海道大学、旭川医科大学、弘前大学、東北大学、秋田大学、山形大学、群馬大学、千葉大学、東京大学、東京医科歯科大学、富山大学、金沢大学、福井大学、山梨大学、信州大学、岐阜大学、浜松医科大学、名古屋大学、三重大学、滋賀医科大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、鳥取大学、島根大学、広島大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、九州大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学の各国立大学法人
(注10)
3独立行政法人  独立行政法人労働者健康福祉機構(平成28年4月1日以降は独立行政法人労働安全衛生総合研究所と統合し、独立行政法人労働者健康安全機構。以下「労健機構」という。)、独立行政法人国立病院機構(以下「国立病院機構」という。)、国立研究開発法人国立国際医療研究センター
(注11)
2学校法人  学校法人日本医科大学、学校法人大阪医科大学(平成28年4月1日以降は学校法人大阪医科薬科大学)

(以下、各附属病院の名称中、「大学医学部附属病院」、「大学附属病院」、「大学医歯学総合病院」又は「大学医学部・歯学部附属病院」は「大学病院」と記載した。)