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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助の対象とならないもの

地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)により実施した事業の交付対象事業費に交付の対象とならない費用を含めていたもの[内閣府本府、5県](1)―(8)


(8件 不当と認める国庫補助金 224,343,730円)

地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)(以下「交付金」という。)は、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略又は市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略(以下、これらを合わせて「地方版総合戦略」という。)の円滑な策定とこれに関する優良施策の実施を支援することを目的として、地方公共団体が作成した「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)実施計画」(以下「実施計画」という。)に基づく事業に要する費用について、地方公共団体に対してその全部又は一部を国が交付するものである。

交付金の交付対象となる事業については、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)制度要綱(平成27年府地創第21号)等において、実施計画を作成する地方公共団体が実施計画に基づく事業の実施に要する費用の全部又は一部を負担するものであること、地方版総合戦略の策定に先行して行う事業であって地方版総合戦略に位置付けられる見込みのものなどの事業であることなどが定められている。また、国の補助金の給付を受けている、又は受けることが確定している事業には、交付金を充当しないこととされている。

本院が、18県及び280市町村において会計実地検査を行ったところ、2県及び6市町において、実施計画で定めた事業実施期間中に実施していない事業に係る費用や交付金の交付の対象とは認められない懇親会に係る費用を交付対象事業費に含めていたり、国の補助金の給付を受けている事業に交付金が交付されていたりするなどしていたため、交付金相当額計224,343,730円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2県及び6市町において交付金の制度に対する理解が十分でなかったこと、内閣府本府及び5県において事業に係る交付金の額の確定時の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>実施計画で定めた事業実施期間中に実施していない事業に係る費用を交付対象事業費に含めていた事態

鹿児島県は、実施計画に基づき、平成27年3月から28年3月までを事業実施期間とする「地域資源を活用した観光・文化振興事業」を事業費758,125,209円(交付対象事業費308,125,209円)で実施し、同事業において、鶴丸城御楼門の建設事業(以下「建設事業」という。)を150,000,000円で実施するなどしたとして、内閣府本府に実績報告書を提出し、これにより交付金308,125,209円の交付を受けていた。

しかし、建設事業のうちの一部(交付対象事業費110,692,040円)は、実施計画で定めた事業実施期間中に実施されていなかったことから、交付金の交付の対象となる実施計画に基づく事業に該当しないものであった。

したがって、上記建設事業のうち事業実施期間中に実施されていなかったものに係る費用110,692,040円は交付の対象とは認められず、これに係る交付金相当額110,692,040円が不当と認められる。

<事例2>交付の対象とは認められない懇親会に係る費用を交付対象事業費に含めていた事態

群馬県吾妻郡草津町は、実施計画に基づき、「地域資源を生かし誰もが楽しめる新しい観光の提供事業」として、草津温泉入込調査及び広報事業を事業費7,976,000円で実施したとして、群馬県に実績報告書を提出し、これにより交付金7,976,000円の交付を受けていた。

しかし、同町は、交付の対象とは認められない懇親会に係る飲食費等の費用1,050,060円を交付対象事業費に含めていた。

したがって、上記の懇親会に係る費用1,050,060円は交付の対象とは認められず、これに係る交付金1,050,060円が不当と認められる。

<事例3>国の補助金の給付を受けている事業に交付金が交付されていた事態

高知県南国市は、実施計画に基づき、高齢者雇用実現事業を事業費3,579,721円(交付対象事業費3,000,000円)で実施したとして、高知県に実績報告書を提出し、これにより交付金3,000,000円の交付を受けていた。高齢者雇用実現事業は、同市が交付金を財源として、南国市シルバー人材センター運営費補助金を一般社団法人南国市シルバー人材センターに交付することによって、高年齢者の社会参加の促進を図るなどするものである。

しかし、同補助金が交付される事業に対しては厚生労働省からも高年齢者就業機会確保事業費等補助金が交付されており、交付金は、国の補助金の給付を受けている事業に交付されているものとなっていた。

したがって、高齢者雇用実現事業に係る費用3,000,000円は交付の対象とは認められず、これに係る交付金3,000,000円が不当と認められる。

前記の事態を態様別に示すと次のとおりである。

ア 実施計画で定めた事業実施期間中に実施していない事業に係る費用を交付対象事業費に含めていたなどの事態

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(1) 内閣府本府 高知県 地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型) 27 136,436 57,651 12,145 12,072
(2) 鹿児島県 27 758,125 308,125 110,692 110,692
(3) 山形県 最上郡最上町 27 11,760 11,489 1,286 1,015
(4) 岡山県 倉敷市 27 50,028 50,000 3,009 2,981
(5) 高知県 吾川郡仁淀川町 27 48,151 48,068 2,400 2,400
(6) 鹿児島県 鹿児島市 27 150,000 123,495 91,132 91,132

イ 交付の対象とは認められない懇親会に係る費用を交付対象事業費に含めていた事態

(7) 群馬県 吾妻郡草津町 地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型) 27 7,976 7,976 1,050 1,050

ウ 国の補助金の給付を受けている事業に交付金が交付されていた事態

(8) 高知県 南国市 地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型) 27 3,579 3,000 3,000 3,000
(1)―(8)の計 1,166,056 609,805 224,715 224,343