(平成27年度決算検査報告2か所参照 リンク10060 2)
内閣官房及び内閣府本府では、組織の新設・統廃合が多くなっており、それに伴い、執務室の移転等が行われている。また、内閣府本府が行う災害からの国民の保護に関する業務においては、内閣府本府が直接管理する建物以外の地方公共団体の庁舎等の建物等に同業務に必要となる物品が多数設置されるようになってきている。物品管理法(昭和31年法律第113号)等によれば、物品管理官は物品管理簿を、また、物品供用官は物品供用簿(以下、物品管理簿と合わせて「物品管理簿等」という。)をそれぞれ備えて、物品の増減等の異動数量、現在高等を記録することとされており、財務大臣が指定する取得価格が50万円以上の機械、器具等(以下「重要物品」という。)については、物品管理簿に、その価格も記録しなければならないこととされている。さらに、各省各庁の長は、毎会計年度末の物品管理簿の記録内容に基づいて、物品増減及び現在額報告書を作成することとされている。しかし、内閣官房及び内閣府本府において、物品管理簿等に記録されている重要物品の現物が確認できなかったり、取得した重要物品が物品管理簿等に記録されていなかったりするなど、物品の管理が適正を欠いていて、物品管理簿等及び物品増減及び現在額報告書が重要物品の現況を反映した正確なものとなっていないなどの事態が見受けられた。
したがって、内閣総理大臣に対して平成28年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、内閣官房及び内閣府本府において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、内閣官房及び内閣府本府は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 内閣官房及び内閣府本府は、本件事態について、29年1月までに、現況や亡失の状況を調査把握して、物品管理簿等の記録の修正等所要の手続をとり、また、重要物品2個の亡失があった内閣官房は、内閣総理大臣に当該物品の亡失報告を行うとともに、物品亡失通知書を財務大臣及び本院に提出した。
イ 内閣官房は、29年1月に物品の管理に関するマニュアルを改訂して、物品供用官が物品の管理に必要な物品の設置場所、不要となる物品の有無等の情報を業務担当職員から取得した上で、これらの情報を物品供用簿や物品請求書に記録するなどの手続を定めて、業務担当職員と物品供用官との間の連絡体制を整備した。
ウ 内閣府本府は、29年1月に物品の管理に関するマニュアルを改訂して、イと同様の手続を定めて業務担当職員と物品供用官との間の連絡体制を整備するとともに、自らが直接管理する建物以外に設置されている物品等のうち防災通信設備・機器については、29年4月に業務担当職員のうち1名を分任物品管理官として指定して、物品供用官が行う事務を含む物品の管理に関する事務を直接行わせることとした。また、上記マニュアルの改訂において、組織の新設・統廃合及びそれに伴う執務室の移転の際に物品検査を行うよう事務手続を定めた。
エ 内閣官房及び内閣府本府は、職員に対して、29年2月及び同年5月に物品の管理等に関する研修等を行い、物品を適正に管理することなどの重要性について周知徹底を図るとともに、今後も定期的に物品の管理等に関する研修を行うこととした。