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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 総務省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(1) 市町村合併推進体制整備費補助金が過大に交付されていたもの[総務本省](17)


1件 不当と認める国庫補助金 16,360,661円

市町村合併推進体制整備費補助金(以下「合併補助金」という。)は、市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号)の下で行われた市町村の合併を円滑に推進することを目的として、市町村合併推進体制整備費補助金要綱(平成13年総務事務次官通知。平成18年一部改正。以下「補助要綱」という。)に基づき、当該合併により設置されるなどした市町村(以下「合併市町村」という。)が作成した「合併市町村の建設に関する基本的な計画」(以下「建設計画」という。)に基づいて実施される事業に要する経費に対して、その一部を国が補助するものである。

補助要綱によれば、合併補助金は、建設計画に基づく事業を実施する合併市町村に対して、当該建設計画の期間内に、予算の範囲内で交付するものとされている。また、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)によれば、補助事業者等は、補助事業等が完了したときは補助事業等の成果を記載した実績報告書を各省各庁の長に提出しなければならないこととされている。そして、総務省は、合併補助金の交付を受けて複数年度にわたる工事を実施する場合には、単年度ごとに実績報告書を提出する必要があり、上記補助事業等の成果は、各年度末の工事の出来高であるとしている。

本院が2市において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金額 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(17) 総務本省 滋賀県大津市 平野市民センター改築 27 111,557 111,557 16,360 16,360 過大交付

この補助事業は、大津市(平成18年3月20日に大津市及び志賀町が合併)が、17年3月に作成した建設計画(計画期間17年度~27年度)に基づき、27年度に、平野市民センターの支所・公民館としての機能の充実等を図るために「平野市民センター移転新築工事」等4工事(以下「4工事」という。)を行ったものである。

同市は、4工事について、いずれも工期が27、28の2か年度にわたる契約を締結して行っており、本件補助事業の補助対象事業費を111,557,000円であるとして総務本省に実績報告書を提出し、同額の合併補助金の交付を受けていた。

しかし、上記の補助対象事業費は、同市が4工事の各契約相手方に対して27年度に支払った前払金の額の一部を計上したものであり、本件補助事業の成果である4工事の同年度末における出来高は計95,196,339円であった。

したがって、本件補助事業の適正な補助対象事業費は上記出来高の95,196,339円となることから、前記の補助対象事業費111,557,000円は16,360,661円過大となっており、同額の合併補助金が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において当該年度末の工事の出来高が本件補助事業の成果となることについての理解が十分でなかったこと、同省において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。