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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 総務省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(2) 地域経済循環創造事業交付金が過大に交付されていたもの[総務本省](18)(19)


2件 不当と認める国庫補助金 16,055,000円

地域経済循環創造事業交付金は、地域資源を活かした先進的で持続可能な事業化の取組を促進し、地域での経済循環を創造することを目的として、地域経済循環創造事業交付金交付要綱(平成25年総行政第29号)等に基づき、都道府県又は市町村(以下「交付金事業者」という。)が、地域の金融機関等と連携して、地域活性化に資する事業の事業化に取り組む民間事業者等(以下「助成対象事業者」という。)に事業化段階で必要となる経費の助成を行う場合に、その経費に対して、原則として1事業当たり50,000,000円を限度として、国が交付するものである。総務省は、同交付金の事業年度に助成対象事業者が事業に係るものとして初期投資等に支出した額(以下「初期投資額」という。)を同交付金の交付対象事業費としている。そして、同交付金の交付申請に際して、助成対象事業者に、初期投資額から自己資金、金融機関からの融資額等(以下、これらを合わせて「融資額等」という。)を差し引いて交付申請額を算出させ、交付金事業者はこれを同省に提出する実施計画書に記載することとしている。また、同省は、同交付金の額の確定に際して、助成対象事業者から提出された書類等に基づき、交付金事業者が作成し提出する実績報告書の添付書類である事業報告書を用いて、上記の実施計画書に記載された計画額に対応した実績額を確認するなどして交付金の額を確定している。

本院が4県及び59市町村において会計実地検査を行ったところ、1市1町において、本件交付金事業の交付対象事業費に交付の対象とならない経費を含めるなどしていたため、交付金が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、助成対象事業者において同交付金の対象となる経費についての理解が十分でなかったこと、1市1町において助成対象事業者に対する指導が十分でなかったこと、総務本省において本件交付金事業に係る交付金の額の確定時の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

以上を助成対象事業者別に示すと次のとおりである。

  部局等 交付金事業者 助成対象事業者
(事業主体)
交付金事業 年度 交付対象事業費 左に対する交付金交付額 不当と認める交付対象事業費 不当と認める交付金相当額 摘要
            千円 千円 千円 千円  
(18) 総務本省 新潟県中魚沼郡津南町 株式会社クリアーウォーター津南 地域経済循環創造事業交付金
〈津南町地域経済循環創造〉
25 2,081,700 50,000 64,272 1,544 精算過大、補助の対象外

この交付金事業は、株式会社クリアーウォーター津南が、津南町内の湧水を活用したペットボトル入りミネラルウォーターを製造するボトリング工場の建設等に要する経費について、津南町が助成したものである。

そして、同町は、同会社から提出された書類等を用いて、初期投資額として、同工場の建設等に要した経費2,081,700,000円、融資額等として2,031,700,000円を計上した同交付金の実績報告書等を作成して総務本省に提出し、総務本省はこれを確認するなどして交付金の額を50,000,000円と確定して、同額を同町に交付していた。

しかし、同会社は、上記の初期投資額について、実際の支払額を上回る概算金額により計上したり、同交付金の対象とならない借地料等の経費を含めたりなどしていた。

したがって、適正な初期投資額は2,017,427,482円となることから、初期投資額の減少に応じて適正な交付金の交付額を算定すると48,456,000円となり、交付金1,544,000円が過大に交付されていた。

(19) 総務本省 熊本県玉名市 株式会社五葉フーズ 地域経済循環創造事業交付金
〈五葉フーズによる玉名市産農産物地域経済循環創造〉
25 105,490 30,000 51,023 14,511 補助の対象外
(注)
平成26年6月18日以降は株式会社フンドーダイ五葉

この交付金事業は、株式会社五葉フーズが、玉名市産の農産物等を高齢者向けソフト食材として加工することで新たな地域産物を創造するために製造機器の整備等に要する経費について、玉名市が助成したものである。

そして、同市は、同会社から提出された書類等を用いて、初期投資額として、同製造機器の整備等に要した経費105,490,023円、融資額等として75,490,023円を計上した同交付金の実績報告書等を作成して総務本省に提出し、総務本省はこれを確認するなどして交付金の額を30,000,000円と確定して、同額を同市に交付していた。

しかし、同会社は、上記の初期投資額について、同交付金の対象とならない交付金の事業年度終了後のリース料等の経費を含めていた。

したがって、適正な初期投資額は54,466,978円となることから、初期投資額の減少に応じて適正な交付金の交付額を算定すると15,489,000円となり、交付金14,511,000円が過大に交付されていた。

(18)(19)の計 2,187,190 80,000 115,295 16,055