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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 補助金

(6) 地域公共ネットワーク等強じん化事業費補助金により実施した事業の補助対象事業費が過大に精算されていたもの[総務本省](36)


1件 不当と認める国庫補助金 36,184,000円

地域公共ネットワーク等強じん化事業費補助金は、地域における情報通信基盤の強じん化を図るための事業を行う事業主体に対して、事業の実施に要する経費の一部について、国が補助するものである。その補助対象事業費は、事業のために必要な設備及びこれを収容する施設の設置等に要する経費となっている。

本院が8市、3町、2村及び22第三セクターにおいて会計実地検査を行ったところ、1第三セクターにおいて次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金相当額 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(36) 総務本省 株式会社中海テレビ放送 地域ケーブルテレビネットワーク整備 25 314,507 104,835 108,551 36,184 精算過大

この補助事業は、事業主体が、光ケーブル網の強じん化等を目的として、通信経路を複線化する基点となるサブセンターを鳥取県米子市内の3か所に整備するとともに、これらと同市内の既設のヘッドエンド設備(注)との間を光ケーブルにより接続するものである。

事業主体は、3か所のサブセンターのうち角盤サブセンターについて、本件補助事業の対象の一部である放送・通信設備等(以下「補助対象設備」という。)を収容する施設と、本件補助事業ではなく事業主体の単独事業での整備を予定している設備(以下「単独予定設備」という。)を収容する施設とを、一体的に設計し施工していた。そして、事業主体は、補助対象設備と単独予定設備の双方に電力を供給するための非常用発電機等を、この施設の建物と合わせて本件補助事業により設置していた(以下、建物、非常用発電機等を合わせて「建物等」という。)。

事業主体が補助事業で整備する施設と単独事業で整備する施設とを一体的に施工する場合には、地域ケーブルテレビネットワーク整備事業実施マニュアル(平成25年2月総務省作成)に基づき、補助事業のみに係る経費及び単独事業のみに係る経費を除いた共用部分に係る経費について、補助事業と単独事業の専有面積の比率等の合理的な方法で案分した上で補助対象事業費を算出することになっている。

そして、事業主体は、角盤サブセンターに隣接する事業主体のビルに設置した既設の設備にも前記の非常用発電機で電力を供給することを予定していたことから、建物等に係る経費のうち補助対象事業費を算定するに当たり、専有面積の比率ではなく、非常用発電機が電力を供給する設備の消費電力の合計のうち補助対象設備の消費電力が占める割合(以下「電力割合」という。)を用いることとし、これを42%と算出して、建物等に係る経費に一律に乗じていた。

しかし、補助事業のみに係る経費及び単独事業のみに係る経費を共用部分に係る経費と区分できたにもかかわらず、こうした区分を行わずに建物等に係る経費を一律に案分していたことは適切ではない。また、建物等に係る経費に対して、その過半が建築費であるにもかかわらず、専有面積の比率等を用いることなく電力割合を用いて案分していたことは適切ではない。さらに、事業主体が算定した電力割合は、補助対象設備の消費電力に単独予定設備等に係る消費電力を含めるなどされていたことから、過大となっていた。

したがって、建物等に係る経費から補助事業及び単独事業の経費を適切に区分した上で建物の共用部分に係る経費には補助事業の専有面積の割合(6.32%)を乗じ、また、非常用発電機等の共用部分に係る経費にはそれぞれの適正な電力割合を乗ずるなどして、適正な補助対象事業費を算定すると205,955,727円となり、本件補助対象事業費314,507,204円との差額108,551,477円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額36,184,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において補助対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、総務本省において本件補助事業の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
ヘッドエンド設備  放送事業者から受信した放送をケーブルテレビ加入者に再送信したり、加入者との間で双方向のデータ伝送を行ったりするための設備