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(8) 沖縄振興公共投資交付金(学校施設環境改善に関する事業)が過大に交付されていたもの[文部科学本省](64)(65)


2件 不当と認める国庫補助金 15,500,000円

沖縄振興公共投資交付金(学校施設環境改善に関する事業)(以下「交付金」という。)は、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)、沖縄振興公共投資交付金交付要綱(学校施設環境改善に関する事業)(平成24年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)等に基づき、沖縄県が作成する沖縄振興交付金事業計画によって実施される学校施設環境改善に関する事業(市町村が同県を通じて間接に交付金の交付を受けて実施するものを含む。)に要する経費に充てるために、国が同県に対して交付するものである。

交付金の交付額は、交付要綱等によれば、沖縄振興交付金事業計画に記載された事業のうち、算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)ごとに文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合を乗ずるなどして得た額の合計額と、交付対象事業に要する経費の額(以下「交付対象工事費」という。)に同割合を乗じて得た額の合計額のうち、いずれか少ない額を基礎として算定することとされている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積(以下「配分基礎面積」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗ずるなどの方法により算定することとされている。

交付要綱等によれば、交付対象事業のうち、小学校、中学校、幼稚園等の建物で構造上危険な状態にあるものの改築事業(以下「危険改築事業」という。)については、改築を行う年度の5月1日における当該学校の学級数等に応ずる必要面積と、同日における保有面積のうちいずれか少ない面積から、同日における保有面積のうち危険でない部分の面積を控除して国庫補助を受ける資格のある面積(以下「資格面積」という。)を算定し(次式参照)、資格面積を配分基礎面積とすることとされている。

保有面積のうち危険でない部分の面積を控除して国庫補助を受ける資格のある面積 式 画像

また、屋外教育環境の整備に関する事業(以下「屋外環境整備事業」という。)については、幼稚園等の屋外教育環境施設(屋外運動広場のための施設、屋外集会のための施設、屋外学習のための施設等)の整備に要する経費を交付対象として配分基礎額を算定することとされている。

本院が、同県及び同県の19市町村において会計実地検査を行ったところ、同県及び1町において、資格面積等の算定に当たり、交付要綱等に基づく算定式を適用せずに保有面積を資格面積としていたり、交付対象とならない工事費を含めていたりしていたため、配分基礎額及び交付対象工事費が過大に算定されており、交付金計15,500,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県及び1町において交付金の交付額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、文部科学省及び同県において同県及び1町から提出された実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

島尻郡八重瀬町は、平成24、25両年度に、具志頭幼稚園の屋外環境整備事業等を実施し、交付金124,266,000円の交付を受けていた。

同町は、同園の屋外環境整備事業に係る配分基礎額の算定に当たり、園庭広場、遊具、倉庫用建物、駐車場等の整備に係る工事費を交付対象としていた。

しかし、倉庫用建物及び駐車場は、屋外教育環境施設に該当せず交付対象とならないことから、同町は、配分基礎額の算定に当たり、これらの整備に係る工事費を全体の工事費から除外すべきであった。

したがって、配分基礎額から倉庫用建物及び駐車場の整備に係る工事費を除外して交付金の交付額を算定すると116,786,000円となることから、交付金7,480,000円が過大に交付されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者 間接補助事業者 交付対象事業の種別 年度 交付金の交付額 不当と認める交付金の交付額 摘要
            千円 千円  
(64) 文部科学本省 沖縄県
(事業主体)
危険改築事業 24~26 5,933,334 8,020 保有面積を資格面積としていたもの
(65) 沖縄県 島尻郡八重瀬町
(事業主体)
屋外環境整備事業 24、25 124,266 7,480 交付対象とならない工事費を含めて配分基礎額を算定していたもの
(64)(65)の計 6,057,600 15,500