ページトップ
  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(10) 公立学校施設整備費負担金が過大に交付されていたもの[4県](73)―(76)


4件 不当と認める国庫補助金 83,199,000円

公立学校施設整備費負担金(以下「負担金」という。)は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号。以下「国庫負担法」という。)等に基づき、公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するため、公立の義務教育諸学校の建物の建築に要する経費について、国がその一部を負担するものである。

国庫負担法等によれば、負担金の対象となる経費は、公立の小学校、中学校等における教室の不足を解消するための校舎の新築又は増築を行う事業(以下「新増築事業」という。)に要する経費、公立の小学校、中学校等の屋内運動場の新増築事業に要する経費等とすることとされている。そして、新増築事業については、新築又は増築を行う年度の5月1日(以下「基準日」という。)における当該学校の学級数に応ずる必要面積から基準日における保有面積を控除して国庫補助を受ける資格のある面積(以下「資格面積」という。)を算定することとされており、負担金の交付額は、資格面積に1m2当たりの建築の単価を乗ずるなどして算定することとされている。また、必要面積の算定に用いる学級数は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)に規定する学級編制の標準により算定した学級の数(以下「標準学級数」という。)とすることとされている。

そして、「公立学校施設整備費負担金の事業概要について」(平成24年文部科学省大臣官房文教施設企画部施設助成課長通知)によれば、新増築事業に係る資格面積の算定に当たり、交付決定年度末までに取壊し後5年を経過しない危険建物(構造上危険な状態にある建物をいう。以下同じ。)等がある場合には、当該危険建物等の面積を基準日における保有面積に算入することとされている。また、新増築事業を実施した後の保有面積が必要面積を下回る場合には、当該保有面積から基準日における保有面積を控除して得た面積を資格面積とすることになっている。

本院が、22都道県及び178市区町村、計200地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、4県の4市において、資格面積の算定に当たり、標準学級数ではなく実際の学級数に応じて必要面積を算定していたり、新増築事業を実施した後の保有面積が必要面積を下回っているのに必要面積から基準日における保有面積を控除していたり、交付決定年度末までに取壊し後5年を経過しない危険建物等の面積を保有面積に算入していなかったりなどしていたため、負担金計83,199,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4市において負担金の交付額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、4県において4市から提出された実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

山口県下松市は、平成26、27両年度に、末武中学校校舎の新増築事業を実施し、負担金144,132,000円の交付を受けていた。

同市は、同校校舎の必要面積を8,670m2、保有面積を7,036m2とするなどして資格面積を1,615m2と算定していた。

しかし、同市は、資格面積の算定に当たり、交付決定年度である26年度末までに取壊し後5年を経過しない危険建物等に該当する校舎の一部の面積205m2を上記の保有面積に算入していなかった。

したがって、上記校舎の面積を保有面積に算入するなどして適正な資格面積を算定すると1,429m2となり、これにより負担金の交付額を算定すると127,586,000円となることから、負担金16,546,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
交付対象事業の種別 年度 負担金の交付額 不当と認める負担金の交付額 摘要
          千円 千円  
(73) 青森県 弘前市 校舎の新増築事業 24、25 3,662 3,662 取壊し後5年を経過しない危険建物等の面積を保有面積に算入していなかったもの
(74) 長野県 長野市 屋内運動場の新増築事業 27 82,660 31,091 事業実施後の保有面積が必要面積を下回っているのに、必要面積から基準日における保有面積を控除して資格面積を算定していたもの
(75) 奈良県 天理市 校舎の新増築事業 26、27 105,953 31,900 実際の学級数を用いて必要面積を算定していたもの
(76) 山口県 下松市 26、27 144,132 16,546 取壊し後5年を経過しない危険建物等の面積を保有面積に算入していなかったなどのもの
(73)―(76)の計 336,407 83,199