2件 不当と認める国庫補助金 4,039,000円
私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)は、幼稚園教育の振興に資することを目的として、幼稚園の危険な状態にある園舎の改築、耐震補強工事等を行う学校法人等に対して、改築等に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立幼稚園施設整備費)交付要綱(平成11年文部大臣裁定)等によれば、園舎の改築等に係る経費を補助対象経費として、これに補助率(原則として3分の1以内)を乗じて算定することなどとされている。
そして、園舎の改築を行う場合の補助対象経費は、補助単価に補助資格面積を乗じて得た額とすることとされている。この補助資格面積は、改築後の建築面積等を用いて算定することとされていて、建築面積は、建物ごとに、壁や建具等により風雨を防ぐことができる部分の床面積の合計とすることとされている。また、文部科学省の通知によれば、この補助金については、交付の内定前に事業着手があった場合は補助を行わないこととされている。
本院が、19都道県の54学校法人において会計実地検査を行ったところ、2学校法人において、壁や建具等により風雨を防ぐことができない部分の床面積を補助資格面積に含めたり、補助金交付の内定前に事業着手していた事業を補助の対象としたりしていたため、国庫補助金計4,039,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2学校法人において補助対象経費の算定方法についての理解が十分でなかったこと、補助事業の適正な執行に対する認識が欠けていたこと、2都県において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
学校法人日景学園は、平成25年度に、同法人が設置する向陽幼稚園の園舎の改築事業を実施し、補助対象経費58,637,000円に補助率を乗ずるなどして国庫補助金19,545,000円の交付を受けていた。
しかし、同法人は、壁や建具等により風雨を防ぐことができないウッドデッキに係る部分の床面積を補助資格面積に含めて補助対象経費を算定していた。
したがって、適正な補助資格面積により算定した補助対象経費51,998,000円に対する国庫補助金は17,332,000円となり、国庫補助金2,213,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
以上を部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(93) | 秋田県 | 学校法人日景学園 | 向陽幼稚園改築(耐震) | 25 | 58,637 | 19,545 | 6,639 | 2,213 | 補助の対象とならない面積を補助資格面積に含めていたもの (向陽幼稚園) |
(94) | 東京都 | 学校法人のぞみ幼稚園 | 非構造部材耐震補強工事(園舎) | 27 | 5,479 | 1,826 | 5,479 | 1,826 | 補助金交付の内定前に事業着手していたもの(のぞみ幼稚園) |
(93)(94)の計 | 64,116 | 21,371 | 12,118 | 4,039 |