(1件 不当と認める国庫補助金 1,192,000円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(245) | 北陸農政局 | 新潟県 (事業主体) |
― | 農村地域防災減災 | 27 | 10,411 | 5,205 | 2,384 | 1,192 |
この補助事業は、新潟県が、糸魚川市大字土倉地内において、斜面の地すべりを防止するために、L型の金網(幅2.0m、高さ0.5m)に中詰材として砕石を投入して一体化させたものを4段から6段に積み重ねるなどして、擁壁(高さ2.0~3.0m、延長50.0m)を築造したものである。
同県は、本件擁壁工の設計を「道路土工 擁壁工指針」(公益社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)等に基づき行っている。指針によれば、擁壁の直接基礎の計画地盤面等からの根入れ深さ(以下「根入れ深さ」という。)は、風化作用による地盤の劣化等の影響を考慮する必要があるとされており、原則として0.5m以上確保することとされている。
そして、同県は、指針に基づき、擁壁の前面を土砂で0.5m埋め戻すこととし、これにより施工することとしていた。
しかし、現地の状況を確認したところ、全長50.0mのうち延長10.0mについては、請負人が設計図書に記載された根入れ深さを十分に確認しないまま擁壁前面の法面の整形を行ったことにより、必要とされる根入れ深さが最大0.5m不足していた(参考図参照)。
したがって、本件擁壁のうち、延長10.0m(工事費相当額2,384,000円)については、施工が適切でなかったため、風化作用による地盤の劣化等が進行すると擁壁に損傷が生ずるおそれがある状態となっていて、工事の目的を達成しておらず、これに係る補助金相当額1,192,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、請負人が設計図書等に対する理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
擁壁の概念図