(1件 不当と認める国庫補助金254,100,000円)
部局等 | 補助事業者 (所在地) |
間接補助事業者 (所在地) |
補助事業 | 年度 | 事業費
(補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(253) | 経済産業本省 | 福島県 | 株式会社CKU (大阪府岸和田市) 〈事業主体〉 |
地域経済産業復興立地推進 | 24~26 | 401,326 (381,841) |
254,100 | 381,841 | 254,100 |
この補助事業は、原子力災害により甚大な被害を受けた福島県における企業の生産拡大及び継続的な雇用創出を図り、もって福島県の早急な地域経済の復興再生に寄与することを目的として、平成23、24両年度に、福島県(以下、補助事業者としての福島県を「県」という。)が、経済産業省から地域経済産業復興立地推進事業費補助金の交付を受けて、福島県原子力災害等復興基金(以下「基金」という。)を造成したものである(基金造成額2102億円)。県は、地域経済産業復興立地推進事業費補助金交付要綱(平成23・12・05財地第1号)等に基づき、福島県内に工場等を設置して操業するなどの企業であって福島県知事が指定した企業に対して、土地、建物及び機械設備の取得等に係る経費の一部を対象として、造成した基金を取り崩して「ふくしま産業復興企業立地補助金」(以下「基金補助金」という。)を交付している。また、県は、基金補助金を受けて実施する事業(以下「基金補助事業」という。)に係る公募、基金補助事業の実施者(以下「基金補助事業者」という。)に対する確定検査等の事務を実施している。
事業主体は、熱交換器の量産化の拠点としての工場を設置して操業することを目的とし、福島県白河市において土地、建物及び機械設備の取得等の事業を行うとして、24年3月に福島県知事に対して基金補助事業者としての指定を受けるために申請し、同年12月に福島県知事から基金補助事業者としての指定を受けていた。そして、事業主体は、26年3月に上記の事業を実施したと県に報告していたが、県が同月に現地の状況を確認した結果、工場の操業が確認できなかったことなどから、県は事業主体に改めて関係書類等を提出するよう指示していた。その後、県は、同年10月に再度現地の状況を確認した結果、事業主体から工場の操業を示す証拠として熱交換器の試作に係る3件分の受注に関する書類が提示されたことなどから工場が操業していると判断して、同月に、事業費を計401,326,230円、基金補助対象事業費を381,841,056円と認定して、基金補助金の額を254,100,000円(国庫補助金額同額)と確定し、同年11月に、基金を取り崩して事業主体に対して同額の基金補助金を交付していた。
しかし、事業主体が県に提示した上記の受注に関する書類は事業主体が偽造したものであり、上記受注の事実は認められなかった。そして、事業主体において、熱交換器の製造の受注が実際にあったことを示す書類はなかった。また、事業主体において、熱交換器の製造に係る実際の工程を示した資料や、各機械設備の使用状況等を記録した日報等の書類もなく、機械設備については、29年6月の会計実地検査時点で廃棄処分を検討中として工場内の一角に集められた状態となっていて稼働していなかった。
これらのことから、事業主体は熱交換器の製造を全く行っておらず、補助の目的である熱交換器の製造のための工場の操業は行われていなかったと認められる。
したがって、本件基金補助事業はその実施が著しく適切を欠いていて、前記の基金補助対象事業費381,841,056円に係る取り崩された基金254,100,000円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において基金補助事業の適正な執行に対する認識が欠けていたこと、県において実績報告書等の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。