(1件 不当と認める国庫補助金 141,654,100円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(265) | 鳥取県 | 鳥取県 | 防災・安全交付金(道路) | 25~27 | 310,600 (310,600) |
217,420 | 202,363 (202,363) |
141,654 |
この交付金事業は、鳥取県が、鳥取市槇原地区において、橋りょう(橋長43.4m、幅員9.7m~10.7m)を新設するために、下部工として橋台2基(以下、右岸側の橋台を「A1橋台」、左岸側の橋台を「A2橋台」という。)の築造、上部工としてプレストレストコンクリート製の中空床版桁(以下「PC桁」という。)の製作、架設等を実施したものである。
本件橋りょうについては、地震発生時におけるPC桁の落下を防止するために、橋台の胸壁とPC桁とをPC鋼材で連結する落橋防止構造をA1橋台及びA2橋台の胸壁にそれぞれ9個、計18個設置していた(参考図参照)。
同県は、本件橋台の胸壁の設計に当たり、落橋防止構造の位置を橋台の橋座面から上方900mmの高さとして、この高さに落橋防止構造を設置すれば地震発生時に胸壁に作用する曲げモーメント(注)が最大抵抗曲げモーメント(注)を下回ることから、応力計算上安全であるとしていた。その後、同県は、各PC桁を横締めする鋼材の位置が落橋防止構造の位置とほぼ同じ高さになることから、落橋防止構造の位置をA1橋台では橋座面から上方1,122mmの高さ、A2橋台では同じく1,139mmの高さへ移動して設計図面を作成し、これにより施工していた(参考図参照)。
しかし、落橋防止構造の位置を上方へ移動すると、胸壁に作用する曲げモーメントが増加することとなるのに、同県は、落橋防止構造の位置の移動を踏まえた胸壁の応力計算を行っていなかった。
そこで、改めて落橋防止構造の位置を移動後の高さとして胸壁に作用する曲げモーメントを算出したところ、A1橋台では931.86kN・m、A2橋台では1,053.62kN・mとなり、両胸壁の最大抵抗曲げモーメント868.63kN・mを大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件胸壁は設計が適切でなかったため、同胸壁及びこれと落橋防止構造で連結されているPC桁等(これらの工事費相当額計202,363,000円)は、地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計141,654,100円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
橋りょう概念図