(1件 不当と認める国庫補助金 3,501,083円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(268) | 徳島県 | 美馬市 | 河川等災害復旧 | 25、26 | 26,509 (24,723) |
16,490 | 5,249 (5,249) |
3,501 |
この補助事業は、美馬市が、美馬市木屋平字向樫原地内において、台風により被災した市道木屋平5号線の法面を復旧するために、受圧板工、アンカー工等を実施したものである。
受圧板工及びアンカー工は、地山に挿入した鋼材の先端部を注入材で地山に定着させるとともに、地表面側の鋼材の端部は法面に設けた受圧板に定着具で固定して緊張し、地山とこれらを連結することにより地すべりの力に抵抗させようとするものである。そして、同市は、本件受圧板工及びアンカー工について、3か所の施工箇所のうちの1か所において、6基の受圧板にそれぞれアンカー1本ずつ計6本を施工していた。
同市は、受圧板工及びアンカー工の設計を「グラウンドアンカー設計・施工基準、同解説」(社団法人地盤工学会編)等に基づき行っており、受圧板の構造については、アンカーから作用する力(以下「設計アンカー力」という。)に対する強度を有する鉄筋コンクリート構造とすることとしていた。そして、設計計算書によれば、上記6基の受圧板の寸法を縦1.5m、横1.5m、厚さ0.4mとし、アンカーの固定位置(以下「アンカー位置」という。)から受圧板の上下端部までの長さをいずれも0.75mとして、受圧板が地山に接する背面側に径16mmの主鉄筋を25cm間隔で配置すれば、設計アンカー力により主鉄筋に生ずる引張応力度(注)は171.8N/mm2となり、許容引張応力度(注)180N/mm2を下回ることから応力計算上安全であるとしていた。
しかし、受圧板の形状を設計図面等で確認したところ、当該受圧板は、縦方向の長さのうち地山に接して受圧板を支える背面側の長さについて、雨水の水切りのためにアンカー位置から受圧板の上端部までの長さが0.87mと設計計算書よりも0.12m長い形状になっており、これにより施工されていた(参考図参照)。
そこで、改めて、アンカー位置から受圧板の上端部までの長さを0.87mとして応力計算を行ったところ、主鉄筋に生ずる引張応力度は218.9N/mm2となり、前記の許容引張応力度180N/mm2を大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、6基の受圧板及びこれらに施工されたアンカー等(工事費相当額5,249,000円)は、受圧板工の設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,501,083円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
受圧板工及びアンカー工の断面図