(3件 不当と認める国庫補助金 30,861,000円)
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(270) | 国土交通本省 | 株式会社市浦ハウジング&プランニング | 株式会社すすきのプラザ | サービス付き高齢者向け住宅整備事業 | 24、25 | 129,675 (82,779) |
27,593 | 109,675 (69,939) |
23,313 |
(271) | 同 | 同 | 有限会社はるかぜの家 | 同 | 26、27 | 236,520 (234,351) |
23,434 | 20,000 (19,817) |
1,982 |
(272) | 同 | 同 | 株式会社シニア村 | 先導的事業 | 22、23 | 485,218 (459,535) |
65,974 | 74,969 (55,660) |
5,566 |
(270)―(272)の計 | 851,413 (776,665) |
117,001 | 204,644 (145,416) |
30,861 |
これらの補助事業は、2事業主体が、サービス付き高齢者向け住宅整備事業(以下「サ高住事業」という。)として、介護サービス施設を備えたサービス付き高齢者向け住宅(注1)(以下「サ高住」という。)を新築又は既存の建物を改修することにより整備したもの、及び1事業主体が、先導的事業(注2)として、医療施設を備えた高齢者等向けの住宅を入居希望者から出資を集め入居希望者と設計から建築まで相談しながら新築するなどしたものである。
国土交通省は、サ高住事業及び先導的事業を行う民間事業者等の事業主体に対して、公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)を通じて補助金を交付している。そして、事務事業者には株式会社市浦ハウジング&プランニングが選定されており、同会社は国土交通省から国庫補助金の交付を受けて、これらの事業を行う事業主体から提出された実績報告書等の審査等の事務を行っている。
国土交通省の承認を得て事務事業者が定めた募集要領等によれば、事業主体は、事業完了後、事業費の総額及び補助対象事業費を記載した実績報告書を提出することとされており、また、サ高住事業については、請負工事費の支払を証する領収書等の写しを実績報告書に添付することとされている。
しかし、3事業主体(サ高住事業2事業主体、先導的事業1事業主体)が実施した計3件の補助事業(国庫補助金交付額計117,001,000円)において、事業主体は、虚偽の内容の領収書の写しを添付して支払っていない工事費を補助対象事業費に含めて実績報告書を提出していたり、値引きを受けて実績報告書において報告した事業費よりも低額で事業を実施していたりしていた。このため、補助対象事業費が計145,416,000円過大に算定されていて、これに係る国庫補助金相当額計30,861,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、事務事業者において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったこと、国土交通省において事務事業者に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例1>虚偽の内容の領収書の写しを添付して実績報告書を提出して支払っていない金額を含めて補助対象事業費を過大に算定していた事態
株式会社すすきのプラザ(札幌市所在)は、平成24、25両年度に既存の建物を改修して介護サービス施設を備えたサ高住の整備を総事業費129,675,000円(補助対象事業費82,779,000円)で実施したとする実績報告書を、工事請負代金129,675,000円を全額支払ったとする領収書の写しを添付して、事務事業者に提出し、国庫補助金27,593,000円の交付を受けていた。
しかし、本件工事の請負代金の支払状況等をみると、実績報告書に添付された領収書の写しは虚偽のものであり、実際には実績報告書提出時点において請負業者に支払っていたのは20,000,000円であった。
したがって、上記工事請負代金の支払額20,000,000円に基づき適正な補助対象事業費を算定すると、12,840,000円となり、補助対象事業費が69,939,000円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額23,313,000円が過大となっていた。
<事例2>実績報告書の事業費よりも低額で事業を実施していて補助対象事業費を過大に算定していた事態
株式会社シニア村(茨城県龍ケ崎市所在)は、平成22、23両年度に、医療施設を備えた高齢者等向けの住宅を入居希望者から出資を集め入居希望者と設計から建築まで相談しながら新築するなどの先導的事業を、事業費計485,218,000円(補助対象事業費計459,535,000円)で実施したとする実績報告書を事務事業者に提出し、国庫補助金計65,974,000円の交付を受けていた。そして、実施した事業のうち医療施設を備えた高齢者等向けの住宅の建設については工事請負代金450,000,000円で請負業者と請負契約を締結していた。
しかし、本件工事の請負代金の支払状況等をみると、事業主体は、請負代金の支払に当たって、請負業者から75,627,992円の値引きを受けていて、実際の事業費は実績報告書の事業費よりも低額となっていた。
したがって、本件事業は、実際の工事に要した費用374,372,008円に基づき適正な補助対象事業費を算定すると、計403,875,000円となり、補助対象事業費が55,660,000円過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額5,566,000円が過大となっていた。