(1件 不当と認める国庫補助金 6,065,950円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(278) | 千葉県 | 千葉県 | 防災・安全交付金(道路) | 26、27 | 179,086 (179,086) |
98,497 | 11,029 (11,029) |
6,065 |
この交付金事業は、千葉県が、勝浦市墨名(とな)地内において、一般国道128号のランプ部の形状変更、交差点の設置等を行うために、カルバート工、地盤改良工等を実施したものである。
このうち、カルバート工は、ランプ部の形状変更による拡幅に伴い、道路下を横断する水路として既設のボックスカルバート(以下「既設カルバート」という。)の上流側と下流側に、プレキャストコンクリート製のボックスカルバート(内空断面の幅1.5m、高さ2.0m、長さ1.0m~2.0m。以下「新設カルバート」という。)を、計40基設置するものである。また、地盤改良工は、新設カルバートの下を地盤改良するもので、支持層の上の軟弱層をセメント系固化材により固結させるなどして、基礎地盤を造成するものである。
同県は、本件地盤改良工及びカルバート工を、設計図書等に基づき、次のように施工することとしていた。
① 地盤改良工については、新設カルバートを設置する箇所の下において施工することとする。ただし、下流側は、平成25、26両年度に先行して施工していた箇所を除いて、既設カルバートから6基目までの新設カルバートを設置する箇所の下において施工することとする。そして、下流側の軟弱層の厚さは、6基目の新設カルバートの下において最大2.2mと推定されており、この軟弱層が地盤改良工を施工する範囲となる(参考図1参照)。
② カルバート工については、地盤改良工により造成した基礎地盤の上に、均しコンクリートを厚さ150mmで打設して、その上にモルタルを厚さ20mmで均一に敷き詰めた後に新設カルバートを設置して、新設カルバートとモルタルとを密着させる(参考図2参照)。
しかし、現地の状況を確認したところ、地盤改良工については、既設カルバートの下流側に設置した6基目の新設カルバートの下において、最大2.2mの厚さで施工することとしていたのに、最大でも1.2mしか施工しておらず、支持層の上の軟弱層が残った状態となっていた(参考図1参照)。また、カルバート工については、既設カルバートの上流側に設置した2基目の新設カルバートの下において、モルタルの厚さが不足しており、均しコンクリートの上にモルタルを均一に敷き詰めておらず、新設カルバートとモルタルが密着していなかった(参考図2参照)。このため、盛土、カルバートの荷重等のため、カルバートの不同沈下が発生して、既設カルバートの下流側に設置した6基目と7基目の新設カルバートの間及び上流側に設置した1基目と2基目の新設カルバートの間に、段差が10mmから20mm生じていて、カルバート内面の継手付近のコンクリートがひび割れていたり、剥離して鉄筋等が露出したりしていた。
したがって、上流側及び下流側各2基、計4基の新設カルバートに係るカルバート工等(工事費相当額計11,029,000円)は、施工が設計と相違して粗雑なものとなっていたため、カルバートとしての耐久性が著しく低い状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額計6,065,950円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、請負人が設計図書等についての理解が十分でなく、粗雑な施工を行っていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図1)
地盤改良工及びカルバート工の縦断方向の概念図
(参考図2)
上流側に設置した新設カルバート(2基目)基礎部分の横断方向の概念図