ページトップ
  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 平成27年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5) 新重点密集市街地の解消に向けた事業の実施等について


平成27年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

国土交通省は、地震時等に著しく危険な密集市街地である新重点密集市街地を平成32年度末までにおおむね解消するために、新重点密集市街地等において市区町が延焼危険性等の改善に向けて実施する住宅市街地総合整備事業等に交付金等を交付している。しかし、新重点密集市街地の地区内に一時避難場所等が指定されているのに延焼危険性が高いなど最低限の安全性を確保しておらず新重点密集市街地が解消していない事態、住宅市街地総合整備事業において、事業計画を作成しておらず事業の進捗状況を確認できなかったり、地域住民等から構成されるまちづくり協議会等を設置していないこと、ハザードマップ等により新重点密集市街地の危険度を公表していないことなどにより事業が進捗していなかったりする事態及び新重点密集市街地の設定に当たり、過大な面積を1地区として設定するなどしていて、最低限の安全性が確保されているか適切に判定されず危険な区域が地区内に残存するおそれがある事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、市区町に対して、新重点密集市街地内に一時避難場所等が指定されている地区について早期に最低限の安全性を確保して新重点密集市街地を解消することの重要性等について周知徹底し、必要に応じて助言したり、事業計画を作成すること、協議会等を設置すること及びハザードマップ等により新重点密集市街地の危険度を公表することの重要性等について、他の地区の事例集等を作成して、市区町に対して情報提供するなどして周知徹底し、必要に応じて助言したり、市区町に対して、地区の状況に応じて最低限の安全性が確保されているかきめ細かく適切に判定することについて具体的に明示し、必要に応じて助言したりするよう、国土交通大臣に対して28年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、29年1月に市区町の担当者を対象とした説明会を開催するなどして、市区町に対して次のような処置を講じていた。

ア 新重点密集市街地内に一時避難場所等が指定されている地区について早期に最低限の安全性を確保して新重点密集市街地を解消することの重要性等について、避難場所の安全性確保の必要性、避難場所に留意した密集市街地の改善整備の方法等を示すなどして周知徹底し、市区町からの個別の相談に応じて助言するなどした。

イ 事業計画を作成すること、協議会等を設置すること及びハザードマップ等により新重点密集市街地の危険度を公表することの重要性等について、他の地区の取組事例を用いて情報提供するなどして周知徹底し、市区町からの個別の相談に応じて助言するなどした。

ウ 地区の状況に応じて最低限の安全性が確保されているかきめ細かく適切に判定することについて、地区の面積が非常に大きい場合や飛び地を含めて1地区としているなどの場合は地区を分割するなどして適切な地区の単位で判定することを具体的に明示し、市区町からの個別の相談に応じて助言するなどした。さらに、市区町が毎年度国土交通省に報告することとなっている新重点密集市街地の改善整備の進捗状況等を把握する調査のための手引を29年2月に改訂して、上記の判定方法等を具体的に明示した。