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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 環境省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助金が過大に交付されていたなどのもの

除染作業に係る事業費の算定を誤っていたため、補助金が過大に交付されていたもの[環境本省](284)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,900,500円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(284) 環境本省 栃木県日光市 放射線量低減対策特別緊急 25 10,048
(10,048)
10,048 1,900
(1,900)
1,900

この補助事業は、日光市が、東日本大震災による原子力災害に伴う放射線が人の健康等に及ぼす影響を減少させるために、同市が平成24年4月に策定した日光市除染実施計画における除染対象区域(空間線量率が0.23μSv(注)/h以上の区域)に所在する住宅を対象として、除染作業(雨どいなどの清掃及び洗浄、除草、汚泥及び落葉の除去並びに除去土壌等の一時保管)を業者に請け負わせて実施したものである。

(注)
Sv(シーベルト)  人体の被ばくによる生物学的影響の大きさ(線量当量)を表す単位。なお、1時間被ばくを受け続けた場合に、どの程度の線量当量を受けるかを表す線量率の単位が「Sv/h」である。
1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在したと仮定して、1年間の追加被ばく線量(自然界からの被ばく線量及び医療被ばくを除いた被ばく線量)1mSvを1時間当たりに換算すると0.19μSv/hとなり、これに自然界からの放射線のうち大地からの放射線に係る線量率0.04μSv/hを加えると、0.23μSv/hとなる。

本件請負契約の契約書によれば、発注者は、必要があると認めるときは設計変更することができ、この場合において必要があると認められるときは契約金額を変更しなければならないとされている。

そして、同市は、本件請負契約の完了時に、除染作業の実績数量等を記載した業務報告書を請負業者から提出させ、これに基づき、当初契約において予定していた67世帯分の除染作業を53世帯分の除染作業に変更するとして最終変更契約を締結していた。

同市は、設計変更に当たっては、「土木工事標準積算基準書(共通編)」(栃木県県土整備部)に基づくこととしており、これによれば、当初設計金額に対する当初契約金額の割合である請負比率を算出し、これを変更後の設計金額に乗ずるなどして、変更後の契約金額を算定することとされている。

しかし、同市は、請負比率81.105%を変更後の設計金額9,570,000円に乗じ、これに消費税及び地方消費税を加算して契約金額を算定すべきところ、誤って、請負比率を乗ずることなく、変更後の設計金額に消費税及び地方消費税を加算して契約金額を10,048,500円と算定して、同額を請負業者に支払っていた。

したがって、本件請負契約について、請負比率81.105%を変更後の設計金額9,570,000円に乗ずるなどして適正な契約金額を算定すると8,148,000円となり、本件契約金額10,048,500円は、これに比べて1,900,500円(補助対象事業費同額)過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,900,500円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において契約を変更する際の契約金額の算定に当たり請負比率を設計金額に乗ずることについての理解が十分でなかったこと、環境本省において同市に対する助言が十分でなかったことなどによると認められる。