(1件 不当と認める国庫補助金 150,569,000円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(314) | 東北防衛局 | 宮城県加美郡色麻町 | 特定防衛施設周辺整備調整交付金 (IP告知システム整備) |
23~26 | 161,637 (161,637) |
160,469 | 151,725 (151,725) |
150,569 |
この交付金事業は、色麻町が、王城寺原演習場関連公共用施設整備事業として、行政や防災等に関する情報を町民に提供できるようにすることを目的に、色麻町内に六つの基地局を設置するとともに、色麻町内の全世帯(約2,000世帯)にIP告知端末を設置して、地域WiMAX(注)を利用して情報を音声により一斉放送するシステム(以下「IP告知システム」という。)の構築を行ったものである。
同町は、基地局ごとに無線機1台を分配器でアンテナ2本又は3本に接続しても十分な送信電力が確保でき、また、音声情報のデータ量を8分の1に圧縮する方式等で基地局から送信すれば色麻町内の全世帯向けに一斉放送が実施できるとして、IP告知システムを構築していた。
しかし、平成27年4月に運用開始することとされていたIP告知システムによる色麻町内の全世帯への一斉放送は、28年6月の会計実地検査時点においても実施できていなかった。そして、本院の検査結果を受けて同町が設置した検証委員会の検証結果報告書を確認するなどしたところ、一斉放送が実施できていない原因は、一斉放送のために必要な送信電力を確保するには無線機1台に対して接続するアンテナは1本とする必要があったのに、前記のとおり無線機1台を分配器でアンテナ2本又は3本に接続したため送信電力が約2分の1から約3分の1に低下していたこと、音声情報のデータ量を8分の1に圧縮して一斉放送する場合、通信速度は1基地局当たり13.3Mbpsを確保する必要があったのに、最大10Mbpsしか確保できず不足していたことなどによるとされており、これらの課題は現状では解決が困難であるとされていた。このため、色麻町内の全世帯へのIP告知システムによる一斉放送は今後も実施できない状況となっていた。
したがって、本件交付金事業により整備したIP告知システム(交付対象事業費計151,725,000円)は、補助の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額計150,569,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、補助事業の適正な実施についての認識が欠けていたことなどによると認められる。