国有財産法(昭和23年法律第73号)等によれば、各省各庁の長は、その所管に属する国有財産について、毎会計年度間における増減及び毎会計年度末における現在額を集計して「国有財産増減及び現在額報告書」(以下「現在額報告書」という。)を作成し、財務大臣に送付することとされている。そして、防衛省では、同省内部部局が同省所管の国有財産に関する事務を総括しており、部局の長は、部局所属の国有財産について、取得等の異動があった場合には、直ちに、国有財産台帳に記録しなければならないこととなっている。また、海上自衛隊では、艦船取得時の国有財産台帳への記録は、造船会社から提出される生産明細書における国有財産の合計額を基に行うこととなっており、艦船に係る国有財産台帳の価格改定は、「国有財産台帳の価格改定に関する評価要領について」(平成3年海幕艦船第1720号。以下「海幕通知」という。)において定められている艦船の種別等ごとの耐用年数に対応する償却率を用いて算定した価格を価格改定後の国有財産台帳価格とすることとなっている。しかし、呉地方総監部において艦船取得時の価格を誤っていたり、横須賀、佐世保、舞鶴各地方総監部において誤った耐用年数に対応する償却率を用いていたりしていて、艦船に係る国有財産台帳価格が正確に記録されておらず、国有財産台帳、現在額報告書等が国有財産の増減等を正確に反映したものとなっていない事態が見受けられた。
したがって、防衛大臣に対して平成28年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、防衛省内部部局等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 28年11月に、艦船に係る国有財産事務を担当する4地方総監部に対して、生産明細書の国有財産の合計額を艦船取得時の国有財産台帳価格とすること、また、海幕通知に示されている耐用年数に対応した償却率を用いて適正に価格改定を行うことなどにより国有財産台帳に適正な台帳価格を記録させるとともに、29年3月に現在額報告書の誤びゅう訂正の報告を行った。
イ 29年2月までに、艦船に係る国有財産台帳価格の記録に当たり、艦船取得時及び価格改定時の事務処理上の留意点等を明確にして、艦船に係る国有財産事務を担当する6地方総監部等に通知するなどして指導等を徹底するとともに、艦船に係る国有財産の事務担当者に対して、上記の通知等に即して周知徹底を図った。