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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第14 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(2) 電子ジャーナルの購読契約を締結するに当たり、過去の利用実績を参考にするなどして、利用見込みに応じてPPV方式を利用する電子ジャーナルを選定することにより、購読料金の節減を図るよう改善させたもの


科目
経常費用
部局等
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(平成28年3月31日以前は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人農業生物資源研究所、国立研究開発法人農業環境技術研究所)
契約名
電子ジャーナルの年間購読契約
契約の概要
電子ジャーナルに掲載されている学術論文をダウンロードして利用できる権利を取得するもの
契約の相手方
エルゼビア・ビー・ブイ(オランダ王国)
契約
平成26年11月、27年3月、4月、28年4月 一般競争契約、随意契約
支払額
1億8717万余円(平成27年1月~3月、27、28両年度)
節減できた購読料金
3963万円(平成27年1月~3月、27、28両年度)

1 契約等の概要

(1) 電子ジャーナルの年間購読契約の概要

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「機構」という。)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法(平成11年法律第192号。平成27年3月31日以前は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構法)に基づき、農業等に関する技術の向上に寄与するなどのために、農業及び食品産業に関する技術上の試験、研究等の業務を行っており、当該業務に従事する職員は、研究の必要に応じて国内外の学術雑誌に掲載されている学術論文を参照して、試験研究等に利用している。また、国立研究開発法人農業生物資源研究所(28年4月1日以降は機構に統合。以下「旧生物研」という。)及び国立研究開発法人農業環境技術研究所(28年4月1日以降は機構に統合。以下「旧農環研」という。以下、機構と旧生物研及び旧農環研とを合わせて「機構等」という。)においても、28年3月まで、それぞれの研究等の業務に従事する職員が、機構と同様に学術雑誌に掲載されている学術論文を参照して、研究等に利用している。

これらの学術雑誌は、紙媒体の冊子として販売されているほか、出版社のデータベースに利用者がダウンロードすることができる形態で提供されており(以下、この形態で提供される学術雑誌を「電子ジャーナル」という。)、出版社と購読契約を締結して所定の購読料金を支払うなどして利用できるようになっている。

機構等は、オランダ王国の出版社のエルゼビア・ビー・ブイ(以下「エルゼビア社」という。)との間で、のとおり電子ジャーナルの購読契約を締結している(以下、統合前の機構、旧生物研及び旧農環研が締結した購読契約を「27年の購読契約」といい、統合後の機構が締結した購読契約を「28年度の購読契約」という。)。

表 電子ジャーナルの購読契約の概要

法人名 契約年月 契約方式 購読する電子ジャーナルのタイトル数 契約金額
(千円)
電子ジャーナルの利用期間
    平成        
機構
(統合前)
26年11月 随意契約 94 66,105 27年1月~28年3月
旧生物研 27年3月 一般競争契約 50 21,318 27年4月~28年3月
旧農環研 27年4月 随意契約 23 18,576 27年4月~28年3月
機構
(統合後)
28年4月 随意契約 127 81,169 28年4月~29年3月
294 187,170
注(1)
①について、機構は、平成27年11月に、27年1月から12月までとしていた電子ジャーナルの利用期間を28年3月まで延長する変更契約を締結している。
注(2)
①、②及び③が27年の購読契約であり、④が28年度の購読契約である。

これらの契約により、機構等の職員は、利用期間内に自席等の端末からエルゼビア社のデータベースにアクセスして、購読している電子ジャーナルに掲載されている学術論文をダウンロードして利用できることとなっており、機構等は、学術論文のダウンロード数(以下「DL数」という。)にかかわらず、電子ジャーナルごとに定められた定額の年間購読料を支払うこととなっている(以下、このような契約を「年間購読契約」という。)。なお、学術論文の毎月のDL数は、電子ジャーナルごとに、原則として、利用した月の翌々月に機構等の図書担当者が端末で把握できるようになっている。

(2) 年間購読契約の対象としていない電子ジャーナルの利用

エルゼビア社は、年間購読契約を締結している利用者に対して、年間購読契約の対象としていない電子ジャーナルに掲載されている学術論文についても、学術論文をダウンロードする都度、課金されるペイ・パー・ビュー方式(以下「PPV方式」という。)により、ダウンロードして利用できることとしている。PPV方式は、エルゼビア社が毎年定める単価(以下「PPV単価」という。)に、学術論文のダウンロード予定回数を乗じて算定した料金を事前にエルゼビア社に支払うことなどにより利用することができ、ダウンロードする都度、事前に支払った料金からPPV単価の金額が差し引かれることとなっている。そして、学術論文をダウンロードする回数が増加し、事前に支払った料金の残高が利用期間中に不足した場合には、料金を追加して支払うことにより、PPV方式による利用を継続することができることとなっている。なお、PPV方式による利用実績は、機構等の図書担当者が端末で把握できるようになっている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性等の観点から、機構等における電子ジャーナルの年間購読契約は利用の実態に応じた経済的なものとなっているかなどに着眼して、26年11月から28年4月までの間に機構等が契約を締結した年間購読契約4件を対象として、機構において、契約書や電子ジャーナルの利用状況に関する資料等を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

機構等は、27年の購読契約を締結する際に、統合前の機構においては94タイトル、旧生物研においては50タイトル、旧農環研においては23タイトルの電子ジャーナルを、また、28年度の購読契約を締結する際に、127タイトルの電子ジャーナルを、全て年間購読契約の対象として選定していた。そして、電子ジャーナルごとの年間購読料は、27年の購読契約では、統合前の機構分が2万余円から424万余円、旧生物研分が2万余円から157万余円、旧農環研分が6万余円から318万余円、28年度の購読契約では2万余円から360万余円となっていた。また、学術論文の利用期間中のDL数は、27年の購読契約では、統合前の機構分が利用実績のないものから11,440回、旧生物研分が8回から2,953回、旧農環研分が54回から1,585回、28年度の購読契約では利用実績のないものから6,060回となっていた。

そこで、上記年間購読契約の対象とされている電子ジャーナルごとの年間購読料を、機構等が27年の購読契約及び28年度の購読契約の締結を検討していた時点で判明していた過去1年間(統合前の機構は15か月間)のDL数でそれぞれ除して、1ダウンロード当たりの費用を算出し、PPV単価が当該費用を下回っていて、PPV方式とする方が年間購読契約とするよりも経済的になる電子ジャーナルを選定したところ、27年の購読契約では、機構分が30タイトル、旧生物研分が22タイトル、旧農環研分が13タイトル、28年度の購読契約では45タイトルとなっていた。

このように、利用実績の少ない電子ジャーナルがあるのに、過去の利用実績を参考にするなどして、利用見込みに応じてPPV方式を利用する電子ジャーナルを選定しておらず、利用している全ての電子ジャーナルを年間購読契約の対象としていた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(節減できた購読料金の支払額)

機構等において、前記の利用実績が少ない電子ジャーナルを年間購読契約の対象とせず、当該電子ジャーナルに係る過去1年間(統合前の機構は15か月間)のDL数分の料金を事前に支払ってPPV方式を利用したとすれば、実際の利用期間中のDL数を満たすために不足する料金を追加して支払うことなどを考慮しても、購読料金は、27年の購読契約については、機構において4930万余円、旧生物研において1764万余円、旧農環研において1046万余円、計7741万余円、28年度の購読契約については7011万余円となり、購読料金を27年の購読契約2858万余円、28年度の購読契約1104万余円、計3963万余円節減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、機構等において、電子ジャーナルの購読契約の内容についての理解が十分でなく、PPV方式を利用するなどして、電子ジャーナルの購読契約をより経済的なものとするための検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、機構は、28年11月に関係部署に通知文書を発して、毎年度の電子ジャーナルの購読契約を締結するに当たり、過去の利用実績を参考にするなどして、利用見込みに応じてPPV方式を利用する電子ジャーナルを選定することにより、購読料金の節減を図る処置を講じた。