本院は、独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)本局、東京支局(平成28年10月3日以降はさいたま支局)及び広島支局における不正行為について、会計検査院法第27条の規定に基づく造幣局理事長からの報告を受けるとともに、造幣局本局及び東京、広島両支局において、合規性等の観点から不正行為の内容がどのようなものであるかなどに着眼して会計実地検査を行った。
本件は、東京支局総務課専門官梅野某が、広報等の事務の担当者として、造幣局の事業に関する史料を同支局の造幣東京博物館において展示するなどの事務に従事中、26年3月頃から28年5月までの間に、外部に貸し出す必要があると偽り、同博物館の担当職員に指示して展示中の金塊1点を展示ケースから取り出させて持ち出したり、同博物館で企画展示するためなどと偽り、本局の造幣博物館及び広島支局の造幣広島展示室の担当職員に依頼してそれぞれの博物館等に収蔵されていた各種メダルを借用し、それらを東京支局に送付させたりするなどして、収蔵品計162点(評価額83,599,441円)を領得したものであり、不当と認められる。
なお、本件損害額については、29年9月末までに東京支局の同人の机等の中から見つかった収蔵品計13点(評価額154,841円)が捜査当局から返還されている。