(平成26年度決算検査報告参照)
(平成27年度決算検査報告参照)
独立行政法人国立病院機構(以下「機構」という。)が設置している143病院のうちの73病院は、重症心身障害者及び重症心身障害児を受け入れており、当該73病院は、医療の提供のほか、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号。平成25年3月31日以前は障害者自立支援法)等に基づき、療養介護に係る障害福祉サービス等として、生活支援員等による支援のほか、紙おむつ、衛生用品等の日用品の提供及び衣類等の洗濯等のサービスの提供を行うなどしている。そして、機構本部が各病院に対して発出した通知によれば、これらの日用品及びサービスの提供に要する費用(以下「日用品費」という。)のうち、10,000円(月額)を超える部分(以下「患者負担額」という。)は、重症心身障害者又は重症心身障害児の保護者(以下、両者を合わせて「重症心身障害者等」という。)に負担を求めることとされており、また、患者負担額の変更は、年度ごとに行うこととされている。しかし、12病院を検査したところ、5病院において、患者負担額の見直しを行っていなかったことなどにより、重症心身障害者等に負担を求める日用品費を過小に算定している事態が見受けられた。
したがって、機構本部において、重症心身障害者及び重症心身障害児を受け入れている73病院に対して、重症心身障害者等に負担を求める趣旨等を周知徹底するとともに、患者負担額の具体的な算定方法等を周知するなどして患者負担額を適切に算定できるよう、独立行政法人国立病院機構理事長に対して27年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構本部は、本院指摘の趣旨に沿い、関係団体等と調整するなどした上で、28年12月に73病院等に対して通知を発出し、重症心身障害者等に負担を求める趣旨等を周知徹底するとともに、患者負担額の具体的な算定方法等を周知して各病院が患者負担額を適切に算定できるよう処置を講じていた。