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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成29年4月|

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について


別図表1 参議院決算委員会における東日本大震災からの復興等に関する決議の内容一覧

決議名
(決議年月日)
内容
平成23年度決算及び平成24年度決算審査措置要求決議
(平成26年6月9日)

3 東日本大震災の被災市町村における職員不足の解消について

東日本大震災により甚大な被害を受けた、岩手、宮城及び福島の東北3県の被災市町村では職員不足が常態化している。総務省によると、被災市町村からは1,475人の職員派遣要請がなされているが、平成26年4月時点で実際に派遣等により補充された職員は1,106人にとどまり、369人が不足している状態となっている。被災市町村における職員不足は復興事業や復興予算の執行の遅れにつながるほか、職員への業務集中を招き、当該職員の心身不調の要因ともなっている。

政府は、事業の遅れが許されない被災地の現状を踏まえ、職員不足の解消が進まない原因を調査し、専門性を有した退職公務員や中途採用者の活用等の職員確保策を検討するとともに、被災市町村で勤務する職員のカウンセリングや健康管理に関する支援を実施すべきである。

9 東日本大震災の復旧・復興事業に係る入札不調及び工事の遅延への対策について

東日本大震災からの早期復興が求められている中、岩手、宮城及び福島の東北3県における復興関連事業において、応札者がいないこと、入札価格が予定価格を上回ることなどが原因の入札不調が発生している。平成24年度決算検査報告では、東北3県における23年10月から24年9月までの入札不調の発生率が21.1%となっている。また、26年2月の復興加速化会議では、25年4月から同年12月までの東北3県、仙台市及び東北地方整備局の一般土木等工事の入札不調の発生率が21%から41%となり、依然として震災前の2%よりも大幅に高くなっていることが報告されている。

政府は、被災地の復興関連事業において、震災前の建設事業者数、技術者数、資材量等で対処可能な量を上回る工事が集中的に発注されている現状を踏まえ、入札不調による事業の遅延を防止するために、不足する人材の確保及び育成、建設資材の高騰防止等、より一層の措置を速やかに講ずべきである。また、全国的な公共事業の増加や東京五輪関連事業の実施が復興関連事業の進捗を遅らせることがないよう、最善を尽くすべきである。

平成25年度決算審査措置要求決議
(27年6月29日)

4 独立行政法人農畜産業振興機構に対する農畜産業振興対策交付金の未使用額等の速やかな国庫納付について

農林水産省は、平成23年度に独立行政法人農畜産業振興機構に対し、東日本大震災復旧・復興予備費を財源とする農畜産業振興対策交付金863億円を交付し、同機構は畜産関係団体等に補助金を交付している。25年11月末時点で、同機構には、同交付金の未使用額及び畜産関係団体等からの返還額731億円が活用されないまま滞留していたものの、農林水産省は同機構に対して国庫納付を求めていなかったことが、会計検査院に指摘された。

政府は、25年度末までに生じた未使用額等について国庫納付させ、この後、生じ得る未使用額等を四半期ごとに国庫納付させる措置を講じているが、現下の厳しい財政状況に鑑み、交付金等が独立行政法人等において有効に活用されない場合には速やかに国庫に返納させる体制を早急に確立すべきである。

7 東日本大震災の被災地において遅れている防災集団移転促進事業等について

東日本大震災の被災住民の集団移転のため、国土交通省は、25の被災市町村が実施する防災集団移転促進事業に対し、平成23年度から25年度までに4,410億円の復興交付金を交付決定している。会計検査院によると、69住宅団地の用地が全く取得されていない、25年度末までに造成完了としていた55事業のうち、実際に完了したのは13事業にとどまるなど、団地の整備が遅れていた。また、団地の整備の遅れに伴い住民の意向が変化し、団地に空き区画が生じていることも判明した。

政府は、被災住民の生活基盤である住宅の再建が加速するよう、住民に対する適時適切な意向調査の実施、実情に応じた防災集団移転促進事業の見直し、他の復興事業との調整等に関する被災市町村への支援及び助言を行うとともに、集中復興期間後の事業の在り方の検討等の措置を講ずるべきである。

平成26年度決算審査措置要求決議
(28年5月23日)

2 東日本大震災の被災自治体において策定されていない津波避難計画等について

東日本大震災からの復旧・復興事業のうち、津波対策に係るソフト施策として、市町村等において、緊急避難場所、避難路等を定めた津波避難計画を策定したり、津波浸水区域、津波到達時間等の危険情報を定めた津波ハザードマップを作成している。会計検査院が検査したところ、沿岸6県管内の33市町のうち、14市町において津波避難計画が策定されていないこと、7市町において津波ハザードマップが作成されていないことが明らかとなった。

政府は、市町村等に対し、津波避難計画や津波ハザードマップについて、住民等の安全を確保するための施策としての重要性を認識させ、早期の策定等のために必要となる助言や情報提供等の支援を行うべきである。