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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成28年12月|

租税特別措置(所得税関係)の適用状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

少子・高齢化やグローバル化が急速に進み社会保障給付等の増加や経済変動により国の財政がますます厳しくなる中で、今後の税の在り方が、その使途とともに国民にとっても一層身近で重大な問題となってきている。

会計検査院は、27年次の検査において、法人税関係特別措置等の適用状況等に着目して検査した状況を、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、27年10月に国会及び内閣に報告したところである。

また、前記のとおり、所得税関係特別措置は、その適用による減収見込額が多額に上っている一方で、租特透明化法において適用実態調査が義務付けられておらず、これまでに実施されたことがない。

そこで、会計検査院は、上記のことなどを踏まえて、有効性等の観点から、①所得税関係特別措置の適用状況はどのようになっているか、②関係省庁及び財務省における所得税軽減措置に係る検証状況等はどのようになっているか、③減収見込額が多額に上っている所得税軽減措置について、会計検査院が提出を受けた確定申告書等から把握した適用状況等を踏まえて、当該所得税軽減措置が国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの指針等に照らして検証が適切に行われているかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

26年分において適用される所得税関係特別措置を適用している納税者のうち、図表7のとおり、

①計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき、所得が一定金額以上のため会計検査院に証拠書類として確定申告書等が提出された納税者のうち、会計実地検査を行った68税務署(注2)に係る8,659人、

②会計検査院に証拠書類として確定申告書等が提出されていない納税者のうち、会計実地検査を行った68税務署において確定申告書等の提出を受けた納税者及び上記68税務署以外の100税務署(注3)について国税庁を通じて確定申告書等の提出を受けた納税者計6,290人、

合計14,949人について、24年分から26年分までの所得税関係特別措置の適用状況を対象として検査した。

図表7 所得税関係特別措置の適用状況を検査した納税者数

区分 注(1)
e-Taxにより申告した納税者数
紙媒体により申告した納税者数
① 計算証明規則に基づき所得が一定金額以上のため会計検査院に証拠書類として確定申告書等が提出された納税者
68税務署
6,363人 注(2)
68税務署
2,296人 注(2)
8,659人
② 会計検査院に証拠書類として確定申告書等が提出されていない納税者
会計実地検査を行った68税務署において確定申告書等の提出を受けた納税者 68税務署
3,318人 注(3)
6,290人
上記以外の100税務署について国税庁を通じて確定申告書等の提出を受けた納税者 100税務署
2,972人 注(4)
14,949人
注(1)
所得税の確定申告等の国税に関する各種の手続について、インターネット等を利用して電子的に手続を行う国税電子申告・納税システム
注(2)
証拠書類として提出された確定申告書等により、所得税関係特別措置を適用していた納税者を、e-Taxにより申告した納税者についてはその全数を、紙媒体により申告した納税者については各税務署当たり最大50人まで抽出した。
注(3)
所得税関係特別措置を適用していた納税者を各税務署当たり最大50人まで抽出して、当該納税者に係る確定申告書等の提出を受けた。
注(4)
所得税関係特別措置を適用していた納税者を各税務署当たり最大30人まで抽出して、国税庁を通じて当該納税者に係る確定申告書等の提出を受けた。

上記のほか、減収見込額が多額に上っている所得税軽減措置の検査に際しては、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)に規定する有価証券報告書等の資料から抽出するなどした23税務署(注4)の延べ48人の納税者も対象に加え、25年分及び26年分の適用状況を対象として検査した。

検査に当たっては、所得税関係特別措置を適用している納税者の確定申告書等や、減収見込額が多額に上っている所得税軽減措置を適用している納税者の配当等の所得に係る源泉徴収の状況を示した資料、確定申告書等に係るデータを集計、分析するなどして検査した。

そして、内閣府本府等14府省庁(注5)において、政策評価に係る関係資料や税制改正要望の際に財務省に提出した要望書等における所得税軽減措置に係る検証状況及び適用実績の把握状況を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

また、財務省において、所得税関係特別措置の検証状況等を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(注2)
68税務署  札幌東、苫小牧、仙台南、能代、いわき、竜ケ崎、宇都宮、川越、大宮、上尾、朝霞、柏、麹町、神田、日本橋、京橋、芝、麻布、品川、四谷、新宿、本郷、目黒、蒲田、中野、江戸川北、八王子、立川、武蔵府中、横浜南、戸塚、平塚、藤沢、相模原、敦賀、岐阜南、熱海、富士、名古屋中村、名古屋中、昭和、中川、津島、津、大津、中京、大阪福島、天王寺、旭、東住吉、東淀川、東、堺、豊能、吹田、灘、芦屋、広島北、岩国、松山、今治、福岡、久留米、筑紫、熊本西、玉名、名護、沖縄各税務署
(注3)
100税務署  札幌南、旭川中、室蘭、北見、弘前、盛岡、仙台北、塩釜、山形、福島、郡山、日立、土浦、前橋、高崎、川口、浦和、行田、秩父、所沢、春日部、越谷、新潟、長岡、上田、千葉南、千葉西、市川、茂原、成田、東金、江東東、大森、雪谷、世田谷、北沢、杉並、荒川、江戸川南、青梅、日野、東村山、神奈川、緑、川崎北、川崎西、小田原、厚木、富山、金沢、小松、高山、多治見、浜松東、島田、掛川、名古屋西、豊橋、一宮、尾張瀬戸、半田、小牧、四日市、近江八幡、上京、右京、福知山、城東、岸和田、枚方、茨木、富田林、長田、姫路、明石、西宮、三木、柏原、奈良、粉河、松江、岡山東、岡山西、広島南、福山、下関、徳島、高松、高知、若松、香椎、西福岡、武雄、長崎、大分、宮崎、鹿児島、鹿屋、那覇、北那覇各税務署
(注4)
23税務署  札幌北、札幌西、旭川東、八戸、郡山、水戸、栃木、麻布、本所、世田谷、渋谷、戸塚、相模原、福井、多治見、中津川、昭和、伏見、堺、加古川、奈良、福山、博多各税務署
(注5)
14府省庁  内閣府本府、金融庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省