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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成29年1月|

各府省等における職員の研修の実施状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

一般職及び特別職の国家公務員に対する研修については、実施に係る根拠法令等の違いがあるものの、職員の能力及び資質を向上させるためには、いずれにおいても研修の実施は必要なものであり、OJTに加えて、Off-JTの役割がより重要になってきている。そして、研修、特にOff-JTの実施には、研修講師等に対する謝金や旅費、研修施設の維持管理費のほか、研修業務に従事している職員の人件費等の経費を要している。このため、研修を実施する各府省等においては、研修を効果的、効率的に実施することが重要となる。

また、内閣人事局及び人事院においては、それぞれの所掌事務に係る研修を自ら実施するほか、政府全体を通じて体系的で効果的な研修が実施されるよう、一般職の国家公務員に対する研修についての計画の樹立及び実施に関する総合的企画及び調整、監視等を行うこととされている。そして、基本方針によれば、内閣人事局及び関係各庁は、相互に連携・協力することにより、政府全体を通じて体系的で効果的な研修が実施されるよう努めることとされている。

一方、特別職の国家公務員に対する研修については、それぞれの根拠法令に基づき、それぞれの職務の特性に応じて実施されており、研修に関する国家公務員法の規定が適用されないため、研修についての計画の樹立及び実施に関しては内閣人事局及び人事院による総合的企画及び調整、監視等の対象外となっている。

そこで、会計検査院は、一般職及び特別職の国家公務員に対する研修の実施状況等について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次のような点に着眼して横断的に検査した。

ア 各府省等は、研修計画を策定して研修の機会を確保しているか。

イ 各府省等は、研修に要する経費を十分に把握し、経済性等を考慮して適切に研修を実施しているか。また、各府省等間で、研修内容に関する情報を交換するなど連携・協力が図られているか。

ウ 各府省等は、適時適切に効果測定や研修内容に関する評価を実施するなどして研修の効果を把握し、研修内容等の改善を行っているか。

エ 各府省等は、研修施設を適切かつ有効に活用して研修を実施しているか。また、各府省等間で、研修施設の年間使用計画等に関する情報を共有するなど連携・協力が図られているか。

オ 内閣人事局は、関係各庁が一般職の国家公務員を対象に実施する研修について、計画の樹立及び実施に関する総合的企画及び調整を適時適切に行っているか。

カ 人事院は、関係各庁が一般職の国家公務員を対象に実施する研修について、計画の樹立及び実施に関する監視等を適時適切に行っているか。

(2) 検査の対象及び方法

25年度から27年度までの間に、一般職の国家公務員に対する研修を実施している15府省等(注5)及び特別職の国家公務員に対する研修を実施している5省等(注6)、計17府省等(注7)の本省、外局等を対象として、研修の実施状況等に関する調書の提出(注8)を求め、これを在庁して分析等するとともに、17府省等において、研修の実施状況等について、関係資料の提出や説明を受けたり、研修施設に赴いて研修の実施状況を確認したりするなどして会計実地検査を行った。

(注5)
15府省等  内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、会計検査院
(注6)
5省等  国会、裁判所、外務省、厚生労働省、防衛省
(注7)
17府省等  一般職の国家公務員に対する研修を実施している15府省等と特別職の国家公務員に対する研修を実施している5省等の合計20府省等のうち、外務省、厚生労働省、防衛省が重複している。
(注8)
調書の提出  総務省の外局である消防庁については、熊本地震(平成28年4月14日)対応のため調書の提出を求めていない。