文部科学省は、公立学校施設の新増改築事業を行う事業主体に対して、公立学校施設整備費負担金(以下「負担金」という。)、学校施設環境改善交付金等(以下「交付金」という。)を交付している。そして、新増改築事業における国庫補助を受ける資格のある面積(以下「資格面積」という。)について、関係法令等に基づき算定することとされている。しかし、資格面積の算定に当たり関係法令等に基づく算定式を適用していなかったり、資格面積の算定に用いる中学校等の必要面積を算定する際に学級数の算定を誤っていたりなどしていて資格面積が過大に算定され負担金又は交付金が過大に算定されている事態が見受けられた。
したがって、文部科学大臣に対して平成29年10月に、会計検査院法第34条の規定により次のとおり是正改善の処置を求めた。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、30年2月及び同年4月に事務連絡を発出するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 資格面積の算定が適切に行われているかを確認するためのチェックシートを作成して、都道府県教育委員会等に対して周知した。そして、都道府県教育委員会等を通じて、事業主体に対してもこれを周知した。
イ 事業主体に対して、交付決定が行われるまでの初期の段階に、チェックシートを用いて資格面積の確認を行わせることとした。また、文部科学省等において、交付申請書の審査時までに、事業主体が記入したチェックシートを用いて資格面積の確認を行うこととした。
ウ 事業主体に対して、実績報告時に、改めてチェックシートを用いて資格面積の確認を行わせることとした。また、都道府県教育委員会等に対して、実績報告書の審査時にチェックシートを用いて資格面積の確認を行わせるなどすることとした。
エ 事業主体が適切な資格面積を容易に算定することができるよう、資格面積を算定するために必要な各制度を網羅した留意点等をチェックシートの記入例に集約して、都道府県教育委員会等及び事業主体に周知した。