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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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(9) 児童保護費負担金等の国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの[4都県](171)―(174)


4件 不当と認める国庫補助金 10,042,480円

児童保護費負担金(平成25年度以前は児童保護費等負担金)(保育所運営費国庫負担金に係る分。以下「負担金」という。)は、保護者の労働、疾病等の事由により保育に欠ける児童の保育の実施を社会福祉法人等が設置する保育所(以下「民間保育所」という。)に委託した市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して、その委託に要した費用の一部を国が負担するものである。

負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。

負担金の交付額の算定の式 画像

この費用の額及び徴収金の額は、それぞれ次のとおり算定することとなっている。

① 費用の額は、民間保育所の所在地域、入所定員、児童の年齢等の別に1人当たり月額で定められている保育単価に、各月の入所児童数を乗ずるなどして算出した年間の合計額による。

② 徴収金の額は、児童の扶養義務者の前年分の所得税額、前年度分の市町村民税の課税の有無等に応じて、階層別に各児童1人当たりにつき月額で定められている徴収金基準額等から算出した年間の合計額による。この階層区分の認定は、その児童と同一世帯に属して生計を一にしている父母及びそれ以外の扶養義務者(家計の主宰者である場合に限る。)の全てについて、それらの者の所得税額の合計額等により行う。

本院が、4都県の4事業主体において会計実地検査を行ったところ、児童の扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過小に算定するなどしていた。

このため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、負担金計10,042,480円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において徴収金の額又は費用の額の算定に当たっての調査確認が十分でなかったこと、都県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

愛知県豊川市は、平成25年度に民間保育所Aに保育を委託した児童Bについて、その扶養義務者である母の24年分の所得税額及び24年度分の市民税額がないことなどから、徴収金の額を0円と算定していた。しかし、実際は、児童Bと同一世帯に属して生計を一にしている祖母がおり、この祖母が家計の主宰者であると判断され、児童Bの扶養義務者に該当することから、徴収金の額は、祖母の24年分の所得税10万余円を基に算定すべきであり、これにより児童Bに係る適正な徴収金の額を算定すると732,000円となり、同額が過小となっていた。

そして、同市では、このように扶養義務者の所得税額等を誤認して徴収金の額を過小に算定していた事態が、上記を含め24年度17人、25年度16人、26年度17人の児童について見受けられ、同市に係る徴収金の額が過小となっていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(171) 東京都 港区 26 673,215 336,607 1,604 802 扶養義務者の所得税額を誤認していたもの
(172) 愛知県 豊川市 24~26 2,438,460 1,219,230 14,651 7,325 扶養義務者の所得税額等を誤認していたもの
(173) 奈良県 五條市 24~26 332,857 166,428 2,118 1,059 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど
(174) 宮崎県 宮崎市 24~26 22,157,549 11,078,774 1,711 855 扶養義務者の所得税額を誤認していたもの
(171)―(174)の計 25,602,082 12,801,041 20,084 10,042