(平成28年度決算検査報告2か所参照 リンク10396 20647)
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、平成16年7月に設立された際に、解散する産業基盤整備基金(以下「基金」という。)から権利及び義務の一部を承継している。独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)附則第9条第1項の規定等によれば、機構は、基金から承継した株式に係る経理をその他の経理と区分し、出資承継勘定を設けて整理しなければならないこととされており、29年3月末現在の出資承継勘定の純資産における政府出資金は78億6367万余円となっている。基金から承継した33銘柄の株式は28年度末までに26銘柄が処分されて、7銘柄が未処分となっており、出資承継勘定に係る株式等の管理費用(以下「管理費用」という。)は、株式の処分の進捗に伴い減少している。そして、機構は、今後の管理費用として年間約1380万円を見込んでいる。しかし、管理費用を債券に係る運用収益により賄うとして、28年度の債券の運用実績を基に試算すると、計27億円の債券を保有すれば、その運用収益により管理費用を十分に賄えることになり、機構が出資承継勘定で管理する株式の銘柄数及び管理費用が減少しているにもかかわらず、機構において、使用される見込みがない政府出資金に係る多額の資産を保有している事態が見受けられた。
したがって、経済産業省及び機構において、管理費用等を考慮して出資承継勘定において真に必要となる政府出資金の額を検討した上で、機構において、必要額を超えて保有していると認められる政府出資金に係る資産については、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)に基づき不要財産として速やかに国庫納付を行うことにより政府出資金を減資して、その規模を適切なものとするよう、経済産業大臣及び独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長に対して29年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、経済産業本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、経済産業省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
経済産業省及び機構は、管理費用等を考慮して出資承継勘定において真に必要となる政府出資金の額を検討し、その結果、機構は、必要額を超えて保有していると認められた政府出資金32億2098万余円に係る資産のうち、現金及び預金で保有している13億5790万余円については、通則法に基づき、29年11月に不要財産の国庫納付に係る経済産業大臣の認可を受けて、同月に国庫納付を行い、30年2月に政府出資金を減資した。また、残りの満期保有目的債券で保有している18億6307万余円については、同年12月に満期日が到来する債券の償還後、通則法に基づき、不要財産の国庫納付に係る同大臣の認可を受けて、速やかに国庫納付及び政府出資金の減資を行うこととした。